孫子 / 始計篇
地者,高下、遠近、險易、廣狹、死生也。
新字:地者,高下、遠近、険易、広狭、死生也。
書き下し
地とは、高下・遠近・険易・広狭・死生なり。
現代語訳
「地」とは地形や距離、広さ、地勢の有利不利。
解説
五事の第三「地」を定義した一節です。孫子は「地」を、高低・遠近・険しさやなだらかさ・広さや狭さ・生き死にを分ける地勢、といった具体的な条件で捉えます。同じ戦力でも、どんな地形で戦うかによって有利不利は大きく変わる、というのです。現代でいえば、市場の特性、立地、参入する領域の地の利にあたります。広い市場か狭いニッチか、参入しやすいか撤退しにくいか——その「地形」を読み違えれば、優れた戦略も生きません。自分がどんな地に立っているのかを正確に把握し、その条件に合わせて戦い方を選ぶ。地の利を味方につける者が優位に立つ、という普遍の原則を、この一節は示しています。
この章句が説くこと
地理条件環境
関連する章句
-
孫子・地形篇我出でて不利、彼出でて不利なるを、支と曰う。支形は、敵我を利すと雖も、我出づる無きなり。引きて之を去り、敵をして半ば出でしめて之を撃てば、利あり。
-
孫子・行軍篇故に兵は益々多きを貴ぶに非ざるなり。惟だ武進する無く、以て力を併せ、敵を料り、人を取るに足るのみ。夫れ惟だ慮り無くして敵を易る者は、必ず人に擒らわる。
-
論語・憲問篇子、公叔文子を公明賈に問いて曰く、「信なるか、夫子言わず笑わず取らざるか。」公明賈対えて曰く、「以て告ぐる者の過ちなり。夫子は時にして然る後に言う、人其の言を厭わず。楽しみて然る後に笑う、人其の笑いを厭わず。義にして然る後に取る、人其の取るを厭わず。」子曰く、「其れ然り。豈に其れ然らんや。」
-
孫子・火攻篇時とは天の燥けるなり。日とは月の箕・壁・翼・軫に在るなり。凡そ此の四宿は、風の起こるの日なり。
-
論語・憲問篇子曰く、君子にして不仁なる者有るかな。未だ小人にして仁なる者有らざるなり。
-
孫子・始計篇天とは、陰陽・寒暑・時制なり。