春秋左氏伝 / 昭公五年 私労を賞せず
南遺曰。叔孫氏厚。則季氏薄。彼實家亂。子勿與知。不亦可乎。南遺使國人助豎牛。以攻諸大庫之庭。司宮射之。中目而死。豎牛取東鄙三十邑。以與南遺。昭子即位。朝其家眾曰。豎牛禍叔孫氏。使亂大從。殺適立庶。又披其邑。將以赦罪。罪莫大焉。必速殺之。豎牛懼。奔齊。孟、仲之子。殺諸塞關之外。投其首於寧風之棘上。仲尼曰。叔孫昭子之不勞。不可能也。周任有言曰。為政者不賞私勞。不罰私怨。詩云。有覺德行。四國順之。初。穆子之生也。莊叔以周易筮之。遇明夷之謙。以示卜楚丘。曰。是將行。而歸為子祀。
新字:南遺曰。叔孫氏厚。則季氏薄。彼実家乱。子勿与知。不亦可乎。南遺使国人助豎牛。以攻諸大庫之庭。司宮射之。中目而死。豎牛取東鄙三十邑。以与南遺。昭子即位。朝其家衆曰。豎牛禍叔孫氏。使乱大従。殺適立庶。又披其邑。将以赦罪。罪莫大焉。必速殺之。豎牛懼。奔斉。孟、仲之子。殺諸塞関之外。投其首於寧風之棘上。仲尼曰。叔孫昭子之不労。不可能也。周任有言曰。為政者不賞私労。不罰私怨。詩云。有覚徳行。四国順之。初。穆子之生也。荘叔以周易筮之。遇明夷之謙。以示卜楚丘。曰。是将行。而帰為子祀。
書き下し
南遺曰く、「叔孫氏厚ければ、則ち季氏薄し。彼實に家亂る。子與り知ること勿くんば、亦た可ならずや」と。南遺國人をして豎牛を助けしめ、以て諸を大庫の庭に攻む。司宮之を射る。目に中りて死す。豎牛東鄙の三十邑を取りて、以て南遺に與ふ。昭子位に即き、其の家衆を朝せしめて曰く、「豎牛叔孫氏に禍し、大從を亂さしむ。適を殺して庶を立て、又其の邑を披(わか)つ。將に以て罪を赦されんとす。罪焉より大なるは莫し。必ず速やかに之を殺さん」と。豎牛懼れて、齊に奔る。孟・仲の子、諸を塞關の外に殺し、其の首を寧風の棘の上に投ず。仲尼曰く、「叔孫昭子の勞とせざる、能くすべからざるなり。周任言有りて曰く、『政を為す者は私勞を賞せず、私怨を罰せず』と。詩に云ふ、『覺(おほ)いなる德行有れば、四國之に順ふ』と」。初め、穆子の生まるるや、莊叔周易を以て之を筮し、明夷の謙に之くに遇ふ。以て卜楚丘に示す。曰く、「是れ將に行らんとし、而して歸りて子の祀を為さん。
現代語訳
南遺が季孫に言った。「叔孫氏が強くなれば、そのぶん季氏は弱くなります。あちらはいま実際に家が乱れているのですから、あなたは関わらずにおけばよいではありませんか」。南遺は国人を動かして豎牛を助けさせ、大庫の庭で仲壬を攻めさせた。司宮が仲壬を射て、矢が目に当たり、仲壬は死んだ。豎牛は叔孫家の東の辺境の三十邑を取って、南遺に与えた。昭子(叔孫婼)が当主の位に就くと、家中の者たちを集めて言った。「豎牛は叔孫氏に禍をもたらし、家の大いなる秩序を乱した。嫡子を殺して庶子を立て、さらに家の邑を切り分けて人に与えた。それで自分の罪を赦してもらおうというのだ。これより大きな罪はない。必ず速やかに殺さねばならぬ」。豎牛は恐れて斉へ逃げた。孟丙と仲壬の子らが、国境の関所の外で豎牛を殺し、その首を寧風の地の茨の上に投げ捨てた。仲尼(孔子)は言った。「叔孫昭子が、豎牛に立ててもらった恩を功労とみなさなかったのは、なかなかできないことである。周任の言葉に『政治をする者は、自分への個人的な功労を賞さず、自分への個人的な怨みで罰しない』とある。詩にも『大いなる徳行があれば、四方の国がこれに従う』という」。これより前、穆子(叔孫豹)が生まれたとき、父の荘叔(叔孫得臣)が周易でその将来を占い、明夷の卦が謙の卦に変わる結果を得た。それを卜官の楚丘に見せると、楚丘は言った。「この子はいずれ国を出て行くが、帰ってきてあなたの祭祀を継ぐでしょう。
解説
この章句が説くこと
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