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玉勝間 / 六の巻 安徳天皇の御事

木のうへになるとは、むかしは、罪人の首をかくるは、獄の門のもとなる、あふちの木にかけたりし故に、云へるなり。此歌も、同じ書にのせたり。筆のついでに出しつ。

書き下し

木のうえになるとは、むかしは、罪人の首をかくるは、獄の門のもとなる、おうちの木にかけたりし故に、云えるなり。この歌も、同じ書にのせたり。筆のついでに出しつ。

現代語訳

「木の上になる」というのは、昔は罪人の首を懸けるのに、獄の門のそばにある楝(おうち)の木に懸けたので、そう言ったのである。この歌も同じ書(愚管抄)に載っている。筆のついでに書き出しておいた。

解説

前段の戯れ歌に注を加えた短い一段である。木の上になる、とは、昔は罪人の首を獄門のそばの楝(おうち、せんだん)の木に懸けたことによる、と説く。下野守であった源義朝が平治の乱に敗れて首を懸けられたのを、官職の兼官と首を懸けることとに掛けて笑った歌で、敗者を嘲る都人の容赦のなさがうかがえる。宣長は、歌の言葉がなぜそう言えるのかを、当時の刑罰の実際に遡って説明している。言葉の意味は、その背後の習俗を知らなければ分からない。筆のついでに、と断りながらも、読み手が疑問に思うところを放っておかない、宣長の注釈家としての癖がよく出ている。

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