玉勝間 / 二の巻 四角四堺祭の事
同記云、長和四年四月廿七日、來月一日四角四堺祭事、依光榮朝臣上奏所被行也云云、五月六日、今夜吉平奉仕四角祭枇杷殿四角者云云、九日今日公家被行四堺祭、
新字:同記云、長和四年四月廿七日、来月一日四角四堺祭事、依光栄朝臣上奏所被行也云云、五月六日、今夜吉平奉仕四角祭枇杷殿四角者云云、九日今日公家被行四堺祭、
書き下し
同記に云う、長和四年四月廿七日、来月一日の四角四堺祭の事、光栄朝臣の上奏に依りて行わるる所なり云云、五月六日、今夜吉平四角祭を枇杷殿の四角に奉仕す者(てえり)云云、九日今日公家四堺祭を行わる、
現代語訳
同じ日記にこうある。「長和四年(1015)四月二十七日、来月一日の四角四堺祭の事は、賀茂光栄朝臣の上奏によって行われるものである。五月六日、今夜、安倍吉平が枇杷殿の四隅で四角祭を奉仕したという。九日、今日、朝廷が四堺祭を行われた」。
解説
陰陽道の祭である四角四堺祭の記事を、『小右記』から短く抜いた段である。四角祭は宮城や邸の四隅で、四堺祭は都の四方の境で、疫病や災いをもたらす鬼気を祓うために行われた。記事には陰陽師の賀茂光栄が祭を上奏し、安倍晴明の子の吉平が当時の内裏であった枇杷殿の四隅で奉仕したことが見える。宣長はこれに一言も評を加えていない。漢意や仏意を厳しく退けた宣長だが、朝廷が実際に行った祭祀の記録は、良し悪しを言う前に事実として写し取っている。古の姿を知るにはまず事実を集めるという、考証家としての態度がうかがえる。短い抜き書きも、後の考えの材料として置かれたものと読める。
関連する章句
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