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春秋左氏伝 / 昭公元年 疆場の邑、一彼一此

畏威而敬命矣。子若免之。以勸左右可也。若子之群吏。處不辟污。出不逃難。其何患之有。患之所生。污而不治。難而不守。所由來也。能是二者。又何患焉。不靖其能。其誰從之。魯叔孫豹可謂能矣。請免之以靖能者。子會而赦有罪。又賞其賢。諸侯其誰不欣焉。望楚而歸之。視遠如邇。疆場之邑。一彼一此。何常之有。王伯之令也。引其封疆。而樹之官。舉之表旗。而著之制令。過則有刑。猶不可壹。於是乎虞有三苗。夏有觀扈。商有姺邳。周有徐奄。自無令王諸侯逐進。狎主齊盟。其又可壹乎。恤大舍小。足以為盟主。又焉用之。封疆之削。何國蔑有。主齊盟者。誰能辯焉。吳濮有釁。

新字:畏威而敬命矣。子若免之。以勧左右可也。若子之群吏。処不辟汚。出不逃難。其何患之有。患之所生。汚而不治。難而不守。所由来也。能是二者。又何患焉。不靖其能。其誰従之。魯叔孫豹可謂能矣。請免之以靖能者。子会而赦有罪。又賞其賢。諸侯其誰不欣焉。望楚而帰之。視遠如邇。疆場之邑。一彼一此。何常之有。王伯之令也。引其封疆。而樹之官。舉之表旗。而著之制令。過則有刑。猶不可壱。於是乎虞有三苗。夏有観扈。商有姺邳。周有徐奄。自無令王諸侯逐進。狎主斉盟。其又可壱乎。恤大舎小。足以為盟主。又焉用之。封疆之削。何国蔑有。主斉盟者。誰能弁焉。呉濮有釁。

書き下し

威を畏れて命を敬せり。子若し之を免さば、以て左右を勸めて可なり。若し子の群吏、處りては污を辟けず、出でては難を逃れずんば、其れ何の患か之れ有らん。患の生ずる所は、污れて治めず、難ありて守らざる、由りて來る所なり。是の二者を能くせば、又何をか患へん。其の能を靖んぜずんば、其れ誰か之に從はん。魯の叔孫豹は能と謂ふべし。請ふ之を免して以て能者を靖んぜん。子會して罪有るを赦し、又其の賢を賞せば、諸侯其れ誰か欣ばざらん。楚を望みて之に歸し、遠きを視ること邇きが如くならん。疆場の邑は、一は彼一は此、何の常か之れ有らん。王伯の令や、其の封疆を引きて、之に官を樹て、之に表旗を舉げて、之を制令に著す。過ぐれば則ち刑有るも、猶ほ壹にすべからず。是に於てか虞に三苗有り、夏に觀・扈有り、商に姺・邳有り、周に徐・奄有り。令王無きより、諸侯逐ひて進み、狎れて齊盟を主る。其れ又壹にすべけんや。大を恤へて小を舍かば、以て盟主為るに足る。又焉んぞ之を用ゐん。封疆の削らるる、何れの國か蔑からん。齊盟を主る者、誰か能く焉を辯ぜん。吳・濮釁有らば、

現代語訳

権威を畏れて命令を重んじたのです。あなたがもし彼を赦せば、それによって側近の人々を励ますことができましょう。もしあなたの配下の役人たちが、国内にあっては汚れ仕事を避けず、国外に出ては困難から逃げないならば、何の心配がありましょう。心配ごとが生じるのは、汚れたところを放置して治めず、困難があっても守らないことから来るのです。この二つができれば、何を心配することがありましょう。有能な者を安心させなければ、誰がついてきましょうか。魯の叔孫豹は有能な者と言うべきです。どうか彼を赦して、有能な者を安心させてください。あなたが会合を開いて罪ある国を赦し、さらにその賢者を賞するならば、諸侯の誰が喜ばないでしょうか。みな楚を仰ぎ見て帰服し、遠い国も近い国のように親しむでしょう。国境の邑は、あるときはあちらのもの、あるときはこちらのもので、何の定まりもありません。古の王者や覇者の命令でも、国境を定めて役人を置き、標識の旗を立て、それを法令に記して、越えれば刑罰があるとしても、なお統一することはできませんでした。だからこそ虞舜の時代には三苗があり、夏には観・扈があり、殷には姺・邳があり、周には徐・奄があって、いずれも背いたのです。立派な王がいなくなってからは、諸侯が争って勢力を伸ばし、代わる代わる盟約を主宰してきました。どうして統一などできましょう。大きな問題を憂え、小さな問題を捨て置けば、盟主として十分です。どうしてこんな小事に関わる必要がありましょう。国境を削られたことのない国がどこにありましょう。盟約を主宰する者が、どうしてそれをいちいち裁けましょうか。呉や濮との間に争いの隙が生じれば、

解説

趙孟が楚に叔孫豹の助命を求める弁論の中核部分である。論点は二つある。一つは人材の論理で、国内では汚れ仕事を避けず、国外では困難から逃げない役人がいれば国に憂いはない、叔孫はまさにそういう有能な者であり、彼を赦せば諸国の有能な者を安心させ、楚の声望も高まると説く。罪を問うより賢を賞するほうが盟主の利益になるという説得である。もう一つは国境紛争の相対化で、「疆場の邑、一彼一此、何の常か之れ有らん」と述べ、国境の小邑は取ったり取られたりするもので、古の聖王の時代でさえ統一できなかったと歴史を並べる。盟主は大局を憂えて小事は捨て置けばよいという主張である。魯の鄆奪取を盟約違反という大事から、よくある国境の揉め事へと位置づけ直しているのである。問題の大きさをどう位置づけるかで処分の重さが変わる。個々の違反を厳格に裁くことと全体の秩序を保つこととの兼ね合いを、この弁論は具体的に示している。

この章句が説くこと

大局観人材寛容説得盟主

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