尚書 / 胤征
天吏逸德,烈于猛火。
新字:天吏逸徳,烈于猛火。
書き下し
天吏徳を逸(うしな)へば、猛火よりも烈し。
現代語訳
天に代わって治める官吏がその徳を失えば、その害は猛火よりも激しい。
解説
胤侯の誓いの一節である。直前に「火崑岡に炎ゆれば、玉石倶に焚く」とあり、崑崙の山に火が燃え広がれば美しい玉もただの石も区別なく焼けてしまうと述べる。そのうえで、天の命を受けて民を治める官吏が徳を失えば、その害は猛火よりもさらに激しいと続ける。権力を持つ者の過ちは、罪のない者まで巻き込み、取り返しのつかない被害を広げるという戒めである。上に立つ者や専門の責任を負う者の判断の誤りは、一個人の失敗にとどまらず、組織全体や関わる人々に広く及ぶ。立場が重くなるほど、自分の徳と判断を慎む責任も重くなることを忘れてはならない。本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
関連する章句
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尚書・胤征火、崑岡(こんこう)に炎(も)ゆれば、玉石(ぎょくせき)俱(とも)に焚(や)く。
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尚書・胤征其れ爾衆士、懋めて戒めんかな」と。
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尚書・伊訓惟(こ)れ茲(こ)の三風十愆(さんぷうじゅうけん)、卿士(けいし)一つも身に有れば、家必ず喪(うしな)われ、邦君(ほうくん)一つも身に有れば、国必ず亡ぶ。
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尚書・伊訓臣下匡(ただ)さずんば、其の刑は墨、具(つぶさ)に蒙士に訓(をし)ふ。嗚呼(ああ)、嗣王厥(そ)の身を祗(つつし)み、念へや。聖謨洋洋として、嘉言孔(はなは)だ彰(あき)らかなり。惟れ上帝は常ならず、
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尚書・伊訓爾惟れ徳は小なりとする罔かれ、万邦惟れ慶ばん。爾惟れ不徳は大なりとする罔くとも、厥の宗を墜さん」と。
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尚書・胤征厥の渠魁(きよくわい)を殲(つく)し、脅従は治むる罔く、旧く汙俗に染むものも、咸与に惟れ新たにせん。嗚呼(ああ)。
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