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春秋左氏伝 / 荘公十年 長勺の戦い

公與之乘。戰於長勺。公將鼓之。劌曰:『未可。』齊人三鼓,劌曰:『可矣。』齊師敗績。公將馳之。劌曰:『未可。』下,視其轍,登,軾而望之,曰:『可矣。』遂逐齊師。

新字:公与之乗。戦於長勺。公将鼓之。劌曰:『未可。』斉人三鼓,劌曰:『可矣。』斉師敗績。公将馳之。劌曰:『未可。』下,視其轍,登,軾而望之,曰:『可矣。』遂逐斉師。

書き下し

公之と乘る。長勺に戰ふ。公將に之に鼓せんとす。劌曰く、「未だ可ならず」と。齊人三たび鼓す。劌曰く、「可なり」と。齊の師敗績す。公將に之を馳せんとす。劌曰く、「未だ可ならず」と。下りて、其の轍を視、登りて、軾して之を望みて曰く、「可なり」と。遂に齊の師を逐ふ。

現代語訳

公(荘公)は曹劌(そうけい)と同じ戦車に乗った。長勺で(斉と)戦った。公が進撃の太鼓を打とうとすると、曹劌は言った。「まだいけません」。斉の人が三度太鼓を打ったところで、曹劌は言った。「今です」。斉の軍は大敗した。公が追撃しようとすると、曹劌は言った。「まだいけません」。曹劌は車から下りて斉軍の車輪の跡を調べ、車に上って前の横木に手をかけて遠くを眺め、言った。「よろしい」。そこで斉の軍を追撃した。

解説

長勺の戦いの実戦部分である。前の句で、曹劌は「肉食者は鄙し」と言って荘公に面会し、民の訴訟を誠実に裁いていることを戦いの拠り所と認めて同行を申し出た。この句では、曹劌は二度「未だ可ならず」と荘公を止める。一度目は太鼓で、斉が三度打つまで待つ。二度目は追撃で、車を下りて敵の車輪の跡を見、車上から敵陣を望んでから許す。次の句で曹劌自ら理由を語る。「一鼓して氣を作し、再びして衰へ、三たびして竭く」——気力は最初の一打で奮い、三度目には尽きる。そして大国は伏兵を置くことがあるから、轍が乱れ旗が倒れているのを確かめてから追った、と。はやる主君を止めたのは、相手の勢いの頂点と、敗走が本物かどうかを見極めるためだった。動くべき時を待つことと、成功の兆しを確かめてから踏み込むこと。この二つの「未だ可ならず」は、判断のタイミングがいかに結果を左右するかを簡潔に示している。

この章句が説くこと

機忍耐観察慎重勢い

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