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春秋左氏伝 / 哀公八年 唇亡歯寒、呉の来攻

是四讎也。夫魯。齊晉之脣。脣亡齒寒。君所知也。不救何為。三月。吳伐我。子洩率。故道險。從武城。初武城人或有因於吳竟田焉。拘鄫人之漚菅者。曰。何故使吾水滋。及吳師至。拘者道之。以伐武城。克之。王犯嘗為之宰。澹臺子羽之父好焉。國人懼。懿子謂景伯。若之何。對曰。吳師來。斯與之戰。何患焉。且召之而至。又何求焉。吳師克東陽而進。舍於五梧。明日。舍於蠶室。公賓庚。公甲叔子。與戰于夷。獲叔子與析朱鉏。獻於王。王曰。此同車。必使能。國未可望也。明日舍于庚宗。遂次于泗上。

新字:是四讎也。夫魯。斉晋之脣。脣亡歯寒。君所知也。不救何為。三月。呉伐我。子洩率。故道険。従武城。初武城人或有因於呉竟田焉。拘鄫人之漚菅者。曰。何故使吾水滋。及呉師至。拘者道之。以伐武城。克之。王犯嘗為之宰。澹台子羽之父好焉。国人懼。懿子謂景伯。若之何。対曰。呉師来。斯与之戦。何患焉。且召之而至。又何求焉。呉師克東陽而進。舎於五梧。明日。舎於蠶室。公賓庚。公甲叔子。与戦于夷。獲叔子与析朱鉏。献於王。王曰。此同車。必使能。国未可望也。明日舎于庚宗。遂次于泗上。

書き下し

是れ四讎なり。夫れ魯は齊・晉の脣なり。脣亡ぶれば齒寒きこと、君の知る所なり。救はずして何をか為さん」と。三月、吳我を伐つ。子洩率(みちび)き、故(ことさら)に險に道(みちび)きて、武城よりす。初め武城の人或ひと吳の竟に因りて田する者有り。鄫人の菅を漚(ひた)す者を拘(とら)へて曰く、「何の故に吾が水をして滋(にご)らしむる」と。吳師の至るに及び、拘へられし者之を道きて、以て武城を伐ち、之に克つ。王犯嘗て之が宰為り。澹臺子羽の父焉に好し。國人懼る。懿子景伯に謂ふ、「之を若何せん」と。對へて曰く、「吳師來らば、斯に之と戰はん。何ぞ患へん。且つ之を召きて至る。又何をか求めん」と。吳師東陽に克ちて進み、五梧に舍る。明日、蠶室に舍る。公賓庚・公甲叔子、與に夷に戰ふ。叔子と析朱鉏とを獲て、王に獻ず。王曰く、「此れ車を同じくす。必ず能を使ふ。國未だ望む可からざるなり」と。明日庚宗に舍り、遂に泗上に次る。

現代語訳

呉が魯を攻めれば、魯・晋・斉・楚の四つの国を敵に回すことになります。そもそも魯は斉と晋にとっての唇です。唇が亡べば歯が寒くなることは、王もご存じのとおりです。彼らが救わずに何をするというのでしょう」。三月、呉が我が国(魯)を伐った。子洩(公山不狃)が先導したが、わざと険しい道を選び、武城から攻め入らせた。これより先、武城の人で、呉との国境近くで田を耕している者がいた。その者が、菅(すげ)を水に浸していた鄫の人を捕らえて「なぜ我々の水を濁らせるのか」と責めたことがあった。呉軍がやって来ると、そのとき捕らえられた者が呉軍を案内して武城を攻めさせ、武城は陥落した。王犯はかつて武城の宰(長官)を務めたことがあり、孔子の弟子澹台子羽(滅明、武城の人)の父はこの王犯と親しかった。(内通を疑われるのではないかと)国の人々は恐れた。孟懿子が子服景伯に「どうしたものか」と言うと、景伯は答えた。「呉軍が来たなら、そこで戦うまでです。何を心配することがありましょう。それに、こちらから呼び込んだようなものです(魯が邾を攻めたのが原因なのだから)。この上何を求めるのですか」。呉軍は東陽を落として進み、五梧に宿営した。翌日、蚕室に宿営した。魯の公賓庚と公甲叔子が夷で呉軍と戦った。呉は公甲叔子と析朱鉏を討ち取って呉王(夫差)に献じた。王は言った。「この者たちは同じ車に乗っていた(そして共に死んだ)。魯は必ず有能な者を用いている。この国はまだ手に入ると望めない」。翌日、庚宗に宿営し、そのまま泗水のほとりに陣を進めた。

解説

前の句から続く公山不狃の言葉で始まる。「脣亡びば齒寒し」は僖公五年に虞の宮之奇が述べた言葉で、この時代にはすでに誰もが知る成句として引かれている。公山不狃は先導役を引き受けながら、わざと険しい道を選んだ。前の句で語った「宗國を覆さず」を行動で示したことになる。一方、武城が落ちた原因は、国境で菅を浸した鄫の人を捕らえたという小さな水争いであった。恨んだ者が敵の道案内となり、城は内側から開かれた。子服景伯の「且つ之を召きて至る」は、邾を攻めて呉を呼び込んだのは魯自身だという冷静な指摘である。夫差が戦死した二人を見て「必ず能を使ふ」と言い、魯の人材の質から攻略の難しさを読み取ったのも見逃せない。現場で生じた小さな遺恨が、思いもよらない時に大きな損害となって返ってくることがある。この句はその経路をはっきり描いている。

この章句が説くこと

唇亡歯寒遺恨同盟人材自業自得

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