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玉勝間 / 三の巻 つつのみたけ

拾遺集の物の名の、つつみのたけは、つつのみたけなり。肥後ノ國古戰塲記と云ふ物に、かの國に、つつのたけと云ふ山有、それなるべし、と云へり。

新字:拾遺集の物の名の、つつみのたけは、つつのみたけなり。肥後ノ国古戦塲記と云ふ物に、かの国に、つつのたけと云ふ山有、それなるべし、と云へり。

書き下し

拾遺集の物の名の、つつみのたけは、つつのみたけなり。肥後の国古戦場記と云う物に、かの国に、つつのたけと云う山有り、それなるべし、と云えり。

現代語訳

拾遺集の物名の部にある「つつみのたけ」は、「つつのみたけ(筒の御岳)」である。『肥後国古戦場記』というものに、その国に「つつのたけ」という山がある、それのことであろう、と言っている。

解説

拾遺集の「物名(もののな)」は、歌の中に物の名や地名を隠して詠み込む遊びの歌を集めた部立てである。その題に見える「つつみのたけ」について、宣長は本来「つつのみたけ」、すなわち「筒の御岳」という山の名だと正し、肥後の地誌に「つつのたけ」という山があることを根拠に挙げる。題の地名が分からないと、歌のどこに名が隠されているかも見えてこない。わずか数行の段だが、歌の理解に欠かせない固有名詞を、地方の書物という意外なところから確かめている。宣長は全国の門人や知人から書物を借り、地誌の類も広く読んでいた。どんな書物にも古典を読む手がかりがありうる、という構えがこうした小さな発見を生む。読書の範囲を狭く決めない大切さを示している。

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