尚書 / 無逸
周公曰:「嗚呼!
書き下し
周公曰く、「嗚呼(ああ)!
現代語訳
周公は言った。「ああ!
解説
無逸は、周公が成王を戒めて、君主は安逸にふけってはならないと説いた篇で、冒頭はこの「嗚呼」という深い嘆息から始まる。周公の言葉は、このあと君子は安逸にふけらないことを本分とすると続き、まず農事の辛苦を知ることこそ君主の務めの根本だと説いていく。尚書の中でも文意が明快で、古来もっとも広く読まれてきた篇の一つである。一語の嘆きに、若い王に伝えたいことの重さがこもっている。人に何かを教え諭すとき、理屈より先に、言う側の切実さが相手の心を開くことがある。上に立つ者が部下に語りかける最初の一言の重みを思わせる。
関連する章句
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尚書・無逸小人を相(み)るに、厥の父母は稼穡に勤労するに、厥の子は乃ち稼穡の艱難を知らず、乃ち逸し乃ち諺(あなど)り、既に誕(ほしいまま)にし、否(しか)らずんば則ち厥の父母を侮りて曰く、『昔の人は聞知すること無し』と。」周公曰く、「嗚呼(ああ)!我聞く、曰く、昔殷王中宗に在りては、厳恭寅畏し、天命もて自ら度り、民を治むるに祗懼し、敢へて荒寧せず。肆に中宗の国を享くること、七十有五年。其の高宗に在りては、時れ旧(ひさ)しく外に労し、爰に小人と暨(とも)にす。作(た)ちて其の位に即くや、乃ち或いは亮陰し、三年言はず。其れ惟れ言はざるも、言へば乃ち雍(やはら)ぐ。敢へて荒寧せず、殷邦を嘉靖す。小大に至るまで、時に或いは怨むこと無し。肆に高宗の国を享くること、五十有九年。其の祖甲に在りては、王たるを義とせず、旧しく小人と為る。作ちて其の位に即くや、爰に小人の依るところを知り、能く庶民を保恵し、敢へて鰥寡を侮らず。肆に祖甲の国を享くること、三十有三年。時より厥の後、立つる王は生まれながらにして則ち逸す。生まれながらにして則ち逸すれば、稼穡の艱難を知らず、小人の労を聞かず、惟れ湛楽に之れ従ふ。時より厥の後、亦能く寿(ながら)ふる或る罔く、或いは十年、或いは七八年、或いは五六年、或いは四三年なり。」周公曰く、「嗚呼(ああ)!厥れ亦惟れ我が周の太王・王季、克く自ら抑畏す。
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尚書・無逸厥の愆(あやまち)を、曰く、『朕の愆なり、允に時(か)くの若し』と。啻に敢へて怒りを含まざるのみならず。此れ厥れ聴かずんば、人乃ち或いは譸張して幻を為さん。曰く、『小人汝を怨み汝を詈る』と。則ち之を信ぜん。則ち時の若くんば、永く厥の辟を念はず、厥の心を寛綽にせず、乱りに無罪を罰し、無辜を殺さん。怨み同じき有りて、是れ厥の身に叢(あつ)まらん。」周公曰く、「嗚呼(ああ)!嗣王其れ茲に監みよ。」
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尚書・無逸文王は敢へて遊に田に盤(たの)しまず、庶邦を以て惟れ正に之れ共す。文王命を受くるは惟れ中身にして、厥の国を享くること五十年なり。」周公曰く、「嗚呼(ああ)!継ぎて今より嗣王は、則ち其れ観に、逸に、遊に、田に淫すること無く、万民を以て惟れ正に之れ共せよ。皇(いとま)ありて曰ふこと無かれ、『今日は湛楽せん』と。乃ち民の訓とする攸に非ず、天の若(したが)ふ攸に非ず、時の人丕いに則ち愆(あやま)ち有らん。殷王受の迷乱し、酒徳に酗(くる)ふが若くなる無かれ。」周公曰く、「嗚呼(ああ)!我聞く、曰く、『古の人は猶ほ胥(あひ)訓告し、胥保恵し、胥教誨す。民は或いは胥譸張して幻を為すこと無し』と。此れ厥れ聴かずんば、人乃ち之に訓(なら)ひ、乃ち先王の正刑を変乱し、小大に至らん。民否(しか)らずんば則ち厥の心違怨し、否らずんば則ち厥の口詛祝せん。」周公曰く、「嗚呼(ああ)!殷王中宗より、及び高宗、及び祖甲、及び我が周の文王、茲の四人は迪(みち)に哲なり。厥れ或いは之に告げて曰く、
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尚書・無逸文王は卑服して、康功・田功に即く。徽柔懿恭にして、小人を懷保し、鰥寡を惠鮮す。朝より日中昃に至るまで、食に遑暇あらず、用て萬民を咸和す。
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尚書・無逸君子は其の逸すること無きを所とす。先ず稼穡の艱難を知りて、乃ち逸すれば、則ち小人の依る所を知る。
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尚書・文侯之命荒寧すること無く、爾の都を簡恤し、用て爾の顕徳を成せ。」
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