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素書 / 『素書』上に立つ者の失敗三十

以明示下者暗、有過不知者弊、迷而不返者惑、以言取怨者禍、令與心乖者廢、后令謬前者毀、怒而無威者犯、好直辱人者殃、戮辱所任者危、慢其所敬者兇、貌合心離者孤、親讒遠忠者亡、近色遠賢者惛、女謁公行者亂、私人以官者浮、凌下取勝者侵、名不勝實者耗、略己而責人者不治、自厚而薄人者棄、以過棄功者損、群下外異者淪、既用不任者疏、行賞吝色者沮、多許少與者怨、既迎而拒者乖、薄施厚望者不報、貴而忘賤者不久、念舊怨而棄新功者兇、用人不得正者殆、強用人者不畜、

新字:以明示下者暗、有過不知者弊、迷而不返者惑、以言取怨者禍、令与心乖者廃、后令謬前者毀、怒而無威者犯、好直辱人者殃、戮辱所任者危、慢其所敬者兇、貌合心離者孤、親讒遠忠者亡、近色遠賢者惛、女謁公行者乱、私人以官者浮、凌下取勝者侵、名不勝実者耗、略己而責人者不治、自厚而薄人者棄、以過棄功者損、群下外異者淪、既用不任者疏、行賞吝色者沮、多許少与者怨、既迎而拒者乖、薄施厚望者不報、貴而忘賤者不久、念旧怨而棄新功者兇、用人不得正者殆、強用人者不畜、

書き下し

明を以て下に示す者は暗く、過ち有りて知らざる者は弊れ、迷いて返らざる者は惑い、言を以て怨みを取る者は禍あり、令と心と乖く者は廃れ、後の令前に謬る者は毀れ、怒りて威無き者は犯され、直を好み人を辱しむる者は殃あり、任ずる所を戮辱する者は危うく、其の敬う所を慢る者は凶、貌合い心離るる者は孤なり、讒を親しみ忠を遠ざくる者は亡び、色を近づけ賢を遠ざくる者は惛く、女謁公行する者は乱れ、人を私するに官を以てする者は浮き、下を凌ぎて勝を取る者は侵され、名の実に勝たざる者は耗り、己を略して人を責むる者は治まらず、自ら厚くして人に薄き者は棄てられ、過ちを以て功を棄つる者は損ない、群下外に異なる者は淪み、既に用いて任ぜざる者は疏んぜられ、賞を行うに色を吝しむ者は沮み、多く許して少なく与うる者は怨まれ、既に迎えて拒む者は乖き、施すこと薄くして望むこと厚き者は報いられず、貴くして賤しきを忘るる者は久しからず、旧怨を念いて新功を棄つる者は凶、人を用いて正を得ざる者は殆うく、強いて人を用うる者は畜えず、

現代語訳

聡明さを見せつけて部下に示す者は、かえって暗く、過ちがあっても気づかない者は衰え、迷って引き返さない者は惑い、言葉で怨みを買う者は禍を受け、命令と本心が食い違う者は見限られ、後の命令が前の命令と食い違う者は信を失い、怒っても威厳のない者は侮られ、正直さを口実に人を辱める者は災いを受け、任せた者を辱める者は危うく、敬うべき人を侮る者は不吉で、表面だけ合って心が離れている者は孤立し、そしる者に親しみ忠義の者を遠ざける者は滅び、色事に近づき賢者を遠ざける者は暗く、女性の口利きが公然と通る者は乱れ、官職で人に私恩を売る者は浮ついて信用を失い、部下を押さえつけて勝ちを取る者は侵され、評判が実力に見合わない者は衰え、自分に甘く人を責める者は治まらず、自分に厚く他人に薄い者は見捨てられ、小さな過ちで大きな功を捨てる者は損ない、部下が外に向かって異を唱える者は沈み、用いておきながら任せない者は疎まれ、賞を与える際に表情を惜しむ者は意欲を削ぎ、約束ばかりして与えが少ない者は怨まれ、一度迎えておきながら拒む者は背かれ、施しは薄く期待は厚い者は報われず、高位に就いて貧しい頃を忘れる者は長続きせず、昔の怨みを抱いて新しい功を捨てる者は不吉で、人を用いながら適任を得ない者は危うく、無理に人を使う者は人を養い育てられません。

解説

第五章の前半で、「〜者〜」の型で上に立つ者の失敗が三十ほど並びます。聡明さの誇示、言行不一致、朝令暮改、怒りに威厳がない、部下を辱める、任せないまま任命する、褒め方がけち、約束が多く与えが少ない、地位を得て初心を忘れる、昔の怨みで新しい功績を捨てる、など現代の職場にそのまま当てはまる項目が目立ちます。女謁や官を私することなど成立当時の宮廷事情を映す項目もありますが、情実人事や公私混同と読み替えられます。リストは、点検表として使う読み方が向いています。
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この章句が説くこと

明を示す令と心朝令暮改辱める任せない賞の吝しみ

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