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春秋左氏伝 / 文公十五年 君弱きも怠るべからず

六月,辛丑朔,日有食之,鼓用牲于社,非禮也,日有食之,天子不舉,伐鼓于社,諸侯用幣于社,伐鼓于朝,以昭事神,訓民事君,示有等威,古之道也,齊人許單伯請而赦之,使來致命,書曰,單伯至自齊,貴之也,新城之盟,蔡人不與,晉郤缺以上軍下軍伐蔡,曰,君弱,不可以怠,戊申,入蔡,以城下之盟而還,凡勝國,曰滅之,獲大城焉,曰入之,秋,齊人侵我西鄙,故季文子告于晉,

新字:六月,辛丑朔,日有食之,鼓用牲于社,非礼也,日有食之,天子不舉,伐鼓于社,諸侯用幣于社,伐鼓于朝,以昭事神,訓民事君,示有等威,古之道也,斉人許単伯請而赦之,使来致命,書曰,単伯至自斉,貴之也,新城之盟,蔡人不与,晋郤欠以上軍下軍伐蔡,曰,君弱,不可以怠,戊申,入蔡,以城下之盟而還,凡勝国,曰滅之,獲大城焉,曰入之,秋,斉人侵我西鄙,故季文子告于晋,

書き下し

六月、辛丑朔、日之を食する有り。鼓して牲を社に用ゐる、禮に非ざるなり。日之を食する有れば、天子舉げず、鼓を社に伐つ。諸侯は幣を社に用ゐ、鼓を朝に伐つ。以って神に事ふるを昭らかにし、民に君に事ふるを訓へ、等威有るを示す、古の道なり。齊人單伯の請ひを許して之を赦し、來りて命を致さしむ。書に曰く、「單伯齊より至る」と、之を貴ぶなり。新城の盟に、蔡人與らず。晉の郤缺上軍・下軍を以って蔡を伐ちて、曰く、「君弱し、以って怠る可からず」と。戊申、蔡に入り、城下の盟を以って還る。凡そ國に勝つを、之を滅ぼすと曰ひ、大城を獲るを、之に入ると曰ふ。秋、齊人我が西鄙を侵す、故に季文子晉に告ぐ。

現代語訳

六月辛丑の朔日、日食があった。魯では太鼓を打ち、社(土地神の祠)に犠牲を供えた。礼にかなわないことである。日食があったとき、天子はご馳走を控え、社で太鼓を打つ。諸侯は社に幣帛(絹などの供え物)を供え、朝廷で太鼓を打つ。こうして神に仕えることを明らかにし、民に君に仕えることを教え、身分によって威儀に等級があることを示す。これが古の道である。斉の人は単伯の願いを聞き入れて彼を釈放し、魯に来て使命の結果を報告させた。『春秋』に「単伯斉より至る」と書いたのは、彼を貴んだのである。新城の盟約に、蔡は参加しなかった。晋の郤缺は上軍と下軍を率いて蔡を攻め、言った。「わが君は幼い。だからといって、盟主の務めを怠ってはならない」。戊申、蔡の都に攻め入り、城下の盟を結ばせて帰還した。およそ敵国に勝ってその国を取ることを「滅ぼす」といい、その大きな城邑を手に入れることを「入る」という。秋、斉が魯の西の辺境を侵した。そこで季文子は晋に訴えた。

解説

日食の際の儀礼をめぐる記事である。天子はご馳走を控えて社で太鼓を打ち、諸侯は社に幣帛を供えて朝廷で太鼓を打つ。魯はこのとき社で太鼓を打ち、しかも犠牲を供えたので、左伝は非礼と記した。細かな作法の違いに見えるが、左伝はその意味を「等威有るを示す」と説明する。立場によってなすべきことが違い、その違いを儀礼の形で目に見えるようにしておく。天変のような不安な時こそ、秩序の型を崩さないことが重んじられたのである。読みどころは晋の郤缺の一言である。霊公は幼く、晋の求心力は揺らいでいた。新城の盟に来なかった蔡を攻めるにあたり、郤缺は「君弱し、以って怠る可からず」と言う。君が弱いからこそ、臣が務めを怠れば盟主の座はたちまち失われる。トップの力が弱い時期に、周りが手綱を緩めるか、かえって引き締めるか。組織の持ちこたえ方はそこで分かれる。

この章句が説くこと

礼等級秩序責任感盟主書法

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