春秋左氏伝 / 昭公十二年 原と甘の乱
周原伯絞虐其輿臣。使曹逃。冬。十月。壬申。朔。原輿人逐絞而立公子跪。尋絞奔郊。甘簡公無子。立其弟過。過將去成景之族。成景之族賂劉獻公。丙申。殺甘悼公而立成公之孫鰌。丁酉。殺獻太子之傅。庾皮之子過。殺瑕辛于市。及宮嬖綽。王孫沒。劉州鳩。陰忌。老陽子。
新字:周原伯絞虐其輿臣。使曹逃。冬。十月。壬申。朔。原輿人逐絞而立公子跪。尋絞奔郊。甘簡公無子。立其弟過。過将去成景之族。成景之族賂劉献公。丙申。殺甘悼公而立成公之孫鰌。丁酉。殺献太子之傅。庾皮之子過。殺瑕辛于市。及宮嬖綽。王孫没。劉州鳩。陰忌。老陽子。
書き下し
周の原伯絞其の輿臣を虐げ、曹て逃れしむ。冬、十月、壬申、朔、原の輿人絞を逐ひて公子跪尋を立つ。絞郊に奔る。甘の簡公子無し。其の弟過を立つ。過將に成・景の族を去らんとす。成・景の族劉の獻公に賂ふ。丙申、甘の悼公を殺して成公の孫鰌を立つ。丁酉、獻太子の傅、庾皮の子過を殺し、瑕辛を市に殺し、及び宮嬖綽・王孫沒・劉州鳩・陰忌・老陽子を殺す。
現代語訳
周の原伯絞(原の領主)は配下の輿臣(下級の家臣)を虐げ、彼らを集団で逃亡させるほどであった。冬十月壬申の朔日、原の輿臣たちは絞を追い出して、公子跪尋(絞の弟)を立てた。絞は郊に逃れた。甘の簡公には子がなく、弟の過を立てた。過は成公・景公の一族を追い払おうとした。成公・景公の一族は劉の献公(周の卿士)に賄賂を贈った。丙申の日、劉献公は甘の悼公(過)を殺して、成公の孫の鰌を立てた。丁酉の日、献太子の傅(守り役)である庾皮の子の過を殺し、瑕辛を市場で殺し、さらに宮嬖綽・王孫没・劉州鳩・陰忌・老陽子を殺した。
解説
この章句が説くこと
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『甲陽軍鑑』品第四十一国の仕置武士までの事にいろはせ給へば、其家老必らず賄賂にふけり、礼物をもつて諸役者に諸奉公人共なるにより、彼役者どもの存分我立身したることわざをば、死するまでもよきことと存ずるに付、いはんや存生さかんの時、我に音信つかふ人をば善悪の弁もなく、これはよき人と存じ、御大将へ出頭よく取成て、礼物つかふ人ばかり立身して本のよき者はおし付られ、心いさむ事なく、さながら其大将へ無沙汰申し、ゆく〳〵用にも立まじきと思ふなり、
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『秘本玉くしげ』下 使う者を罰すこれを止る法は、まづ賄を取者を禁むるのみならず、これをつかふ者をきびしくいましめて、何事によらずいささかにても賄をつかふ者相しるるに於ては、急度曲事に申付べしとの旨をつねづねふれおかれて、もし犯す者あらんには、一人二人きびしく咎められなどせば、つかふ者は勿論にて、とる人もおのづからきみわろかるべし。上の制禁ならんには、これをつかはぬを怒ることも得せじ。そもそも賄は、つかふ者にはとがなくして、罪は取者にある事なれ共、取者をのみ制しては止がたければ、つかふ者をいましむるも一つの権道なるべきにや。
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『秘本玉くしげ』下 賄賂の損得すべて世中に此筋盛んなるゆゑに、おのづから国政正しくは行はれがたく、又上に損失ある事おびただしく、下にも損害甚多し。たとへば、金千両入べきところをも、役人へ三百両賄すれば五百両にてすむゆゑに、下にも二百両の得あれども、上には五百両だけの所の損あり。或は五百両にてすむべき事も、賄をせざれば七百両も八百両も入りて、其二百両三百両は脇道へぬけ行やうの事も有て、上にも利なく、下には大損ありて、あまつさへ上を恨み奉ること甚し。されば、国政の大害、下民の大害、此賄に過たるはなし。
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『秘本玉くしげ』下 賄賂は人情惣じて物を得ることを願ふは、千人万人まぬがれがたき人情のつねにて、本より然るべき理也。それに付ては、物を人のくるるを悦ぶも又人情なる故に、物を人に贈りて志のほどをあらはすも、本より然あるべき道理、古今いづれの国とても皆同じ事也。されば万の事に、その相手の人を悦ばせて其事を成就せんとはかるに、賄賂といふ物をつかふ事のあるも、おのづから然るべきいきほひ也。さて物を得るを悦ぶは本より人情なれば、その賄を受るもさのみ咎ともいひがたし。殊更此事、世中のなべてのならひと成ぬる事なれば、其人を深くとがむべき事にもあらず。然れ共、此賄の筋は甚国政の害となる事故に、古より深くこれをいましむる事なれども、とにかくに止がたきものにして、次第に増長し、近来は殊に甚しき事共あり。
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