春秋左氏伝 / 襄公元年 即位には小国は朝し大国は聘す
元年春。己亥。圍宋彭城。非宋地。追書也。於是為宋討魚石。故稱宋。且不登叛人也。謂之宋志。彭城降晉。晉人以宋五大夫在彭城者歸。寘諸瓠丘。齊人不會彭城。晉人以為討。二月。齊大子光為質於晉。夏。五月。晉韓厥。荀偃。帥諸侯之師伐鄭。入其郛。敗其徒兵於洧上。於是東諸侯之師。次于鄫以待晉師。晉師自鄭。以鄫之師侵楚焦夷。及陳。晉侯。衛侯。次于戚。以為之援。秋。楚子辛救鄭。侵宋呂留。鄭子然侵宋。取犬丘。九月。邾子來朝。禮也。冬。衛子叔。晉知武子。來聘。禮也。凡諸侯即位。小國朝之。大國聘焉。以繼好結信。謀事補闕。禮之大者也。
新字:元年春。己亥。囲宋彭城。非宋地。追書也。於是為宋討魚石。故称宋。且不登叛人也。謂之宋志。彭城降晋。晋人以宋五大夫在彭城者帰。寘諸瓠丘。斉人不会彭城。晋人以為討。二月。斉大子光為質於晋。夏。五月。晋韓厥。荀偃。帥諸侯之師伐鄭。入其郛。敗其徒兵於洧上。於是東諸侯之師。次于鄫以待晋師。晋師自鄭。以鄫之師侵楚焦夷。及陳。晋侯。衛侯。次于戚。以為之援。秋。楚子辛救鄭。侵宋呂留。鄭子然侵宋。取犬丘。九月。邾子来朝。礼也。冬。衛子叔。晋知武子。来聘。礼也。凡諸侯即位。小国朝之。大国聘焉。以継好結信。謀事補闕。礼之大者也。
書き下し
元年春、己亥、宋の彭城を圍む。宋の地に非ざるに、追ひて書すなり。是に於て宋の爲に魚石を討つ、故に宋と稱す。且つ叛人を登せざるなり。之を宋の志と謂ふ。彭城、晉に降る。晉人、宋の五大夫の彭城に在る者を以て歸り、諸を瓠丘に寘(お)く。齊人、彭城に會せず。晉人以て討を爲す。二月、齊の大子光、晉に質と爲る。夏、五月、晉の韓厥・荀偃、諸侯の師を帥ゐて鄭を伐ち、其の郛(ふ)に入り、其の徒兵を洧上に敗る。是に於て東諸侯の師、鄫に次(やど)りて以て晉師を待つ。晉師、鄭よりし、鄫の師を以て楚の焦・夷及び陳を侵す。晉侯・衛侯、戚に次りて、以て之が援と爲る。秋、楚の子辛、鄭を救ひ、宋の呂・留を侵す。鄭の子然、宋を侵し、犬丘を取る。九月、邾子來朝す。禮なり。冬、衛の子叔・晉の知武子、來聘す。禮なり。凡そ諸侯位に即けば、小國は之に朝し、大國は焉に聘し、以て好を繼ぎ信を結び、事を謀り闕を補ふ。禮の大なる者なり。
現代語訳
襄公元年の春、己亥の日、諸侯の軍が宋の彭城を包囲した。このとき彭城は魚石らに占拠されていて宋の土地ではなかったのに「宋の彭城」と書いたのは、さかのぼって宋の地として書いたのである。この戦いは宋のために魚石を討つものだったので「宋」と称し、また叛いた者を土地の主として記録に載せないためでもある。これを宋の意志に沿った書き方という。彭城は晋に降伏した。晋は彭城にいた宋の五人の大夫(魚石ら)を連れ帰り、瓠丘(ここきゅう)に置いた。齊は彭城の会に加わらなかったので、晋はこれを討伐の理由とした。二月、齊の太子光が人質として晋に入った。夏五月、晋の韓厥と荀偃が諸侯の軍を率いて鄭を討ち、外郭に攻め入り、洧水のほとりで鄭の歩兵を破った。このとき東方の諸侯の軍は鄫(そう)に駐屯して晋軍を待っていた。晋軍は鄭から転じて、鄫にいた諸侯の軍を率いて楚の焦と夷、および陳を侵した。晋侯と衛侯は戚に駐屯して後援となった。秋、楚の子辛が鄭を救援し、宋の呂と留を侵した。鄭の子然(しぜん)は宋を侵し、犬丘を取った。九月、邾子が魯に朝見に来た。礼にかなったことである。冬、衛の子叔(ししゅく)と晋の知武子(荀罃)が魯に聘問に来た。これも礼にかなったことである。およそ諸侯が即位すると、小国の君はみずから朝見に行き、大国は卿を遣わして聘問する。そうして友好を受け継ぎ、信義を結び、共通の事を相談し、足りないところを補い合う。これは礼のうちでも重要なものである。
解説
この章句が説くこと
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