論語 / 学而篇
有子曰、「禮之用、和爲貴。先王之道、斯爲美。小大由之、有所不行。知和而和、不以禮節之、亦不可行也。」
新字:有子曰、「礼之用、和為貴。先王之道、斯為美。小大由之、有所不行。知和而和、不以礼節之、亦不可行也。」
書き下し
有子曰く、「礼の用は和を貴しと為す。先王の道も斯を美と為す。小大之に由れども、行われざる所有り。和を知りて和すれども、礼を以て之を節せざれば、亦行う可からざるなり。」
現代語訳
有子がおっしゃった。「礼の働きは、和を最も貴いものとする。古代の聖王の道も、これを最も美しいものとした。しかし、大小のことごとくこれに由ってばかりでは、行われない場合がある。和の貴さを知って和するだけで、礼によってそれを節制しなければ、やはり行うことはできない。」
解説
有子は、礼というものの働きは「和」つまり皆が心地よく調和することを何より大切にする、と述べます。昔の立派な王たちの政治も、この調和を美しいものとしていました。けれども、何でもかんでも「和を大事に」とばかり考えて行動すると、うまくいかないこともある、とも付け加えています。仲良くすることだけを目的にして、けじめや筋道を欠いてしまえば、それもまた立ち行かなくなるということです。これは今の家庭や職場でもよくあることです。角を立てたくないからと、言うべきことを言わずに何となく丸く収めようとすると、後になって余計にこじれてしまう場合があります。仲の良さを保ちながらも、必要な時にはきちんと筋を通す。この二つのつり合いを取ることこそが、本当の意味で心地よい人間関係を長く続けるこつなのです。
この章句が説くこと
礼和先王の道節制バランス調和
関連する章句
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『五常訓』巻之四・礼一周子、陰陽は理あつて後に和ぐといへり。二気の流行正しければ、四時の和行はる。人の道も亦同じ。礼正しく、次第みだれざれば、各其理を得て、和順行はる。故に曰く、礼は天地の序なり、楽は天地の和なり。礼は先にして、楽は後なり。人倫の交、先礼法正しく、次第乱れざれば、人と我と和合す。君臣、父子、夫婦、兄弟の間、其礼正しければ、おのづから和順なり。若礼なくして、臣下の疎きが親しきを越え、賤しきが貴きを越え、庶子が嫡子を越え、妾は妻を越えて、次第乱るれば、必うらみそむきて、和合せず。朋友の交も、礼正しければ、和睦して、あらそひ無くうらみ無し。又喧嘩口論などすることも、皆無礼よりおこる。若礼儀正しくば、和順行はれて、闘何ぞおこらんや。故に人の闘諍を止むるの道も、礼を正しくするにあり。
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『大和俗訓』巻之七・躬行下一世に交るには、和して流れざるをよしとす。和すれば人にそむかず。流れざれば道を失はず。是世にまじはる、よき程の中道なり。一五常五倫の道は、古今和漢同じ。若時により、所によりてかはらば、誠の道にあらず。法は時により、所によりて、よろしきと宜しからざる事ある故に、古今和漢異なり。その国の礼法に背くべからず。国法にそむきて、古の礼法を行ふは、道にそむけり。但古の礼法の中に、国法に背かずして、今の世に行ひて宜しき事は行ふべし。もろこしの古の礼法なりとて、今の世の時宜にかなはずば行ふべからず。
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『五常訓』巻之四・礼一礼記に云く、礼楽は斯須も身を去るべからず。君子の道、礼楽の二を以て、身ををさめ、人を教ふ。礼は心の恭敬を本として、万事身の行の上に節文あるを云ふ。楽とは心の和楽を本として、昔聖人の作りたまへる歌舞八音の音楽の文あるを云ふ。音楽は心の和をみちびくそなへなり。後代の淫楽の心をとらかすとは、大に同じからず。礼を以て身をつつしみ修め、楽を以て心をやはらげ楽む。此二の事、しばらくも身を離るべからずとなり。是古の教の法なり。後代には、礼楽の教伝らず。されど、心のつつしみと楽とは、今とても、しばらく忘るべからず。つつしみ楽の二は、互にならび行はれて、相そむかざるべし。礼勝てば、かた過ぎて、人と我との間和せず。楽勝てば、和か過ぎて、礼儀をうしなひて、悪しき方にながる。礼楽二ながらそなはりて、よき程の中道行はる。故に論語に、礼の用は和を貴しとすと云ふ。又曰く、行はれざる所有り、礼以て節すと云ふ。是礼楽の二を以て、身ををさめ、事を行ふ、よき程の道あるを云ふ。
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『慎思録』巻之五礼楽は、聖人の人に教ふるの具なり。故に曰く、礼楽は斯須も身を去るべからず、と。蓋し礼楽に本有り文有り。礼楽の文は繁多なりと雖も、然れども礼の本は是れ一箇の敬、楽の本は是れ一箇の和なり。礼、之を外に表せば、則ち制度品節と為り、楽、之を外に表せば、則ち詠歌舞蹈と為る。所謂礼楽の文なり。本無ければ則ち立たず、文無ければ則ち行はれず。故に礼楽は本と文とを兼ねて全備と為す。礼勝れば則ち離る。故に楽有るを要す。楽勝れば則ち流る。故に礼有るを要す。二者相済ふべく、一を闕くべからざるなり。
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