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春秋左氏伝 / 昭公二十七年 范献子、賄を取る

秋。會于扈。令戍周。且謀納公也。宋衛皆利納公。固請之。范獻子取貨於季孫。謂司城子梁與北宮貞子曰。季孫未知其罪。而君伐之。請囚請亡。於是乎不獲。君又弗克。而自出也。夫豈無備而能出君乎。季氏之復。天救之也。休公徒之怒。而啟叔孫氏之心。不然。豈其伐人而說甲執冰以游。叔孫氏懼禍之濫。而自同於季氏。天之道也。魯君守齊。三年而無成。季氏甚得其民。淮夷與之。有十年之備。有齊楚之援。有天之贊。有民之助。有堅守之心。有列國之權。而弗敢宣也。

新字:秋。会于扈。令戍周。且謀納公也。宋衛皆利納公。固請之。范献子取貨於季孫。謂司城子梁与北宮貞子曰。季孫未知其罪。而君伐之。請囚請亡。於是乎不獲。君又弗克。而自出也。夫豈無備而能出君乎。季氏之復。天救之也。休公徒之怒。而啓叔孫氏之心。不然。豈其伐人而説甲執冰以游。叔孫氏懼禍之濫。而自同於季氏。天之道也。魯君守斉。三年而無成。季氏甚得其民。淮夷与之。有十年之備。有斉楚之援。有天之賛。有民之助。有堅守之心。有列国之権。而弗敢宣也。

書き下し

秋、扈に會す。周を戍(まも)らしめ、且つ公を納るるを謀るなり。宋・衛皆公を納るるを利とし、固く之を請ふ。范獻子、貨を季孫に取り、司城子梁と北宮貞子とに謂ひて曰く、「季孫未だ其の罪を知らずして、君之を伐つ。囚へられんことを請ひ、亡げんことを請ふも、是に於いてか獲ず。君又克たずして、自ら出づ。夫れ豈に備へ無くして能く君を出ださんや。季氏の復するは、天之を救ふなり。公徒の怒りを休め、叔孫氏の心を啟く。然らずんば、豈に其れ人を伐ちて甲を說(と)き冰を執りて以って游ばんや。叔孫氏、禍の濫(ひろ)がらんことを懼れて、自ら季氏に同じくす。天の道なり。魯君、齊に守ること三年にして成る無し。季氏甚だ其の民を得、淮夷之に與す。十年の備へ有り、齊・楚の援有り、天の贊有り、民の助け有り、堅守の心有り、列國の權有り。而も敢へて宣べず。

現代語訳

秋、扈で諸侯が会合した。周の守備を命じ、また昭公を魯に戻すことを相談するためである。宋と衛はともに昭公を戻すのがよいと考え、強く求めた。ところが范献子(士鞅、晋の卿)は季孫(季平子)から賄賂を受け取っていたので、司城子梁(宋の楽祁)と北宮貞子(衛の北宮喜)にこう言った。「季孫は自分の罪が何かも分からないうちに、君(昭公)に攻められた。捕らわれることを願い、亡命することを願ったが、それすら許されなかった。君はまた勝てずに、自分から国を出た。そもそも備えもなしに君を追い出せるものだろうか。季氏が立ち直ったのは、天が季氏を救ったのである。天は公の兵の怒りを鎮め、叔孫氏の心を開かせた。そうでなければ、人を攻めておきながら鎧を脱ぎ、矢筒の蓋を手にしてぶらぶらしているようなことがあろうか。叔孫氏は禍が広がるのを恐れて、自ら季氏と行動をともにした。これは天の道である。魯君は斉に身を寄せて三年になるが、何も成し遂げていない。季氏は民の心を大いに得ており、淮夷も味方している。十年分の備えがあり、斉や楚の後ろ盾があり、天の助けがあり、民の支えがあり、固く守る決意があり、一国に匹敵する力がある。それでもなお、そのことをあえて表に出さず、

解説

扈の会合で、宋と衛は昭公の帰国を強く求めた。これを押しとどめたのが、季孫から賄賂を受けていた晋の范献子である。彼の弁論は巧みで、賄賂の気配を少しも見せない。季孫は罪も告げられずに攻められ、譲歩もすべて退けられた。昭公は敗れて自ら出たのであって、季氏の復権は「天之を救ふ」ものだと言う。公の兵が鎧を脱いで油断していたこと、叔孫氏が季氏に付いたことを、すべて天意で説明する。さらに季氏は民を得て、十年の備え、斉楚の援、天の助け、民の支え、堅守の心、一国に匹敵する力を持ちながら、それを誇らないと、その強さを並べ立てる。実際には季氏の力の誇示であり、昭公の帰国は難しいという結論へ導く準備である。前の句の子猶と同じく、賄賂を受けた者は利害を天意や情勢判断の言葉で語る。立派に聞こえる情勢分析ほど、誰の利害から出ているのかを確かめる必要があることを示す場面である。

この章句が説くこと

賄賂天意弁論情勢分析利害

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