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春秋左氏伝 / 昭公十年 喪に幣を用いず

秋。七月。平子伐莒。取郠。獻俘。始用人於亳社。臧武仲在齊。聞之。曰。周公其不饗魯祭乎。周公饗義。魯無義。詩曰。德音孔昭。視民不佻。佻之謂甚矣。而壹用之。將誰福哉。戊子。晉平公卒。鄭伯如晉。及河。晉人辭之。游吉遂如晉。九月。叔孫婼。齊國弱。宋華定。衛北宮喜。鄭罕虎。許人。曹人。莒人。邾人。薛人。杞人。小邾人。如晉。葬平公也。鄭子皮將以幣行。子產曰。喪焉用幣。用幣必百兩。百兩必千人。千人至。將不行。不行。必盡用之。幾千人而國不亡。子皮固請以行。既葬。諸侯之大夫欲因見新君。叔孫昭子曰。非禮也。弗聽。叔向辭之。曰。大夫之事畢矣。而又命孤。

新字:秋。七月。平子伐莒。取郠。献俘。始用人於亳社。臧武仲在斉。聞之。曰。周公其不饗魯祭乎。周公饗義。魯無義。詩曰。徳音孔昭。視民不佻。佻之謂甚矣。而壱用之。将誰福哉。戊子。晋平公卒。鄭伯如晋。及河。晋人辞之。游吉遂如晋。九月。叔孫婼。斉国弱。宋華定。衛北宮喜。鄭罕虎。許人。曹人。莒人。邾人。薛人。杞人。小邾人。如晋。葬平公也。鄭子皮将以幣行。子産曰。喪焉用幣。用幣必百両。百両必千人。千人至。将不行。不行。必尽用之。幾千人而国不亡。子皮固請以行。既葬。諸侯之大夫欲因見新君。叔孫昭子曰。非礼也。弗聴。叔向辞之。曰。大夫之事畢矣。而又命孤。

書き下し

秋、七月、平子莒を伐ち、郠を取る。俘を獻じ、始めて人を亳社に用ふ。臧武仲齊に在り。之を聞きて曰く、「周公其れ魯の祭を饗けざらんか。周公は義を饗く。魯は義無し。詩に曰く、『德音孔だ昭らかなり、民を視ること佻からず』と。之を佻くすること甚だしと謂ふべし。而して壹に之を用ゐば、將に誰にか福せんとする」と。戊子、晉の平公卒す。鄭伯晉に如く。河に及び、晉人之を辭す。游吉遂に晉に如く。九月、叔孫婼・齊の國弱・宋の華定・衛の北宮喜・鄭の罕虎・許人・曹人・莒人・邾人・薛人・杞人・小邾人、晉に如く。平公を葬るなり。鄭の子皮將に幣を以って行かんとす。子產曰く、「喪に焉んぞ幣を用ゐん。幣を用ゐれば必ず百兩。百兩なれば必ず千人。千人至らば、將に行はれざらんとす。行はれずんば、必ず盡く之を用ゐん。幾たびか千人にして國亡びざらん」と。子皮固く請ひて以って行く。既に葬る。諸侯の大夫因りて新君に見えんと欲す。叔孫昭子曰く、「禮に非ざるなり」と。聽かず。叔向之を辭して曰く、「大夫の事畢れり。而るに又孤に命ず。

現代語訳

秋七月、季平子(魯の執政)は莒を攻め、郠を取った。捕虜を献上し、初めて人を亳社(殷の社)の犠牲に用いた。臧武仲(魯から亡命した大夫)は斉にいて、これを聞いて言った。「周公は魯の祭りを受けてくださらないのではないか。周公は義ある祭りを受けるが、魯には義がない。『詩』に『徳のある言葉ははなはだ明らかで、民を軽んじない』とある。人を犠牲にするのは、民を軽んじることの甚だしいものである。そのうえ人を家畜と同じように用いたのでは、神は誰に福を与えようか」。戊子の日、晋の平公が死んだ。鄭伯が弔問のため晋へ向かったが、黄河まで来ると、晋人がそれを辞退させた。游吉がそのまま晋へ行った。九月、叔孫婼(叔孫昭子、魯の卿)・斉の国弱・宋の華定・衛の北宮喜・鄭の罕虎・許人・曹人・莒人・邾人・薛人・杞人・小邾人が晋に行った。平公を葬るためである。鄭の子皮(罕虎)は新君に会うための贈り物を持って行こうとした。子産は言った。「喪にどうして贈り物を用いるのですか。贈り物を持っていけば必ず車百両が要ります。百両なら必ず千人が要ります。千人が行っても、喪中ですから会見は行われないでしょう。行われなければ、滞在のうちに必ずそれを使い尽くしてしまいます。千人の出費を何度もして、国が滅びないことがありましょうか」。子皮は強く願って、贈り物を持って行った。葬儀が終わると、諸侯の大夫たちはこの機会に新君に会おうとした。叔孫昭子は言った。「礼ではない」。しかし彼らは聞き入れなかった。叔向(晋の大夫)が彼らを断って言った。「大夫方のお務めは終わりました。それなのにまた孤(喪中の新君)に会見をお求めになる。

解説

魯の季平子は莒を攻めて郠を取り、捕虜を亳社の犠牲にした。人を神に捧げたのは魯で初めてだと左伝は書く。斉に亡命していた臧武仲は、周公は義ある祭りを受けるのであって、民を軽んじる魯の祭りは受けないだろうと批判した。後半は晋の平公の葬儀である。鄭の子皮は、葬儀のついでに新君と会見するための贈り物を持って行こうとする。子産は止めた。贈り物には車百両、百両には千人が要る。喪中に会見は行われず、結局は滞在の費用で使い果たすことになる、と。子産の予測は具体的で、数字で費用を見積もっている。子皮は聞かずに出かけた。諸侯の大夫たちも会見を求めたが、魯の叔孫昭子は礼に反すると言い、晋の叔向が断りの言葉を述べ始める。先例と礼から結果を読む者と、機会を逃すまいとする者との差が、この葬儀の場ではっきり分かれていく。

この章句が説くこと

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