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玉勝間 / 八の巻 かけつかさ

うつほ物語たづのむら鳥卷に、兼官の事を、かけつかさとあり。

新字:うつほ物語たづのむら鳥巻に、兼官の事を、かけつかさとあり。

書き下し

うつほ物語たずのむら鳥の巻に、兼官の事を、かけつかさとあり。

現代語訳

うつほ物語の「たずのむら鳥」の巻に、兼官のことを「かけつかさ」とある。

解説

一人が複数の官職を兼ねる「兼官」を、和語で「かけつかさ」と言ったことを、うつほ物語から書き留めた短い段である。うつほ物語は平安時代中期の長編物語で、源氏物語に先立つ作品として知られる。律令の官職名は漢語で呼ばれることが多いが、物語の中では、官職を掛け持ちすることが和語でそのまま言い表されている。宣長は、漢語の制度用語の裏に、それを和語でどう言っていたかを常に探した。古事記伝で漢字表記の奥にある古い日本語の読みを定めようとしたのと同じ関心である。今でも「仕事を掛け持ちする」と言うが、その「かける」という感覚が平安時代の官職の言い方にすでに生きていたことが分かる。漢語で覚えた言葉を、和語ではどう言ったのかと問い直すことは、言葉の感覚を豊かにする一つの方法である。

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