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玉勝間 / 六の巻 わらうづ足をくふ

金葉集連歌のはし書に、和泉式部が、賀茂にまゐりけるに、わらうづに足をくはれて、紙を卷きたりけるを見てと有り。

新字:金葉集連歌のはし書に、和泉式部が、賀茂にまゐりけるに、わらうづに足をくはれて、紙を巻きたりけるを見てと有り。

書き下し

金葉集連歌のはし書に、和泉式部が、賀茂にまいりけるに、わろうずに足をくわれて、紙を巻きたりけるを見てと有り。

現代語訳

金葉集の連歌の詞書に、「和泉式部が賀茂に参詣したときに、藁沓に足を食われて(擦りむいて)、紙を巻いていたのを見て」とある。

解説

履物が足に当たって傷つくことを「足を食う」と言うのが、平安時代にすでにあったことを示す短い一段である。金葉集の連歌の詞書に、和泉式部が賀茂に参詣した折、藁沓に足を食われて紙を巻いていた、とある。この後、それを見た人が付けた連歌が続く場面である。靴擦れを「靴に足を食われる」と言う言い方は今も残っている。宣長は題に「わらうづ足をくふ」と掲げ、日常の何気ない言い回しが、恋の歌人として名高い和泉式部の逸話に出てくることを書き留めた。雅な歌集の中に、藁沓で足を擦りむいた生身の人間の姿がある。言葉の歴史は、こうした小さな場面の積み重ねで作られている。

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