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春秋左氏伝 / 昭公七年 其の父薪を析く

晉侯有間。賜子產莒之二方鼎。子產為豐施歸州田於韓宣子。曰。日君以夫公孫段。為能任其事。而賜之州田。今無祿早世。不獲久享君德。其子弗敢有。不敢以聞於君。私致諸子。宣子辭。子產曰。古人有言曰。其父析薪。其子弗克負荷。施將懼不能任其先人之祿。其況能任大國之賜。縱吾子為政而可。後之人若屬有疆埸之言。敝邑獲戾。而豐氏受其大討。吾子取州。是免敝邑於戾。而建置豐氏也。敢以為請。宣子受之。以告晉侯。晉侯以與宣子。宣子為初言。病有之。以易原縣於樂大心。

新字:晋侯有間。賜子産莒之二方鼎。子産為豊施帰州田於韓宣子。曰。日君以夫公孫段。為能任其事。而賜之州田。今無禄早世。不獲久享君徳。其子弗敢有。不敢以聞於君。私致諸子。宣子辞。子産曰。古人有言曰。其父析薪。其子弗克負荷。施将懼不能任其先人之禄。其況能任大国之賜。縦吾子為政而可。後之人若属有疆埸之言。敝邑獲戻。而豊氏受其大討。吾子取州。是免敝邑於戻。而建置豊氏也。敢以為請。宣子受之。以告晋侯。晋侯以与宣子。宣子為初言。病有之。以易原県於楽大心。

書き下し

晉侯間有り。子產に莒の二方鼎を賜ふ。子產豐施の為に州田を韓宣子に歸して曰く、「日(さき)に君夫の公孫段を以て、能く其の事に任ふと為して、之に州田を賜ふ。今祿無くして早世し、久しく君の德を享くるを獲ず。其の子敢へて有たず、敢へて以て君に聞せず、私かに諸を子に致す」と。宣子辭す。子產曰く、「古人言有りて曰く、『其の父薪を析くも、其の子負荷する克はず』と。施將に其の先人の祿に任ふる能はざるを懼る。其れ況んや能く大國の賜に任へんや。縱ひ吾子政を為して可なりとも、後の人若し屬(たまたま)疆埸の言有らば、敝邑戾を獲て、豐氏其の大討を受けん。吾子州を取らば、是れ敝邑を戾より免れしめて、豐氏を建置するなり。敢へて以て請ふと為す」と。宣子之を受け、以て晉侯に告ぐ。晉侯以て宣子に與ふ。宣子初言の為に、之を有つを病み、以て原縣を樂大心に易ふ。

現代語訳

晋侯(平公)の病は少しよくなった。平公は子産に莒の二つの方鼎を賜った。子産は豊施(公孫段の子)のために、州の田を韓宣子に返して言った。「先ごろ晋の君は、あの公孫段が職務をよく果たせる者だとして州の田を賜りました。ところがいま、公孫段は福に恵まれず早世し、君のご恩を長く受けることができませんでした。その子は、あえてこの地を持ち続けようとはせず、かといって君に直接申し上げることもはばかられるので、内々にあなたにお返しいたします」。宣子は辞退した。子産は言った。「古人の言葉に『父が薪を割っても、その子はそれを背負うことができない』とあります。豊施は、父祖の禄さえ引き受けきれないのではないかと恐れています。まして大国からの賜り物を引き受けられましょうか。たとえあなたが政権にある間は差し支えなくても、後の人がもし国境の争いでも持ち出すようなことがあれば、敝邑(鄭)は罪を得て、豊氏はきびしい討伐を受けるでしょう。あなたが州をお取りになれば、敝邑を罪から免れさせ、豊氏を立ち行かせてくださることになります。あえてお願い申し上げる次第です」。宣子は州の田を受け取り、晋侯に報告した。晋侯はそれを宣子に与えた。宣子は、以前に州を取るまいと言った手前、自分で持つことをはばかり、宋の楽大心の原県と交換した。

解説

鄭の公孫段は晋から州の田を賜っていたが、この地はもともと晋の韓氏らが欲しがっていた曰く付きの土地である。段が亡くなると、子産はその子豊施のために州の田を韓宣子に返した。理由として「其の父薪を析くも、其の子負荷する克はず」という古人の言葉を引く。父が割った薪も、子には背負いきれないことがある。父の代の功で得た大国の賜り物は、力のない子にはかえって重荷になり、後日、国境争いの火種になれば、鄭も豊氏も罰を受ける。子産は、豊施に土地を守る力がないことを率直に認め、早めに手放して禍の種を断った。受け取った韓宣子もまた、以前に州は取らないと言った手前、自分では持たず、別の県と交換した。前の代から引き継いだ資産や権益が、次の代にとって負債になることがある。それを見極めて手放すのも、事業承継の判断である。

この章句が説くこと

事業承継分をわきまえる先見外交禍根

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