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司馬法 / 天子之義

上苟不伐善,則不驕矣;下苟不伐善,必亡等矣。上下不伐善若此,讓之至也。

新字:上苟不伐善,則不驕矣;下苟不伐善,必亡等矣。上下不伐善若此,譲之至也。

書き下し

上苟も善を伐(ほこ)らざれば、則ち驕らず。下苟も善を伐らざれば、必ず等を亡(な)くす。上下善を伐らざること此くの若きは、譲の至りなり。

現代語訳

(大勝しても賞を与えないのは、上下ともに手柄を誇らないようにするためである。)上に立つ者がもし自分の手柄を誇らなければ、驕ることはない。下の者がもし自分の手柄を誇らなければ、必ず(功を争って)他と差をつけようとすることがなくなる。上下がこのように手柄を誇らないのが、譲り合いの極みである。

解説

大勝しても賞を与えないのは上下ともに手柄を誇らせないためだ、という前の句を受けて、その効果を上下に分けて説く。上が誇らなければ驕らず、下が誇らなければ功を競って序列を争うことがなくなる。勝ち戦のあとこそ、誰の手柄かをめぐって組織が割れやすい。司馬法はそれを賞の配分ではなく、誇らない気風によって防ごうとする。直後には、大敗しても罰しないのは上下ともに不善を自分の責任とするためだ、という対の句が続き、勝ったときも負けたときも譲り合う組織を理想としている。孫子が勝つための算段を重ねるのとは視点がまったく違う。成果が出たときに上司が自分の功績を語り出すと、部下も競って自分を売り込み始める。上が一歩引くことで、組織全体の空気が変わるのである。

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