新書 / 春秋
故曰:見妖而迎以德,妖反爲福也。楚懷王心矜好高人,無道而欲有伯王之號,鑄金以象諸侯人君,令大國之王編而先馬,梁王御,宋王驂乘,周召畢陳滕薛衛中山之君,皆象使隨而趨。諸侯聞之,以爲不宜,故興師而伐之。楚王見士民爲用之不勸也,乃徵役萬人,且掘國人之墓。國人聞之振動,晝旅而夜亂。齊人襲之,楚師乃潰。懷王逃適秦,克尹殺之西河,爲天下笑。此好矜不讓之罪也,不亦羞乎?
新字:故曰:見妖而迎以徳,妖反為福也。楚懐王心矜好高人,無道而欲有伯王之号,鋳金以象諸侯人君,令大国之王編而先馬,梁王御,宋王驂乗,周召畢陳滕薛衛中山之君,皆象使随而趨。諸侯聞之,以為不宜,故興師而伐之。楚王見士民為用之不勧也,乃徴役万人,且掘国人之墓。国人聞之振動,昼旅而夜乱。斉人襲之,楚師乃潰。懐王逃適秦,克尹殺之西河,為天下笑。此好矜不譲之罪也,不亦羞乎?
書き下し
故に曰く、妖を見て迎うるに徳を以てすれば、妖は反って福と為る。楚の懐王、心矜り人に高からんことを好み、無道にして伯王の号有らんと欲す。金を鋳て以て諸侯人君に象り、大国の王をして編して馬に先たしめ、梁王は御し、宋王は驂乗し、周召畢陳滕薛衛中山の君は、皆な象りて使い隨いて趨らしむ。諸侯之を聞き、以て宜しからずと為し、故に師を興して之を伐つ。楚王士民の用を為すの勧まざるを見、乃ち役を万人に徴し、且つ国人の墓を掘らんとす。国人之を聞きて振動し、昼は旅し夜は乱る。斉人之を襲い、楚師乃ち潰ゆ。懐王逃れて秦に適き、克尹之を西河に殺し、天下の笑いと為る。此れ矜るを好み譲らざるの罪なり。亦た羞ならずや。
現代語訳
だから言うのです。妖を見て徳で迎えれば、妖はかえって福になる、と。楚の懐王は、心がおごり、人より高くありたがり、道がないのに覇王の称号を得ようとしました。金属で諸侯の君主たちの像を鋳て、大国の王に前を編ませて馬の先を行かせ、梁王には御者をさせ、宋王には車の右に乗せ、周・召・畢・陳・滕・薛・衛・中山の君主たちは、みな像にして供として走らせました。諸侯はこれを聞いて、道に外れていると考え、兵を挙げて攻めました。楚王は、士や民が働こうとしないのを見ると、一万人に労役を課し、さらに国人の墓を掘ろうとしました。国人はこれを聞いて動揺し、昼は逃れ夜は乱れました。斉の人々がこれを襲い、楚軍は崩れました。懐王は逃れて秦に行き、克尹が西河で彼を殺し、天下の笑いものになりました。これは誇りを好み、譲らない罪です。恥ずかしいことではありませんか。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『童子問』卷中世に応ずるの道を問ふ。曰く、譲に如くは莫し。譲は実徳なり。凡そ上を犯し勝つことを好み、人と争奪するは、皆譲を忘るるより生ず。故に一たび譲立ちて、衆徳聚まる。徒に世と乖戻せざるのみに非ず、事に応じ物に接するの間に於て、最も要道為り。人にして礼譲の心無ければ、則ち他の美有りと雖も、皆観るに足らず。故に天下譲より善きは莫く、譲を知らざるより不善なるは莫し。
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『春秋左氏伝』襄公十三年 譲は礼の主なり君子曰く、「讓は禮の主なり。范宣子讓りて、其の下皆讓る。欒黶汰(おご)ると為すも、敢へて違はず。晉國以て平らかにして、數世之に賴る。善に刑(のつと)ればなり。一人善に刑れば、百姓休和す。務めざるべけんや。書に曰く、『一人慶有れば、兆民之に賴る。其の寧きこと惟れ永し』と。其れ是の謂ひか。周の興るや、其の詩に曰く、『文王に儀刑すれば、萬邦孚を作す』と。善に刑るを言ふなり。其の衰ふるに及びてや、其の詩に曰く、『大夫均しからず、我事に從ひて獨り賢(らう)す』と。讓らざるを言ふなり。世の治まるや、君子は能を尚びて其の下に讓り、小人は農力して以て其の上に事ふ。是を以て上下禮有りて、讒慝黜遠せらる。爭はざるに由るなり。之を懿德と謂ふ。其の亂るるに及びてや、君子は其の功を稱して以て小人に加へ、小人は其の技を伐(ほこ)りて以て君子を馮(しの)ぐ。是を以て上下禮無く、亂虐並び生ず。善を爭ふに由るなり。之を昏德と謂ふ。國家の敝るるは、恆に必ず之に由る」と。
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司馬法・天子之義上苟も善を伐(ほこ)らざれば、則ち驕らず。下苟も善を伐らざれば、必ず等を亡(な)くす。上下善を伐らざること此くの若きは、譲の至りなり。
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司馬法・天子之義上苟も不善を以て己に在りとせば、必ず其の過ちを悔ゆ。下苟も不善を以て己に在りとせば、必ず其の罪に遠ざかる。上下悪を分かつこと此くの若きは、譲の至りなり。
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司馬法・嚴位自ら子(よ)するに循わざるを以てし、賢を争うに以て為し、人其の心を説(よろこ)ばしめ、其の力を效(いた)す。
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『弁名』德至徳なる者は、徳の至れる者を謂ふなり。孔子泰伯を称するに其の譲を以てし、周を称するに其の恭を以てす。書に允恭克譲を以て堯を称す。其の至徳為ること知るべきのみ。然れども聖人の恭譲に非ざるよりは則ち未だ以て至徳と為すに足らず。泰伯の譲は、天下を以てす。周の恭は、天下を以てす。是れ其の至と為る所以なり。孝を以て至徳と為す者は、其の仁を為すの本為るを以てなり。周官の至徳なる者は、聖人の徳の万世の標準為るを謂ふなり。敏徳なる者は、徳の性を以て殊なる者を謂ふなり。
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