導師導古典を学びたいすべての人に

春秋左氏伝 / 荘公二十三年 曹劌、観社を諫む

二十三年夏,公如齊觀社,非禮也。曹劌諫曰:『不可。夫禮,所以整民也。故會以訓上下之則,制財用之節;朝以正班爵之義,帥長幼之序;征伐以討其不然。諸侯有王,王有巡守,以大習之。非是,君不舉矣。君舉必書,書而不法,後嗣何觀?』晉桓、莊之族逼,獻公患之。士蒍曰:『去富子,則羣公子可謀也已。』公曰:『爾試其事。』士蒍與羣公子謀,譖富子而去之。秋,丹桓宮之楹。

新字:二十三年夏,公如斉観社,非礼也。曹劌諫曰:『不可。夫礼,所以整民也。故会以訓上下之則,制財用之節;朝以正班爵之義,帥長幼之序;征伐以討其不然。諸侯有王,王有巡守,以大習之。非是,君不舉矣。君舉必書,書而不法,後嗣何観?』晋桓、荘之族逼,献公患之。士蒍曰:『去富子,則羣公子可謀也已。』公曰:『爾試其事。』士蒍与羣公子謀,譖富子而去之。秋,丹桓宮之楹。

書き下し

二十三年夏、公齊に如きて社を觀る、禮に非ざるなり。曹劌諫めて曰く、「不可なり。夫れ禮は、民を整ふる所以なり。故に會して以って上下の則を訓へ、財用の節を制す。朝して以って班爵の義を正し、長幼の序を帥ゐる。征伐して以って其の然らざるを討つ。諸侯に王有り、王に巡守有り、以って大いに之を習はす。是に非ざれば、君舉げず。君の舉は必ず書す。書して法ならずんば、後嗣何をか觀ん」と。晉の桓・莊の族逼る。獻公之を患ふ。士蒍曰く、「富子を去らば、則ち羣公子謀る可きのみ」と。公曰く、「爾其の事を試みよ」と。士蒍羣公子と謀り、富子を譖して之を去る。秋、桓宮の楹を丹る。

現代語訳

荘公二十三年の夏、荘公は斉に行って社の祭りを見物した。これは礼にかなわない。曹劌が諫めて言った。「なりません。そもそも礼とは民を整えるためのものです。だから諸侯が会合して上下の決まりを教え、財の使い方の節度を定めます。朝見して爵位の序列の筋目を正し、年長と年少の順序を守らせます。征伐してその決まりに従わない者を討ちます。諸侯の上には王がおり、王には巡守(諸国の視察)があって、これらを大いに習わせるのです。これ以外の理由では、君主は動きません。君主の行動は必ず記録されます。記録されたことが法にかなっていなければ、後継ぎは何を手本とするのでしょうか」。晋では、桓叔・荘伯の一族(献公の祖先から分かれた公族)が勢力を増して献公に迫っていた。献公はこれを憂えた。士蒍が言った。「富子(公族の中心人物)を除けば、群公子たちは料理できましょう」。献公は言った。「おまえ、それを試みよ」。士蒍は群公子たちと謀り、富子を讒言して追い払った。秋、魯では桓公の廟の柱を朱に塗った。

解説

この句は二つの話からなる。一つは魯の荘公が斉の社の祭りを見物に行った件で、長勺の戦いで名を上げた曹劌が諫めている。社の祭りは男女が集まる賑やかな行事で、君主がわざわざ他国に見物に行くものではない。曹劌は礼の目的から説き起こし、会・朝・征伐・巡守という君主が動くべき正当な理由を並べ、「君の舉は必ず書す」と結ぶ。君主の行動は記録に残り、後継ぎの手本になる。私的な遊びも公の前例になるという指摘である。もう一つは晋の話で、献公が一族の圧力に悩み、士蒍が公子たちの結束を内側から崩す策を始める。まず中心人物の富子を、仲間の手で讒言させて除く。以後数年にわたる公族粛清の第一歩である。トップの振る舞いは前例として残り、組織の中の結束は内側から崩されやすい。二つの話は、立場ある者の一挙手一投足が持つ重さを、違う角度から示している。

この章句が説くこと

礼前例記録諫言派閥権謀

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る