晏子春秋 / 諫下・景公獵休坐地晏子席而諫
景公獵,休,坐地而食。晏子後至,滅葭而席。公不說,曰:「寡人不席而坐地,二三子莫席,而子獨搴草而坐之,何也?」晏子對曰:「臣聞介胄坐陳不席,獄訟不席,屍坐堂上不席,三者皆有憂也,故不敢以憂侍坐。」公曰:「善。」令人下席曰:「大夫皆席,寡人亦席矣。」
新字:景公猟,休,坐地而食。晏子後至,滅葭而席。公不説,曰:「寡人不席而坐地,二三子莫席,而子独搴草而坐之,何也?」晏子対曰:「臣聞介胄坐陳不席,獄訟不席,屍坐堂上不席,三者皆有憂也,故不敢以憂侍坐。」公曰:「善。」令人下席曰:「大夫皆席,寡人亦席矣。」
書き下し
景公猟し、休みて、地に坐して食う。晏子後れて至り、葭を滅りて席とす。公説ばず、曰く、「寡人席せずして地に坐す、二三子席する莫きに、子独り草を搴りて之に坐するは、何ぞや」と。晏子対えて曰く、「臣聞く、介冑して陳に坐するには席せず、獄訟には席せず、屍の堂上に坐するには席せず、三者は皆憂い有るなり、故に敢えて憂いを以て侍坐せず」と。公曰く、「善し」と。人をして席を下さしめて曰く、「大夫皆席せよ、寡人も亦席せん」と。
現代語訳
景公が狩りをして、休憩のために地面にじかに座って食事をしていました。あとから着いた晏子は、葭を刈って敷物にして座りました。公は不機嫌になって言いました。「私は敷物なしで地面に座り、ほかの者たちも敷物を使っていないのに、あなただけが草を抜いて敷くのはなぜか。」晏子は答えました。「私は、鎧や兜を着けて陣に座るとき、裁判のとき、屍が堂上に座るときには、敷物を敷かないと聞いています。この三つはいずれも憂いのある場面です。ですから、憂いを抱えたまま、お側に侍して座るわけにはまいりません。」公は「なるほど」と言い、人に敷物を下ろさせて「大夫たちは皆、敷物を使え。私も使おう」と言いました。
解説
この章句が説くこと
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『晏子春秋』外篇上・景公飲酒命晏子去禮晏子諫景公酒を飲むこと数日にして楽しみ、冠を去り裳を披き、自ら盆甕を鼓し、左右に謂いて曰く、「仁人も亦是を楽しむか」と。梁丘据対えて曰く、「仁人の耳目も、亦猶お人のごときなり。夫れ奚為れぞ独り此を楽しまざらん」と。公曰く、「趣ぎ駕して晏子を迎えよ」と。晏子朝服して至り、觴を受けて再拝す。公曰く、「寡人甚だ此の楽を楽しむ。夫子と之を共にせんと欲す。請う礼を去らん」と。晏子対えて曰く、「君の言過てり。群臣皆礼を去りて以て君に事えんと欲す。嬰は君の欲せざらんことを恐る。今斉国の五尺の童子、力は皆嬰に過ぎ、又能く君に勝つ。然れども敢えて乱さざるは、礼義を畏るればなり。上若し礼無くんば、以て其の下を使う無く、下若し礼無くんば、以て其の上に事うる無し。夫れ麋鹿は維れ礼無し、故に父子麀を同じくす。人の禽獣より貴き所以の者は、礼有るを以てなり。嬰之を聞く、人君礼無ければ、以て邦に臨む無し。大夫礼無ければ、官吏恭しからず。父子礼無ければ、其の家必ず凶なり。兄弟礼無ければ、久しく同じくする能わず。詩に曰く、『人にして礼無くんば、胡ぞ遄やかに死せざる』と。故に礼は去る可からざるなり」と。公曰く、「寡人不敏にして、良き左右無く、寡人を淫蠱して、以て此に至る。請う之を殺さん」と。
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『春秋左氏伝』隠公五年 公、魚を棠に観る五年春、公將に棠に如きて魚する者を觀んとす。臧僖伯諫めて曰く、「凡そ物の以って大事を講ずるに足らず、其の材の以って器用に備ふるに足らざれば、則ち君舉げず。君は、將に民を軌・物に納れんとする者なり。故に事を講じて以って軌量を度る、之を『軌』と謂ふ。材を取りて以って物采を章らかにする、之を『物』と謂ふ。軌ならず物ならざる、之を亂政と謂ふ。亂政亟々行はるるは、敗るる所以なり。故に春蒐・夏苗・秋獮・冬狩、皆農隙に於いて以って事を講ずるなり。三年にして兵を治め、入りて旅を振ひ、歸りて飲至し、以って軍實を數ふ。文章を昭らかにし、貴賤を明らかにし、等列を辨じ、少長を順にし、威儀を習ふなり。鳥獸の肉俎に登らず、皮革齒牙・骨角毛羽器に登らざれば、則ち公射ず、古の制なり。夫の山林川澤の實、器用の資、皁隸の事、官司の守の若きは、君の及ぶ所に非ざるなり」と。公曰く、「吾將に地を略せんとす」と。遂に往き、魚を陳ねて之を觀る。僖伯疾と稱して從はず。書して「公魚を棠に矢ぬ」と曰ふは、禮に非ざればなり、且つ地の遠きを言ふなり。曲沃の莊伯鄭人・邢人を以って翼を伐つ。王尹氏・武氏をして之を助けしむ。翼侯隨に奔る。夏、衛の桓公を葬る。衛亂る、是を以って緩し。
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『韓非子』難一第三十六今襄子驕侮の臣を誅せずして、功無きの赫を賞す、安くにか襄子の善く賞するに在らん。故に曰く、仲尼は善く賞することを知らず、と。晋の平公羣臣と飲む、飲酣にして、乃ち喟然として歎じて曰く、「人君為るより楽しきは莫し、惟だ其の言ひて之に違ふ莫し」と。師曠前に侍坐す、琴を援きて之に撞く。公衽を披きて避く、琴壁に壊る。公曰く、「太師誰にか撞く」と。師曠曰く、「今者小人の側に言ふ者有り、故に之に撞く」と。公曰く、「寡人なり」と。師曠曰く、「啞。是れ君人たる者の言に非ざるなり」と。左右之を除かんことを請ふ、公曰く、「之を釈せ、以て寡人の戒と為さん」と。或ひと曰く、平公は君道を失ひ、師曠は臣礼を失ふ。夫れ其の行を非として其の身を誅するは、君の臣に於けるなり。其の行を非とすれば則ち其の言を陳べ、善く諫めて聴かれざれば則ち其の身を遠ざくるは、臣の君に於けるなり。今師曠平公の行を非とし、人臣の諫を陳べずして、人主の誅を行ふ、琴を挙げて其の体に親しむ、是れ上下の位に逆らひて、人臣の礼を失ふなり。夫れ人臣為る者は、君過有れば則ち諫め、諫めて聴かれざれば則ち爵禄を軽んじて以て之を待つ、此れ人臣の礼なり。今師曠平公の過を非とし、琴を挙げて其の体に親しむ、厳父と雖も子に加へず、而るに師曠之を君に行ふ、此れ大逆の術なり。
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『晏子春秋』諫上・景公飲酒酣願諸大夫無為禮晏子諫景公酒を飲みて酣なり、曰く、「今日は願わくは諸大夫と楽しみ飲まん、請う礼を為す無かれ」と。晏子蹴然として容を改めて曰く、「君の言過てり、群臣は固より君の礼無きを欲するなり。力多ければ以て其の長に勝つに足り、勇多ければ以て其の君を弑するに足りて、礼之をして使めざるなり。禽獣は力を以て政を為し、強き者は弱きを犯し、故に日に主を易う。今君礼を去らば、則ち是れ禽獣なり。群臣力を以て政を為し、強き者は弱きを犯して、日に主を易えば、君将に安くにか立たん。凡そ人の禽獣より貴き所以の者は、礼有るを以てなり。故に詩に曰く、『人にして礼無くんば、胡ぞ遄やかに死せざる』と。礼は無かる可からざるなり」と。公は湎れて聴かず。少間ありて、公出ずるに、晏子起たず、公入るに、起たず、交ごも挙ぐるに則ち先ず飲む。公怒り、色変じ、手を抑えて疾く視て曰く、「向者に夫子の寡人に教うるに礼無きの不可なるを以てす。寡人の出入に起たず、交ごも挙ぐるに先ず飲むは、礼なるか」と。晏子席を避け再拝稽首して請いて曰く、「嬰敢えて君と言いて之を忘れんや。臣は以て礼無きの実を致すなり。君若し礼無きを欲せば、此れ是れのみ」と。公曰く、「是くの若くんば、孤の罪なり。夫子席に就け、寡人命を聞けり」と。觴三たび行りて、遂に酒を罷む。蓋し是の後、法を飭え礼を修めて以て国政を治め、百姓肅まれり。
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『春秋左氏伝』昭公四年 驕りて諫めを拒む王、椒舉をして後に侍して以て過ちを規さしむ。事を卒ふるまで規さず。王其の故を問ふ。對へて曰く、「禮、吾が未だ見ざる者六つ有り。又何を以てか規さん」と。宋の大子佐後れて至る。王武城に田して、久しくして見ず。椒舉辭せんことを請ふ。王往かしめて曰く、「屬(たまたま)宗祧の事武城に有り。寡君將に幣を墮(おく)らんとす。敢へて見ゆるを後らすを謝す」と。徐子は吳の出なり。以て貳と為す。故に諸を申に執ふ。楚子諸侯に侈りを示す。椒舉曰く、「夫れ六王二公の事は、皆諸侯に示す所以にして、禮なり。諸侯の由りて命を用ふる所なり。夏桀仍の會を為して、有緡之に叛く。商紂黎の蒐を為して、東夷之に叛く。周幽大室の盟を為して、戎狄之に叛く。皆諸侯に示す所以にして、汏(おご)りなり。諸侯の由りて命を棄つる所なり。今君汏りを以てす。乃ち濟らざること無からんや」と。王聽かず。子產左師に見えて曰く、「吾楚を患へず。汏りて諫に愎(もと)る、十年に過ぎず」と。左師曰く、「然り。十年ならずんば侈るも、其の惡遠からず。惡遠くして而る後に棄てらる。善も亦た之の如し。德遠くして而る後に興る」と。
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