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玉勝間 / 五の巻 かんでの小路

勘解由ノ小路を、大鏡に、かんでのこうぢと有り。

書き下し

勘解由の小路を、大鏡に、かんでのこうじと有り。

現代語訳

勘解由小路(かげゆのこうじ)を、『大鏡』には「かんでのこうじ」と書いてある。

解説

京の通りの名「勘解由小路」の古い読み方を、『大鏡』から拾った一行だけの段である。勘解由使という役所があったことに由来する通り名で、ふつうは「かげゆのこうじ」と読む。ところが平安後期の歴史物語『大鏡』には「かんでのこうじ」と仮名で書かれている。「かげゆ」が音便で縮まり、「かんで」と発音されていたことがわかる。漢字で書かれた地名は、実際にどう発音されていたかが文字の上からは見えない。仮名で書かれた物語は、その当時の生きた発音を伝える貴重な証拠になる。宣長はこうした一語の記録も見逃さずに書き留めた。言葉は書かれた形と話された形がずれていくものであり、その痕跡は思いがけない所に残っているという気づきを与える段である。

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