尚書 / 大禹謨
帝初于歷山,往于田,日號泣于旻天,于父母,負罪引慝。祗載見瞽瞍,夔夔齋慄,瞽亦允若。至諴感神,矧茲有苗。」禹拜昌言曰:「俞!」班師振旅。帝乃誕敷文德,舞干羽于兩階,七旬有苗格。
新字:帝初于歴山,往于田,日号泣于旻天,于父母,負罪引慝。祗載見瞽瞍,夔夔斎慄,瞽亦允若。至諴感神,矧茲有苗。」禹拝昌言曰:「兪!」班師振旅。帝乃誕敷文徳,舞干羽于両階,七旬有苗格。
書き下し
帝初め歴山に于(お)いて、往きて田し、日に旻天(びんてん)に号泣し、父母に于いて、罪を負ひ慝(とく)を引く。祗(つつし)みて載(こと)として瞽瞍(こそう)に見(まみ)え、夔夔(きき)として斎慄(さいりつ)すれば、瞽も亦允(まこと)に若(したが)へり。至諴(しかん)は神を感ぜしむ。矧(いは)んや茲の有苗をや」と。禹昌言を拝して曰く、「俞(しか)り」と。師を班(かへ)し旅を振(をさ)む。帝乃ち誕(おほ)いに文徳を敷き、干羽を両階に舞はしむ。七旬にして有苗格(いた)る。
現代語訳
「帝(舜)は初め歴山(れきざん)にいたとき、田畑に出て耕し、日ごとに天に向かって泣き叫び、父母に対しては、罪を自分に引き受けて、悪いことをみな自分のせいとした。つつしんで父の瞽瞍(こそう)に仕えてまみえ、恐れかしこまって身を慎んだので、頑なな瞽瞍もまことに心を和らげて従った。至高の誠は神をも感動させる。ましてこの有苗(ゆうびょう、南方の部族)はなおさらである。」禹はこのすぐれた言葉を拝して言った。「そのとおりだ。」そして軍を引き返し、兵を整えて帰った。帝はそこで大いに文徳を広め、宮殿の両階段で盾と羽飾りを持った舞を舞わせた。七十日たつと、有苗は自ら帰服してきた。
解説
大禹謨の結びである。有苗の討伐が三十日たっても成果をあげないとき、益は舜の若き日の話を持ち出して禹を諫めた。舜は頑固な父に虐げられながらも罪を自分に引き受けて孝を尽くし、ついに父の心を和らげた。至高の誠は神をも動かすのだから、有苗も武力でなく誠で服させられるというのである。禹はこれを受け入れて軍を返し、舜は文徳を広めて儀礼の舞を舞わせたところ、七十日で有苗が自ら帰服した。力より徳で感化する方が深く人を従わせるという、儒家の徳治思想を象徴する話である。相手が動かないとき、圧力を強めるより、こちらの誠意と姿勢を改める方が、結局は早く道が開けることがある。本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
関連する章句
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尚書・大禹謨愛すべきは君に非ずや。畏るべきは民に非ずや。衆元后に非ずんば何をか戴かん。后衆に非ずんば与(とも)に邦を守る罔(な)し。欽(つつし)まんかな。乃(なんぢ)の有位を慎み、敬みて其の願ふべきを修めよ。四海困窮せば、天禄永く終へん。惟れ口は好を出だし戎(じゆう)を興す。朕が言再びせず」と。禹曰く、「功臣を枚卜(ばいぼく)し、惟れ吉に之れ従はん」と。帝曰く、「禹よ、官占は惟れ先づ志を蔽(さだ)め、昆(のち)に元亀に命ず。朕が志先づ定まり、詢謀(じゆんぼう)僉(みな)同じく、鬼神其れ依り、亀筮(きぜい)協(かな)ひ従ふ。卜は吉を習(かさ)ねず」と。禹拝して稽首し、固く辞す。帝曰く、「毋(な)かれ。惟れ汝諧(かな)へり」と。正月朔旦、命を神宗に受け、百官を率ゐること帝の初めの若(ごと)くす。帝曰く、「咨(ああ)、禹。惟れ時(これ)有苗率(したが)はず、汝徂(ゆ)きて征せよ」と。禹乃ち群后を会し、師に誓ひて曰く、「済済たる有衆、咸(みな)朕が命を聴け。蠢(うごめ)く茲(こ)の有苗、昏迷して恭しからず、侮慢にして自ら賢とし、道に反し徳を敗り、君子野に在り、小人位に在り。民棄てて保たず、天之に咎を降す。肆(ゆゑ)に予爾(なんぢ)衆士を以て、辞を奉じて罪を伐つ。爾尚(こひねが)はくは乃の心力を一にせよ。其れ克く勲有らん」と。三旬、苗民命に逆らふ。益禹を賛(たす)けて曰く、
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尚書・大禹謨疑謀は成すこと勿(な)ければ、百志惟れ熙(ひろ)まらん。道に違ひて以て百姓の誉れを干(もと)むる罔(な)く、百姓に咈(もと)りて以て己の欲に従ふ罔かれ。怠ること無く荒むこと無ければ、四夷来たり王とせん」と。禹曰く、「於(ああ)、帝念へや。
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