司馬法 / 天子之義
上苟不伐善,則不驕矣;下苟不伐善,必亡等矣。上下不伐善若此,讓之至也。
新字:上苟不伐善,則不驕矣;下苟不伐善,必亡等矣。上下不伐善若此,譲之至也。
書き下し
上苟も善を伐(ほこ)らざれば、則ち驕らず。下苟も善を伐らざれば、必ず等を亡(な)くす。上下善を伐らざること此くの若きは、譲の至りなり。
現代語訳
(大勝しても賞を与えないのは、上下ともに手柄を誇らないようにするためである。)上に立つ者がもし自分の手柄を誇らなければ、驕ることはない。下の者がもし自分の手柄を誇らなければ、必ず(功を争って)他と差をつけようとすることがなくなる。上下がこのように手柄を誇らないのが、譲り合いの極みである。
解説
大勝しても賞を与えないのは上下ともに手柄を誇らせないためだ、という前の句を受けて、その効果を上下に分けて説く。上が誇らなければ驕らず、下が誇らなければ功を競って序列を争うことがなくなる。勝ち戦のあとこそ、誰の手柄かをめぐって組織が割れやすい。司馬法はそれを賞の配分ではなく、誇らない気風によって防ごうとする。直後には、大敗しても罰しないのは上下ともに不善を自分の責任とするためだ、という対の句が続き、勝ったときも負けたときも譲り合う組織を理想としている。孫子が勝つための算段を重ねるのとは視点がまったく違う。成果が出たときに上司が自分の功績を語り出すと、部下も競って自分を売り込み始める。上が一歩引くことで、組織全体の空気が変わるのである。
関連する章句
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司馬法・天子之義大捷(たいしょう)には賞せず、上下皆善を伐(ほこ)らず。
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司馬法・天子之義上苟も不善を以て己に在りとせば、必ず其の過ちを悔ゆ。下苟も不善を以て己に在りとせば、必ず其の罪に遠ざかる。上下悪を分かつこと此くの若きは、譲の至りなり。
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司馬法・嚴位自ら子(よ)するに循わざるを以てし、賢を争うに以て為し、人其の心を説(よろこ)ばしめ、其の力を效(いた)す。
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司馬法・天子之義古の民を教うるや、必ず貴賤の倫経を立て、相陵(しの)がざらしむ。徳義相踰えず、材技相掩わず、勇力相犯さず。故に力同じくして意和す。古は、国容は軍に入らず、軍容は国に入らず、故に徳義相踰えず。上は伐(ほこ)らざるの士を貴ぶ、伐らざるの士は、上の器なり。苟(いやしく)も伐らざれば則ち求むること無く、求むること無ければ則ち争わず。国中の聴は、必ず其の情を得、軍旅の聴は、必ず其の宜を得、故に材技相掩わず。命に従うを士の上賞と為し、命を犯すを士の上戮と為す、故に勇力相犯さず。既に其の民を教うるを致し、然る後に謹んで選びて之を使う。事極めて修まれば則ち百官給(た)る。
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司馬法・嚴位若し将に復た戦わんとすれば、則ち賞罰を重くす。
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