春秋左氏伝 / 僖公二十八年 践土の盟、晋侯を侯伯とす
己酉,王享醴,命晉侯宥。王命尹氏及王子虎、內史叔興父策命晉侯為侯伯,賜之大輅之服,戎輅之服,彤弓一,彤矢百,玈弓矢千,秬鬯一卣,虎賁三百人。曰:「王謂叔父:『敬服王命,以綏四國,糾逖王慝。』」晉侯三辭,從命,曰:「重耳敢再拜稽首,奉揚天子之丕顯休命。」受策以出,出入三覲。衛侯聞楚師敗,懼,出奔楚,遂適陳,使元咺奉叔武以受盟。癸亥,王子虎盟諸侯于王庭。要言曰:「皆獎王室,無相害也!有渝此盟,明神殛之!俾隊其師,無克祚國,及其玄孫,無有老幼!」君子謂是盟也信,謂晉於是役也能以德攻。
新字:己酉,王享醴,命晋侯宥。王命尹氏及王子虎、内史叔興父策命晋侯為侯伯,賜之大輅之服,戎輅之服,彤弓一,彤矢百,玈弓矢千,秬鬯一卣,虎賁三百人。曰:「王謂叔父:『敬服王命,以綏四国,糾逖王慝。』」晋侯三辞,従命,曰:「重耳敢再拝稽首,奉揚天子之丕顕休命。」受策以出,出入三覲。衛侯聞楚師敗,懼,出奔楚,遂適陳,使元咺奉叔武以受盟。癸亥,王子虎盟諸侯于王庭。要言曰:「皆獎王室,無相害也!有渝此盟,明神殛之!俾隊其師,無克祚国,及其玄孫,無有老幼!」君子謂是盟也信,謂晋於是役也能以徳攻。
書き下し
己酉、王醴を享し、晉侯に命じて宥(いう)せしむ。王尹氏及び王子虎・內史叔興父に命じて、晉侯を策命して侯伯と為し、之に大輅の服、戎輅の服、彤弓一、彤矢百、玈弓矢千、秬鬯一卣、虎賁三百人を賜ふ。曰く、「王叔父に謂ふ、『敬みて王命に服し、以って四國を綏んじ、王の慝(とく)を糾逖(きうてき)せよ』と」。晉侯三たび辭し、命に從ひて曰く、「重耳敢へて再拜稽首し、天子の丕いに顯らかなる休命を奉揚せん」と。策を受けて以って出で、出入に三たび覲す。衛侯楚の師の敗るるを聞き、懼れて出でて楚に奔り、遂に陳に適き、元咺(げんけん)をして叔武を奉じて以って盟を受けしむ。癸亥、王子虎諸侯と王庭に盟ふ。要言に曰く、「皆王室を獎(たす)け、相害すること無かれ。此の盟を渝(か)ふること有らば、明神之を殛(ころ)し、其の師を隊(おと)さしめ、國を祚(たも)つに克つこと無く、其の玄孫に及ぶまで、老幼有ること無からん」と。君子是の盟を信なりと謂ひ、晉は是の役に於いて能く德を以って攻むと謂ふ。
現代語訳
己酉の日、周の襄王は甘酒を供して晋侯(文公重耳)をもてなし、晋侯に酒を勧めて返杯させた。王は尹氏と王子虎、内史の叔興父に命じて、晋侯を策書によって任命し、諸侯の長である侯伯とした。そして大輅(祭祀用の大きな車)とそれに伴う服、戎輅(兵車)とそれに伴う服、赤い弓一張、赤い矢百本、黒い弓と矢千、黒黍で醸し香草を加えた酒(秬鬯)一樽、近衛の勇士三百人を賜った。策書には言う。「王は叔父(晋侯)に告げる。『謹んで王命に服し、それによって四方の国々を安んじ、王に害をなす悪しき者を正し遠ざけよ』」。晋侯は三度辞退したのち命に従い、言った。「重耳は謹んで再拝稽首し、天子の大いに明らかなるありがたい御命令を奉じて世に広めます」。策書を受けて退出し、出入りのあいだに三度王に拝謁した。衛侯(成公)は楚軍が敗れたと聞くと恐れて国を出て楚へ逃げ、さらに陳に行き、元咺(げんけん、衛の大夫)に弟の叔武を奉じさせて盟約を受けさせた。癸亥の日、王子虎が王の庭で諸侯と盟約した。その誓いの言葉にいう。「みな王室を助け、互いに害し合ってはならない。この盟約に背く者があれば、明らかなる神がこれを誅し、その軍を覆させ、国を保つことができぬようにし、玄孫に至るまで、老いも幼きも一人も残らぬようにせよ」。君子は、この盟約は信義にかなうものであり、晋はこの戦役(城濮の戦い)において徳をもって攻めることができたと評した。
解説
この章句が説くこと
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