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徂徠先生答問書 / 卷下

一書物に濟不申所有之候故退屈も參候。只飛候て見行候へば、皆々先にて濟申事に候。一詩文の仕習樣は、只詞を似せ候が能候。後には自然と移候物に候。一右の外は可申進事先無御座候。尙御不審に候はヾ可被仰下候。但士大夫の學問は、國君を輔佐して、家中國中を能治め、文武政務の才を致成就候爲の學問に候。此段主意にて御座候。

新字:一書物に済不申所有之候故退屈も参候。只飛候て見行候へば、皆々先にて済申事に候。一詩文の仕習様は、只詞を似せ候が能候。後には自然と移候物に候。一右の外は可申進事先無御座候。尚御不審に候はヾ可被仰下候。但士大夫の学問は、国君を輔佐して、家中国中を能治め、文武政務の才を致成就候為の学問に候。此段主意にて御座候。

書き下し

一書物に済不申所有之候故退屈も参候。只飛候て見行候へば、皆々先にて済申事に候。一詩文の仕習様は、只詞を似せ候が能候。後には自然と移候物に候。一右の外は可申進事先無御座候。尚御不審に候はヾ可被仰下候。但士大夫の学問は、国君を輔佐して、家中国中を能治め、文武政務の才を致成就候為の学問に候。此段主意にて御座候。

現代語訳

一、書物に分からない所があるので退屈もしてきます。ただ飛ばして読み進めれば、みな先で分かってくることです。一、詩文の作り習い方は、ただ言葉を似せるのがよいのです。後には自然と移ってくるものです。一、右のほかには申し上げることはまずありません。なおご不審がありましたらお申し付けください。ただし士大夫の学問は、国君を補佐して、家中・国中をよく治め、文武政務の才を成就させるための学問です。この点が主意です。

解説

短い三条をまとめた。分からない箇所で止まらず飛ばして読めば先で分かる、詩文は言葉を真似ることから始めれば心も自然と移る、という実践的な助言が並ぶ。真似から入る習得法は古文辞学の基本である。そして最後に、士大夫の学問は主君を補佐して家中と国をよく治め、文武政務の才を成就するためのものだと主意を念押しする。完璧に理解してから進もうとして止まるより、まず読み進め、型を真似よ。学びの目的は組織を治める力にあるという軸が明快である。

この章句が説くこと

読書模倣詩文学問政務士大夫

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