春秋左氏伝 / 襄公十四年 狐裘にして羔袖
衛人將殺之。辭曰。余不說初矣。余狐裘而羔袖。乃赦之。衛人立公孫剽。孫林父。甯殖。相之。以聽命於諸侯。衛侯在郲。臧紇如齊唁衛侯。與之言虐。退而告其人曰。衛侯其不得入矣。其言糞土也。亡而不變。何以復國。子展。子鮮。聞之。見臧紇與之言道。臧孫說。謂其人曰。衛君必入。夫二子者。或輓之。或推之。欲無入得乎。師歸自伐秦。晉侯舍新軍。禮也。成國不過半天子之軍。周為六軍。諸侯之大者。三軍可也。於是知朔生盈而死。盈生六年而武子卒。彘裘亦幼。皆未可立也。新軍無帥。故舍之。
新字:衛人将殺之。辞曰。余不説初矣。余狐裘而羔袖。乃赦之。衛人立公孫剽。孫林父。甯殖。相之。以聴命於諸侯。衛侯在郲。臧紇如斉唁衛侯。与之言虐。退而告其人曰。衛侯其不得入矣。其言糞土也。亡而不変。何以復国。子展。子鮮。聞之。見臧紇与之言道。臧孫説。謂其人曰。衛君必入。夫二子者。或輓之。或推之。欲無入得乎。師帰自伐秦。晋侯舎新軍。礼也。成国不過半天子之軍。周為六軍。諸侯之大者。三軍可也。於是知朔生盈而死。盈生六年而武子卒。彘裘亦幼。皆未可立也。新軍無帥。故舎之。
書き下し
衛人將に之を殺さんとす。辭して曰く、「余初めを說ばざりき。余は狐裘にして羔袖なり」と。乃ち之を赦す。衛人公孫剽を立て、孫林父・甯殖之を相けて、以って命を諸侯に聽く。衛侯郲に在り。臧紇齊に如きて衛侯を唁す。之と言ふに虐なり。退きて其の人に告げて曰く、「衛侯其れ入るを得ざらん。其の言は糞土なり。亡びて變ぜず、何を以ってか國に復せん」と。子展・子鮮之を聞き、臧紇に見えて之と言ふに道あり。臧孫說びて、其の人に謂ひて曰く、「衛君必ず入らん。夫の二子なる者、或いは之を輓き、或いは之を推す。入る無からんと欲するも得んや」と。師秦を伐つより歸る。晉侯新軍を舍つ、禮なり。成國は天子の軍の半ばに過ぎず。周は六軍と為す。諸侯の大なる者、三軍にして可なり。是に於いて知朔盈を生みて死し、盈生まれて六年にして武子卒す。彘裘も亦た幼く、皆未だ立つべからず。新軍帥無し、故に之を舍つ。
現代語訳
衛の人々は(献公を見捨てて逃げ帰った)右宰穀を殺そうとした。右宰穀は弁明して言った。「私ははじめから(亡命に従うのを)喜んではいなかった。私は狐の皮衣に子羊の袖をつけたようなもので、全体は良く、悪いところは少しだけなのだ」。そこで衛の人々は彼を赦した。衛の人々は公孫剽(こうそんひょう)を君に立て、孫林父(孫文子)と甯殖(甯恵子)がこれを補佐して、諸侯の命令に従う立場を取った。衛侯(献公)は郲にいた。臧紇(ぞうこつ、臧武仲)は斉に行って衛侯を見舞ったが、衛侯の話しぶりは乱暴であった。臧紇は退出して従者に言った。「衛侯はきっと国に戻れないだろう。その言葉は糞土のように汚い。亡命しても態度を改めないのでは、どうして国を回復できようか」。子展と子鮮はこれを聞いて、臧紇に会って道理にかなった話をした。臧孫(臧紇)は喜んで従者に言った。「衛の君は必ず国に入るだろう。あの二人が、一人は前から引き、一人は後ろから押している。入るまいとしても無理であろう」。晋の軍が秦攻めから帰還した。晋侯(悼公)は新軍を廃止した。これは礼にかなっている。大国でも天子の軍の半分を超えないものである。周は六軍を持つから、諸侯の大国は三軍でよいのである。このとき、新軍の将であった知朔(ちさく、知罃の子)は子の知盈を生んで死に、知盈が生まれて六年で祖父の武子(知罃、知武子)が亡くなった。彘裘(ていきゅう、士魴の子)もまだ幼く、いずれも将に立てることができなかった。新軍には将帥がいなかったので、これを廃止したのである。
解説
この章句が説くこと
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