春秋左氏伝 / 定公十年 享は徳を昭らかにする所以
齊魯之故。吾子何不聞焉。事既成矣。而又享之。是勤執事也。且犧象不出門。嘉樂不野合。饗而既具。是棄禮也。若其不具。用秕稗也。用秕稗君辱。棄禮名惡。子盍圖之。夫享所以昭德也。不昭不如其已也。乃不果享。齊人來歸鄆讙龜陰之田。晉趙鞅圍衛。報夷儀也。初。衛侯伐邯鄲午於寒氏。城其西北而守之。宵熸。及晉圍衛。午以徒七十人門於衛西門。殺人於門中。曰。請報寒氏之役。涉佗曰。夫子則勇矣。然我往。必不敢啟門。亦以徒七十人。旦門焉。步左右。皆至而立。如植。日中不啟門。乃退。反役。
新字:斉魯之故。吾子何不聞焉。事既成矣。而又享之。是勤執事也。且犠象不出門。嘉楽不野合。饗而既具。是棄礼也。若其不具。用秕稗也。用秕稗君辱。棄礼名悪。子盍図之。夫享所以昭徳也。不昭不如其已也。乃不果享。斉人来帰鄆讙亀陰之田。晋趙鞅囲衛。報夷儀也。初。衛侯伐邯鄲午於寒氏。城其西北而守之。宵熸。及晋囲衛。午以徒七十人門於衛西門。殺人於門中。曰。請報寒氏之役。渉佗曰。夫子則勇矣。然我往。必不敢啓門。亦以徒七十人。旦門焉。歩左右。皆至而立。如植。日中不啓門。乃退。反役。
書き下し
「齊・魯の故、吾子何ぞ聞かざらん。事既に成れり。而るに又之を享するは、是れ執事を勤むるなり。且つ犧象は門を出でず、嘉樂は野合せず。饗して既に具はらば、是れ禮を棄つるなり。若し其れ具はらずんば、秕稗を用ゐるなり。秕稗を用ゐれば君辱められ、禮を棄つれば名惡し。子盍ぞ之を圖らざる。夫れ享は德を昭らかにする所以なり。昭らかならずんば、其の已むに如かざるなり」と。乃ち果たして享せず。齊人、來りて鄆・讙・龜陰の田を歸す。晉の趙鞅、衛を圍む。夷儀に報ゆるなり。初め、衛侯、邯鄲午を寒氏に伐ち、其の西北に城きて之を守る。宵に熸ゆ。晉の衛を圍むに及び、午、徒七十人を以て衛の西門に門し、人を門中に殺して曰く、「請ふ寒氏の役に報いん」と。涉佗曰く、「夫子は則ち勇なり。然れども我往かば、必ず敢へて門を啟かざらん」と。亦た徒七十人を以て、旦に焉に門す。左右に步し、皆至りて立つこと植の如し。日中まで門を啟かず。乃ち退く。役より反る。
現代語訳
「斉と魯の古くからの礼のしきたりを、あなたはお聞きになっていないのですか。会盟の事はすでに終わりました。そのうえ饗宴を開くのは、役人たちを無駄に煩わせることです。それに、犠尊・象尊(牛や象をかたどった祭器)は門の外に持ち出さないもの、正式の音楽は野外では合奏しないものです。饗宴でそれらを野外にすべて揃えるなら、それは礼を捨てることになります。もし揃えないなら、実のない籾や稗を出すようなものです。籾や稗を出せば君を辱め、礼を捨てれば名を汚します。あなたはどうしてそれをお考えにならないのか。そもそも饗宴とは徳を明らかにするためのものです。明らかにできないなら、やめるに越したことはありません」。こうして結局、饗宴は行われなかった。斉の人がやって来て、鄆・讙・亀陰の田を魯に返した。晋の趙鞅は衛を包囲した。夷儀の戦い(衛が斉と組んで晋を攻めたこと)の報復である。これより先、衛侯は邯鄲午を寒氏で攻め、その西北に城を築いて守らせたが、守備兵は夜のうちに逃げ散った。晋が衛を包囲すると、邯鄲午は兵七十人を率いて衛の西門を攻め、門の中で人を殺して言った。「寒氏の戦いの仕返しをさせていただこう」。渉佗は言った。「あの方はたしかに勇ましい。しかし私が行けば、衛は決して門を開こうとはしないだろう」。渉佗もまた兵七十人を率いて、朝のうちに門を攻めた。兵を門の左右に配し、全員がそこに着くと、植えた木のように立ったまま動かなかった。昼になっても衛は門を開かなかった。そこで退いた。晋軍は戦役から引き上げた。
解説
この章句が説くこと
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