論語 / 衛霊公篇
子曰:「君子不可小知,而可大受也。小人不可大受,而可小知也。」
書き下し
子曰く、君子は小知す可からずして、大受す可きなり。小人は大受す可からずして、小知す可きなり。
現代語訳
先生がおっしゃった。「君子は小さなことでは真価が分からないが、大きな任務を受けることができる。小人は大きな任務を受けることはできないが、小さなことでは能力が分かる。」
解説
評価と任用の関係を述べている。君子は小さな仕事では測れない。だから小さな仕事の出来で判断すると、君子を見落とす。逆に小人は小さな仕事で能力が分かるが、大きな任務には耐えない。人材を測る物差しのサイズが、対象によって違うという指摘である。実務では、この違いが見落とされやすい。小さな仕事を丁寧にこなす人を高く評価し、段階的に大きな仕事を任せていく。合理的な手順に見えるが、この方法では君子型の人材が上がってこない。小さな仕事では平凡に見えるからだ。逆に、小さな仕事で高評価を得た人が、大きな任務で機能しないこともある。どこかの段階で、測り方そのものを変える必要がある。実績の延長で判断できない領域が、必ずある。
この章句が説くこと
人材測定大受小知任用
関連する章句
-
論語・雍也篇子游、武城の宰と為る。子曰く、「女、人を得たるか。」曰く、「澹台滅明なる者有り。行くに径に由らず。公事に非ざれば、未だ嘗て偃の室に至らざるなり。」
-
論語・泰伯篇舜に臣五人有りて、天下治まる。武王曰く、「予に乱臣十人有り。」孔子曰く、「『才難し』とは、其れ然らずや。唐虞の際、斯に於いて盛んなりと為す。婦人有り、九人のみ。天下を三分して其の二を有ち、以て殷に服事す。周の徳は、其れ至徳と謂う可きのみ。」
-
孫子・作戦篇其の戦を用うるや、勝つを貴ぶ。久しければ則ち兵を鈍らせ鋭を挫き、城を攻むれば則ち力屈し、久しく師を暴せば則ち国用足らず。
-
尉繚子・武議良馬も策有れば、遠道致すべし。賢士も合有れば、大道明らかにすべし。
-
『韓非子』難二第三十七桓公曰く、「吾聞く、人に君たる者は人を索むるに労し、人を使うに佚すと。吾仲父を得ること已に難し。仲父を得るの後、何為れぞ易からざらんや。」
-
論語・微子篇周に八士有り。伯達・伯适・仲突・仲忽・叔夜・叔夏・季隨・季騧。