導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

士説 / 下・第2段

而文從之。夫質欲厚不欲薄也。欲堅不欲脆也。仁以漸之。義以摩之。言必忠信。行必篤敬。猶農夫之種苗也。栽而培之以致其厚。猶良冶之鑄劍也。鍛而鍊之。以致其堅。及其資於栽培之素。用於鍛鍊之餘。或爲天下之良材。或爲一世之利器。發於言語。見於容貌。莫非道德之華。彬々乎其君子矣。若其不然。威儀雖美。辭令雖巧。譬之羊質而虎皮。

新字:而文従之。夫質欲厚不欲薄也。欲堅不欲脆也。仁以漸之。義以摩之。言必忠信。行必篤敬。猶農夫之種苗也。栽而培之以致其厚。猶良冶之鋳剣也。鍛而錬之。以致其堅。及其資於栽培之素。用於鍛錬之余。或為天下之良材。或為一世之利器。発於言語。見於容貌。莫非道徳之華。彬々乎其君子矣。若其不然。威儀雖美。辞令雖巧。譬之羊質而虎皮。

書き下し

而して文之に従ふ。夫れ質は厚からんことを欲して薄からんことを欲せず、堅からんことを欲して脆からんことを欲せず。仁以て之を漸し、義以て之を摩す。言は必ず忠信、行は必ず篤敬。猶ほ農夫の苗を種うるがごとし。栽ゑて之を培ひ、以て其の厚きを致す。猶ほ良冶の剣を鋳るがごとし。鍛へて之を錬り、以て其の堅きを致す。其の栽培の素に資し、鍛錬の餘に用ふるに及びては、或いは天下の良材と為り、或いは一世の利器と為り、言語に発し、容貌に見はれ、道徳の華に非ざる莫く、彬彬乎として其れ君子なり。若し其れ然らざれば、威儀美なりと雖も、辞令巧なりと雖も、之を譬ふれば羊質にして虎皮なり。

現代語訳

そうしておいて、文がこれに従います。質は厚くあってほしく、薄くあってほしくありません。堅くあってほしく、脆くあってほしくありません。仁でじわじわと浸し、義でこすって磨き、言葉は必ず誠実に、行いは必ず篤く慎み深くします。それは農夫が苗を植えるようなものです。植えて育て、厚みを出します。腕のよい鋳物師が剣を鋳るようなものでもあります。鍛えて練り、堅さを出します。こうした栽培の蓄えに支えられ、鍛錬のあとに用いられるときには、天下の良材ともなり、一世の利器ともなります。言葉に現れ、顔かたちに表れるものは、道徳の華でないものはなく、文と質がほどよく調った君子です。もしそうでなければ、威儀が美しくとも、辞令が巧みでも、たとえるなら羊の質で虎の皮をかぶったようなものです。

解説

前の段の続きで、文は質のあとに従うと述べ、質の育て方を二つのたとえで示します。一つは苗を植えて培い、厚みを出す農夫、もう一つは鍛えて練り、堅さを出す鋳物師です。どちらも時間をかけた反復の作業で、一朝一夕には質が身につかないという感覚が伝わります。育った人は良材や利器として世に用いられ、言葉や顔つきにもおのずと徳がにじむとします。逆に質のない人は、虎の皮をかぶった羊だと戒めます。部下の育成にも通じる話で、研修の見栄えより、日々の仕事の中で誠実さと篤さを積み上げさせる機会を作れているかが問われます。育てる側が自分自身の質を鍛えていることも前提です。

この章句が説くこと

質を育てる栽培鍛錬羊質虎皮君子士説

関連する章句

『人生の方程式』の表紙

人生を、一行の式にしてみた。

志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。

本の中身を見る
本2冊(人生の方程式・人生の教科書)+師導1か月=700円 本を見る