諸葛亮集 / 前出師表・第五段
將軍向寵,性行淑均,曉暢軍事,試用於昔日,先帝稱之曰能,是以衆議舉寵爲督。愚以爲營中之事,悉以咨之,必能使行陣和穆,優劣得所。
新字:将軍向寵,性行淑均,暁暢軍事,試用於昔日,先帝称之曰能,是以衆議舉寵為督。愚以為営中之事,悉以咨之,必能使行陣和穆,優劣得所。
書き下し
将軍向寵は、性行淑均にして、軍事に曉暢す。昔日に試用せられ、先帝これを称して能なりと曰へり。是を以て衆議して寵を挙げて督と為せり。愚以為へらく、営中の事は、悉く以て之に咨らば、必ず能く行陣をして和穆ならしめ、優劣をして所を得しめん。
現代語訳
将軍の向寵は、性格も行いも善良でかたよりがなく、軍事にも通じています。かつて試しに用いられたとき、先帝は彼を有能だとほめられました。そこで皆の相談のうえ、寵を推挙して軍の督としたのです。私が思いますに、軍営のことはすべて彼に相談なされば、必ず軍の陣中を和やかに整え、優れた者も劣った者もそれぞれ適所を得るでしょう。
解説
向寵は軍事を司る将軍で、諸葛亮は軍営内のことを彼に相談するよう勧めています。推薦の理由は、人柄が穏やかでかたよらないこと、軍事に通じていること、かつて試用されたときに先帝から有能と評されたこと、そして皆の合議で推されたことです。単なる好みではなく、実績・人柄・衆議という複数の根拠を並べているのが特徴です。人事を任せるときも、本人の資質と過去の働きを示し、周りの納得を得た人物に任せるなら、現場は混乱せず、適材適所の流れが生まれると読めます。
この章句が説くこと
向寵淑均軍事試用衆議適材適所
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