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尚書 / 禹貢

厥田惟下中,厥賦上下。厥貢羽、毛、齒、革,惟金三品,杶、榦、栝、柏,礪、砥、砮、丹,惟箘、簵、楛,三邦厎貢厥名。包匭菁茅;厥篚玄、纁、璣組;九江納錫大龜。浮于江、沱、潛、漢,逾于洛,至于南河。荊、河惟豫州:伊、洛、瀍、澗既入于河,滎波既豬,導菏澤,被孟豬。厥土惟壤,下土墳壚。厥田惟中上,厥賦錯上中。厥貢漆、枲、絺、紵,厥篚纖、纊,錫貢磬、錯。浮于洛,達于河。華陽、黑水惟梁州:岷、嶓既藝,沱、潛既道,蔡蒙旅平,和夷厎績。厥土青黎,厥田惟下上,厥賦下中三錯。厥貢璆、鐵、銀、鏤、砮、磬、熊、羆、狐、貍、織皮,西傾因桓是來。浮于潛,逾于沔,入于渭,亂于河。黑水、西河惟雍州:弱水既西,涇屬渭汭,漆、沮既從,灃水攸同。荊、岐既旅,終南、惇物,至于鳥鼠;原隰厎績,至于豬野;三危既宅,三苗丕敘。厥土惟黃壤,厥田惟上上,厥賦中下。厥貢惟球、琳,琅玕。浮于積石,至于龍門西河,會于渭汭。織皮:崐崘、析支、渠搜,西戎即敘。導岍及岐,至于荊山,逾于河;壺口、雷首,至于太岳;厎柱、析城,至于王屋;太行、恒山,至于碣石,入于海;西傾、朱圉、鳥鼠,至于太華;熊耳、外方、桐柏,至于陪尾。導嶓冢,至于荊山;內方,至于大別;岷山之陽,至于衡山,過九江,至于敷淺原。導弱水,至于合黎,餘波入于流沙。

新字:厥田惟下中,厥賦上下。厥貢羽、毛、歯、革,惟金三品,杶、榦、栝、柏,礪、砥、砮、丹,惟箘、簵、楛,三邦厎貢厥名。包匭菁茅;厥篚玄、纁、璣組;九江納錫大亀。浮于江、沱、潜、漢,逾于洛,至于南河。荊、河惟予州:伊、洛、瀍、澗既入于河,滎波既豬,導菏沢,被孟豬。厥土惟壤,下土墳壚。厥田惟中上,厥賦錯上中。厥貢漆、枲、絺、紵,厥篚繊、纊,錫貢磬、錯。浮于洛,達于河。華陽、黒水惟梁州:岷、嶓既芸,沱、潜既道,蔡蒙旅平,和夷厎績。厥土青黎,厥田惟下上,厥賦下中三錯。厥貢璆、鉄、銀、鏤、砮、磬、熊、羆、狐、貍、織皮,西傾因桓是来。浮于潜,逾于沔,入于渭,乱于河。黒水、西河惟雍州:弱水既西,涇属渭汭,漆、沮既従,灃水攸同。荊、岐既旅,終南、惇物,至于鳥鼠;原隰厎績,至于豬野;三危既宅,三苗丕敘。厥土惟黄壤,厥田惟上上,厥賦中下。厥貢惟球、琳,琅玕。浮于積石,至于竜門西河,会于渭汭。織皮:崐崘、析支、渠捜,西戎即敘。導岍及岐,至于荊山,逾于河;壺口、雷首,至于太岳;厎柱、析城,至于王屋;太行、恒山,至于碣石,入于海;西傾、朱圉、鳥鼠,至于太華;熊耳、外方、桐柏,至于陪尾。導嶓冢,至于荊山;内方,至于大別;岷山之陽,至于衡山,過九江,至于敷浅原。導弱水,至于合黎,余波入于流沙。

書き下し

厥(そ)の田は惟れ下中、厥の賦は上下。厥の貢は羽・毛・歯・革、惟れ金三品、杶(ちゆん)・榦(かん)・栝(くわつ)・柏、礪(れい)・砥(し)・砮(ど)・丹、惟れ箘(きん)・簵(ろ)・楛(こ)、三邦厥の名を貢ぐを厎(いた)す。包匭(はうき)の菁茅(せいばう)。厥の篚(ひ)は玄・纁(くん)・璣組(きそ)。九江大亀を納錫(なふしやく)す。江・沱・潜・漢に浮かび、洛を逾(こ)えて、南河に至る。荊・河は惟れ豫州。伊・洛・瀍(てん)・澗既に河に入り、滎波(けいは)既に豬(ちよ)し、菏沢を導き、孟豬に被(およ)ぼす。厥の土は惟れ壌、下土は墳壚(ふんろ)。厥の田は惟れ中上、厥の賦は錯(まじ)りて上中。厥の貢は漆・枲(し)・絺(ち)・紵(ちよ)、厥の篚は纖・纊(くわう)、錫貢(しこう)は磬錯(けいさく)。洛に浮かび、河に達す。華陽・黒水は惟れ梁州。岷(びん)・嶓(はん)既に藝(う)ゑ、沱・潜既に道(みちび)かれ、蔡・蒙旅(りよ)して平らかに、和夷績を厎す。厥の土は青黎(せいれい)、厥の田は惟れ下上、厥の賦は下中にして三錯す。厥の貢は璆(きう)・鉄・銀・鏤(ろう)・砮・磬、熊・羆(ひ)・狐・貍(り)の織皮。西傾は桓に因りて是れ来たる。潜に浮かび、沔(べん)を逾え、渭に入り、河を乱(わた)る。黒水・西河は惟れ雍州。弱水既に西し、涇は渭汭(ゐぜい)に属(つら)なり、漆・沮既に従ひ、灃水(ほうすい)同じくする攸(ところ)なり。荊・岐既に旅し、終南・惇物、鳥鼠に至る。原隰(げんしふ)績を厎し、豬野に至る。三危既に宅(を)り、三苗丕(おほ)いに敘(つい)づ。厥の土は惟れ黄壌、厥の田は惟れ上上、厥の賦は中下。厥の貢は惟れ球・琳・琅玕(らうかん)。積石に浮かび、竜門の西河に至り、渭汭に会す。織皮の崐崘(こんろん)・析支・渠捜(きよそう)、西戎即ち敘づ。岍(けん)及び岐を導き、荊山に至り、河を逾ゆ。壺口・雷首、太岳に至る。厎柱(しちゆう)・析城、王屋に至る。太行・恒山、碣石に至り、海に入る。西傾・朱圉(しゆぎよ)・鳥鼠、太華に至る。熊耳・外方・桐柏、陪尾に至る。嶓冢(はんちよう)を導き、荊山に至る。内方、大別に至る。岷山の陽(みなみ)、衡山に至り、九江を過ぎ、敷浅原に至る。弱水を導き、合黎に至り、余波は流沙に入る。

現代語訳

(荊州の)その田地は第八等、その賦税は第三等である。その貢ぎ物は羽毛・象牙・皮革、三種の金属、杶(ちゅん)・柘(やまぐわ)・檜・柏の木材、砥石・荒砥・矢じりの石・朱砂、矢竹二種と楛(こ、矢柄の木)で、三つの国がその名産を貢いだ。箱に包んだ菁茅(祭りで酒をこす茅)。竹かごの貢ぎ物は黒と薄紅の絹、玉を連ねた組紐である。九江の地からは大きな亀を命じられて献上する。長江・沱水・潜水・漢水に舟を浮かべ、陸路で洛水を越えて、南河(黄河の南の流れ)に至る。【豫州(よしゅう、今の河南一帯)】荊山と黄河の間が豫州である。伊水・洛水・瀍水・澗水はいずれも黄河に流れ込み、滎波(けいは)の沢は水をたたえ、菏沢の水を導いて孟豬沢にまで及ぼした。その土はやわらかい土で、低地の土は黒く堅い土である。その田地は第四等、その賦税は第二等で時に第一等が混じる。その貢ぎ物は漆・麻・細い葛布・苧麻布、竹かごの貢ぎ物は細い絹と真綿で、命じられたときに磬を磨く石を貢ぐ。洛水に舟を浮かべ、黄河に達する。【梁州(りょうしゅう、今の四川・陝西南部)】華山の南から黒水までが梁州である。岷山と嶓冢山(はんちょうざん)の辺りは耕作できるようになり、沱水と潜水も川筋が通り、蔡山と蒙山も祭りを行って治まり、和夷(西南の民)の地でも成果があがった。その土は青黒い土、その田地は第七等、その賦税は第八等で第七等と第九等が混じる。その貢ぎ物は美玉・鉄・銀・鋼・矢じりの石・磬の石、熊・羆・狐・山猫の毛皮の織物である。西傾山の辺りからは桓水に沿ってやって来る。潜水に舟を浮かべ、沔水(べんすい、漢水の上流)を越え、渭水に入り、黄河を横切って渡る。【雍州(ようしゅう、今の陝西・甘粛一帯)】黒水と西河の間が雍州である。弱水は西へ流れるようになり、涇水は渭水の曲がり角に注ぎ、漆水と沮水も川筋に従い、灃水も合流した。荊山と岐山では祭りを行い、終南山・惇物山から鳥鼠山まで治めた。高原と湿地も成果をあげ、豬野沢に至った。三危山の辺りにも人が住めるようになり、三苗も大いに秩序立った。その土は黄色いやわらかい土、その田地は第一等、その賦税は第六等である。その貢ぎ物は美玉と琅玕(ろうかん、美しい石)である。積石山から舟を浮かべ、竜門の西河に至り、渭水の曲がり角で合流する。毛皮の織物を貢ぐ崑崙・析支・渠捜(西方の諸民族)など、西戎もこうして秩序に従った。【導山(山脈の整理)】岍山(けんざん)と岐山から道をつけて荊山に至り、黄河を越える。壺口山・雷首山から太岳に至る。厎柱山・析城山から王屋山に至る。太行山・恒山から碣石山に至り、海に入る。西傾山・朱圉山・鳥鼠山から太華山(華山)に至る。熊耳山・外方山・桐柏山から陪尾山に至る。嶓冢山から道をつけて荊山に至る。内方山から大別山に至る。岷山の南から衡山に至り、九江を過ぎて敷浅原に至る。【導水(河川の整理)】弱水を導いて合黎山に至らせ、残りの流れは流沙(西方の砂漠)に入る。

解説

禹貢の中ほどで、荊州の続きから豫・梁・雍の三州を記し、さらに「導山」と呼ばれる山脈の整理へと進む。梁州・雍州では鉄や銀、美玉や毛皮の織物など西方の産物が並び。導山の部分では、天下の山々を幾筋かの連なりにまとめ、禹がそれに沿って道をつけたと述べる。山と川を体系的に整理して天下の骨格を描こうとするこの記述は、中国の地理学の出発点とされ、後世の地理書は禹貢を基準として各地の山川を論じた。ばらばらに見える情報も、筋道を立てて整理すれば全体の構造が見えてくる。組織の課題や資源を把握するときも、個別の事柄を並べるだけでなく、つながりと流れを見いだして整理することが、的確な判断の前提になる。

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