導師導古典を学びたいすべての人に

春秋左氏伝 / 襄公十二年 臨喪の礼と后を求む辞

十二年春。莒人伐我東鄙。圍台。季武子救台。遂入鄆。取其鐘以為公盤。夏。晉士魴來聘。且拜師。秋。吳子壽夢卒。臨於周廟。禮也。凡諸侯之喪。異姓臨於外。同姓於宗廟。同宗於祖廟。同族於禰廟。是故魯為諸姬。臨於周廟。為邢。凡。蔣。茅。胙。祭。臨於周公之廟。冬。楚子囊。秦庶長無地。伐宋。師于楊梁。以報晉之取鄭也。靈王求后于齊。齊侯問對於晏桓子。桓子對曰。先王之禮辭有之。天子求后於諸侯。諸侯對曰。夫婦所生若而人。妾婦之子若而人。無女而有姊妹。及姑姊妹。則曰。先守某公之遺女若而人。齊侯許昏。王使陰里逆之。公如晉。朝。且拜士魴之辱。禮也。秦嬴歸于楚。楚司馬子庚聘于秦。為夫人寧。禮也。

新字:十二年春。莒人伐我東鄙。囲台。季武子救台。遂入鄆。取其鐘以為公盤。夏。晋士魴来聘。且拝師。秋。呉子寿夢卒。臨於周廟。礼也。凡諸侯之喪。異姓臨於外。同姓於宗廟。同宗於祖廟。同族於祢廟。是故魯為諸姫。臨於周廟。為邢。凡。蒋。茅。胙。祭。臨於周公之廟。冬。楚子嚢。秦庶長無地。伐宋。師于楊梁。以報晋之取鄭也。霊王求后于斉。斉侯問対於晏桓子。桓子対曰。先王之礼辞有之。天子求后於諸侯。諸侯対曰。夫婦所生若而人。妾婦之子若而人。無女而有姊妹。及姑姊妹。則曰。先守某公之遺女若而人。斉侯許昏。王使陰里逆之。公如晋。朝。且拝士魴之辱。礼也。秦嬴帰于楚。楚司馬子庚聘于秦。為夫人寧。礼也。

書き下し

十二年春、莒人我が東鄙を伐ち、台を圍む。季武子、台を救ひ、遂に鄆に入り、其の鐘を取りて以て公の盤と為す。夏、晉の士魴來聘し、且つ師を拜す。秋、吳子壽夢卒す。周廟に臨む。禮なり。凡そ諸侯の喪には、異姓は外に臨み、同姓は宗廟に於てし、同宗は祖廟に於てし、同族は禰廟に於てす。是の故に魯は諸姬の為に周廟に臨み、邢・凡・蔣・茅・胙・祭の為に周公の廟に臨む。冬、楚の子囊・秦の庶長無地、宋を伐ち、楊梁に師す。以て晉の鄭を取るに報ゆるなり。靈王、后を齊に求む。齊侯、對ふるを晏桓子に問ふ。桓子對へて曰く、「先王の禮辭に之れ有り。天子、后を諸侯に求むれば、諸侯對へて曰く、『夫婦の生む所若而(じやくじ)人、妾婦の子若而人』と。女無くして姊妹及び姑姊妹有れば、則ち曰く、『先守某公の遺女若而人』と」と。齊侯昏を許す。王、陰里をして之を逆へしむ。公晉に如きて朝し、且つ士魴の辱を拜す。禮なり。秦嬴、楚に歸(とつ)ぐ。楚の司馬子庚、秦に聘す。夫人の為に寧(やす)んずるなり。禮なり。

現代語訳

襄公十二年の春、莒の人々が我が魯の東の辺境を討ち、台の邑を包囲した。季武子は台を救い、そのまま莒の鄆に攻め入って、その鐘を奪い、襄公の水盤に作り替えた。夏、晋の士魴が来聘し、あわせて魯が出兵したことに礼を述べた。秋、呉子寿夢が亡くなった。襄公は周廟(文王の廟)で哭礼を行った。礼にかなっている。およそ諸侯が亡くなったときには、異姓の君であれば城外で哭し、同姓であれば宗廟で、同じ宗の出であれば祖廟で、同じ族の出であれば父の廟で哭するのである。それゆえ魯は、姫姓の諸国のためには周廟で哭し、邢・凡・蔣・茅・胙・祭(いずれも周公の子孫の国)のためには周公の廟で哭する。(呉は周の太王の長子太伯の後裔とされる姫姓の国なので、周廟で哭したのである。)冬、楚の子囊と秦の庶長無地が宋を討ち、楊梁に陣を敷いた。晋が鄭を取ったことへの報復である。周の霊王が斉に后を求めた。斉の霊公は、どう答えるべきかを晏桓子(晏弱)に尋ねた。桓子は答えた。「先王の礼の言葉にございます。天子が諸侯に后を求めたときには、諸侯は『正夫人の生んだ娘がこれこれの人数、側室の娘がこれこれの人数おります』と答えます。娘がおらず、姉妹や叔母がいる場合には、『先代の君某公の遺した娘がこれこれの人数おります』と答えるのです」。斉侯は婚姻を承諾した。霊王は陰里を遣わして后を迎えさせた。襄公は晋に行って朝見し、あわせて士魴の来聘に礼を述べた。礼にかなっている。秦嬴(秦の公女)が楚に嫁いだ。楚の司馬子庚が秦に聘問した。夫人のために実家の安否を問うためである。礼にかなっている。

解説

襄公十二年の記事は、小さな出来事が並ぶ。その中で左伝が力を入れて説明しているのは、呉王寿夢の死に対する魯の哭礼である。呉は長く「蛮夷」扱いされていたが、周の太王の長子太伯の子孫を称する姫姓の国であり、魯は同姓の国として周廟で哭した。左伝はこれを機に、異姓・同姓・同宗・同族によって哭する場所を変えるという親疎の原則を整理している。血縁の遠近を礼の形で可視化する仕組みであり、呉を中原の秩序の中に位置づけるという政治的な意味もあった。また、天子が后を求めたときの答え方として晏桓子が示した「若而人」という定型の辞令は、娘の数を具体的に言わずに応じる外交上の慎みの表現である。季武子が奪った鐘を主君の水盤に作り替えた一件は、戦利品の扱いとして後に批判されることになる。形式の中に関係の距離をどう表すかという問題は、今日の慶弔の場でもなお生きている。

この章句が説くこと

礼親疎慶弔辞令同盟

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る