韓非子 / 內儲說上七術第三十
魏惠王謂卜皮曰:「子聞寡人之聲聞亦何如焉?」對曰:「臣聞王之慈惠也。」王欣然喜曰:「然則功且安至?」對曰:「王之功至於亡。」王曰:「慈惠,行善也。行之而亡,何也?」卜皮對曰:「夫慈者不忍,而惠者好與也。不忍則不誅有過,好予則不待有功而賞。
新字:魏恵王謂卜皮曰:「子聞寡人之声聞亦何如焉?」対曰:「臣聞王之慈恵也。」王欣然喜曰:「然則功且安至?」対曰:「王之功至於亡。」王曰:「慈恵,行善也。行之而亡,何也?」卜皮対曰:「夫慈者不忍,而恵者好与也。不忍則不誅有過,好予則不待有功而賞。
書き下し
魏の惠王ト皮に謂いて曰く、「子寡人の聲聞を聞く、亦た何如。」...對えて曰く、「臣王の慈惠なるを聞けり。」...王の功亡ぶるに至らん。...夫れ慈とは忍びずして、とは、與うるを好むなり。忍びざれば則ち過ち有るを誅せず、予うるを好めば則ち功有るを待たずして賞す。
現代語訳
魏の王が卜皮に「私の評判はどうか」と尋ねた。「慈悲深い(慈惠)と聞いております」 。「(ならば功績は安泰だな)」「いえ、あなたの功績はやがて『亡びる』でしょう」 。「なぜか」「『慈(情け)』とは(罰すべきを)忍びないこと、『恵』とは(功績なく)与えるのを好むこと。忍びなければミス(過ち)を罰せず、与えるのを好めば功績(功)を待たずに賞を与えてしまうからです。」
解説
リーダーの「優しさ(慈恵)」が、組織運営においては「害」になるという指摘 。部下を「思いやる」あまり「必罰」 を行えず(過ち有るを誅せず)、功績がないのに温情で「信賞」 を与えてしまう(功有るを待たずして賞す)と、組織の規律は崩壊し、やがては(優しさが仇となり)組織が滅びる(亡ぶる)ことになります。
この章句が説くこと
信賞必罰温情主義情実人事規律必罰
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