新書 / 保傅
明堂之位曰:「篤仁而好學,多聞而道順。天子疑則問,應而不窮者謂之道。道者,道天子以道者也,常立於前,是周公也。誠立而敦斷,輔善而相義者謂之輔。輔者,輔天子之意者也,常立於左,是太公也。潔廉而切直,匡過而諫邪者謂之拂。拂者,拂天子之過者也,常立於右,是召公也。博聞彊記,捷給而善對者謂之承。承者,承天子之遺忘者也,常立於後,是史佚也。故成王中立聽朝,則四聖維之,是以慮無失計而舉無過事。」殷周之所以長久者,其輔翼天子有此具也。
新字:明堂之位曰:「篤仁而好学,多聞而道順。天子疑則問,応而不窮者謂之道。道者,道天子以道者也,常立於前,是周公也。誠立而敦断,輔善而相義者謂之輔。輔者,輔天子之意者也,常立於左,是太公也。潔廉而切直,匡過而諫邪者謂之払。払者,払天子之過者也,常立於右,是召公也。博聞彊記,捷給而善対者謂之承。承者,承天子之遺忘者也,常立於後,是史佚也。故成王中立聴朝,則四聖維之,是以慮無失計而舉無過事。」殷周之所以長久者,其輔翼天子有此具也。
書き下し
明堂の位に曰く、「仁に篤くして学を好み、多聞にして道順なり。天子疑えば則ち問い、応じて窮まらざる者、之を道と謂う。道とは、天子を道くに道を以てする者なり。常に前に立つ、是れ周公なり。誠立ちて敦く断じ、善を輔けて義を相くる者、之を輔と謂う。輔とは、天子の意を輔くる者なり。常に左に立つ、是れ太公なり。潔廉にして切直、過ちを匡して邪を諫むる者、之を拂と謂う。拂とは、天子の過ちを拂う者なり。常に右に立つ、是れ召公なり。博聞彊記、捷給にして善く対うる者、之を承と謂う。承とは、天子の遺忘を承くる者なり。常に後ろに立つ、是れ史佚なり。故に成王中に立ちて朝を聴けば、則ち四聖之を維ぎ、是を以て慮りて計を失う無く、挙げて過事無し」と。殷周の長久なる所以は、其の天子を輔翼するに此の具有ればなり。
現代語訳
『明堂の位』にこうあります。「仁に厚く学を好み、見聞が広く道に従順である。天子が疑えば問い、答えて行き詰まらない者を『道』という。道とは、天子を道で導く者である。常に前に立つ。これが周公である。誠実で、決断が篤く、善を助け義を補う者を『輔』という。輔とは、天子の意を補う者である。常に左に立つ。これが太公である。清廉で率直、過ちを正し邪を諫める者を『拂』という。拂とは、天子の過ちを払う者である。常に右に立つ。これが召公である。博識で記憶が強く、機敏で受け答えのうまい者を『承』という。承とは、天子の物忘れを引き継ぐ者である。常に後ろに立つ。これが史佚である。だから成王が中央に立って政を聴くと、四人の聖人が支え、そのため考えて計を誤らず、行って過ちがない」。殷周が長く久しく続いた理由は、天子を輔け助けるのに、この備えがあったからです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『新書』傅職左右前後、賢人を以て之を輔相せざる莫く、威儀を摠べて以て之に先後し、体貌を摂めて以て之に左右し、義行を制して以て之を宣翼し、恭敬を章らかにして以て之を監行し、勤労以て之を勧め、孝順以て之を内れ、敦篤以て之を固め、忠信以て之を発し、徳言以て之を揚ぐ、此れ所謂順なる者なり。此れ人に傅くの道なり、賢者に非ざれば行う能わず。天子先聖人の徳に諭らず、君国畜民の道を知らず、礼義の正を見ず、事に応ずるの理を察せず、古人の典伝に博からず、威儀の数に僩ならず、詩書礼楽経無し、天子の学業法らざること、凡そ此の属は、太師の任なり。古者斉の太公之を職とす。天子親戚に恩あらず、庶民に恵あらず、大臣に礼無く、刑獄に中らず、百官に経無く、喪に哀しまず、祭に敬せず、戎事に直ならず、諸侯に信ならず、賞罰に誠ならず、徳に厚からず、行に彊からず、賜予は左右近臣に侈り、𠫤授は疏遠卑賤に、忿りを懲らし欲を忘るる能わず、大行・大礼・大義・大道、太師の教に従わざること、凡そ此の属は、太傅の任なり。古者魯の周公之を職とす。
-
葉隠・聞書第一諫言(かんげん)の道に、我(われ)其の位(くらい)にあらずば、其の位の人に言はせて、御誤(おあやまり)直(なお)る様にするが大忠(たいちゅう)なり。此の階(かい)の為に諸人(しょにん)と懇意(こんい)する所なり。我が為にすれば追従(ついしょう)なり。一方(いっぽう)は我等(われら)荷(にな)ひ申す心入(こころいれ)からなり。成程(なるほど)なるものなり。
-
史記 楽書上は朝廷より、下は人民に至るまで、以て歓喜を接し、殷勤を合するを得、此の和説に非ずんば通ぜず、解沢流れず、亦各々一世の化、時を度るの楽なり、何ぞ必ずしも華山の騄耳にして而る後に遠きを行かんや」と。二世之を然りとす。高祖、沛を過りて三侯の章を詩し、小児をして之を歌はしむ。高祖崩じ、沛をして四時に宗廟に歌舞するを得しむ。孝恵・孝文・孝景は増更する所無く、楽府に於いて常を習ひ旧を肄ふのみ。今上即位するに至り、十九章を作り、侍中李延年をして其の声を次序せしめ、拝して協律都尉と為す。一経に通ずるの士も独り其の辞を知る能はず、皆五経の家を集会し、相与に共に講習して之を読み、乃ち能く其の意を通知す、多く爾雅の文なり。漢家常に正月上辛を以て太一を甘泉に祠り、昏時を以て夜祠り、明に到りて終はる。常に流星の祠壇の上を経る有り。僮男僮女七十人をして俱に歌はしむ。春は青陽を歌ひ、夏は朱明を歌ひ、秋は西暤を歌ひ、冬は玄冥を歌ふ。世に多く有り、故に論ぜず。又嘗て神馬を渥洼の水中に得て、復た次して以て太一の歌と為す。歌曲に曰く、「太一貢ぎて天馬下る、赤汗に霑ひて沫赭を流す。騁せて容与として万里を跇ゆ、今安んぞ匹せん、龍を友と為す」と。後に大宛を伐ちて千里の馬を得、馬の名は蒲梢、次して作りて以て歌と為す。歌詩に曰く、「天馬来たる、西極よりす。万里を経て有徳に帰す。霊威を承けて外国を降し、流沙を渉りて四夷服す」と。中尉汲黯進みて曰く、「凡そ王者の楽を作るは、上は以て祖宗を承け、下は以て兆民を化す。今陛下馬を得て、詩して以て歌と為し、宗廟に協す、先帝百姓豈に能く其の音を知らんや」と。上黙然として説ばず。丞相公孫弘曰く、「黯は聖制を誹謗す、当に族すべし」と。凡そ音の起こるは、人心より生ずるなり。人心の動くは、物之をして然らしむるなり。
-
史記 宋微子世家微子開は、殷の帝乙の首子にして帝紂の庶兄なり。紂既に立ち、明らかならず、政に淫乱す。微子数々諫むるも、紂聴かず。祖伊周の西伯昌の徳を修め、黎国を滅ぼすを以て、禍の至らんことを懼れ、以て紂に告ぐるに及ぶ。紂曰く、「我が生は命天に在る有らずや。是れ何をか能く為さん」と。是に於て微子、紂の終に諫むべからざるを度り、之に死せんと欲し、及び去らんとするも、未だ自ら決すること能はず。乃ち太師・少師に問ひて曰く、「殷は治政有らず、四方を治めず。我が祖遂に上に陳ぶ。紂酒に沈湎し、婦人是れ用ひ、湯の徳を下に乱敗す。殷既に小大好んで草窃姦宄し、卿士師師度に非ず、皆罪辜有り、乃ち維れ獲ること无し。小民乃ち并び興り、相敵讎と為る。今殷其れ典喪へり。水を渉るに津涯无きが若し。殷遂に喪ひ、越に今に至る」と。曰く、「太師、少師、我其れ発して出で往かんか。吾が家喪に保たんか。今女故无くして予に告ぐ。顛躋(てんせい)せば、之を如何せん」と。太師若(かく)のごとく曰く、「王子、天篤く菑(わざはひ)を下して殷国を亡ぼす。乃ち畏るべきを畏れず、老長を用ひず。今殷の民乃ち神祇の祀を陋淫す。今誠に国を治むるを得ば、国治まりて身死すとも恨みず。死を為して、終に治むるを得ずんば、去るに如かず」と。遂に亡ぐ。箕子は、紂の親戚なり。紂始めて象箸を為る。箕子嘆じて曰く、「彼象箸を為らば、必ず玉桮を為らん。桮を為らば、則ち必ず遠方の珍怪の物を思ひて之を御せん。輿馬宮室の漸、此より始まり、振ふべからず」と。紂淫泆を為す。箕子諫むるも、聴かず。人或いは曰く、「以て去るべし」と。箕子曰く、「人臣為りて諫めて聴かれずして去るは、是れ君の悪を彰らかにして自ら民に説(よろこ)ばるるなり。吾為すに忍びざるなり」と。乃ち髪を被り詳狂して奴と為る。遂に隠れて琴を鼓きて以て自ら悲しむ。故に之を伝へて箕子操と曰ふ。王子比干は、亦た紂の親戚なり。
-
史記 季布欒布列伝中郎将と為る。単于嘗て書を為りて呂后を嫚り、不遜なり、呂后大いに怒り、諸将を召して之を議す。上将軍樊噲曰く「臣願はくは十万の衆を得て、匈奴の中に横行せん」と。諸将皆呂后の意に阿り、「然り」と曰ふ。季布曰く「樊噲斬るべきなり。夫れ高帝兵四十余万の衆を将ゐて、平城に困しむ、今噲柰何ぞ十万の衆を以て匈奴の中に横行せんとするは、面欺なり。且つ秦胡に事とするを以て、陳勝等起こる。今に于て創痍未だ瘳えず、噲又面諛し、天下を揺動せんと欲す」と。是の時殿上皆恐れ、太后朝を罷め、遂に復た匈奴を撃つ事を議せず。
-
『春秋左氏伝』僖公十五年 韓原の戦い壬戌、韓原に戰ふ。晉の戎馬濘に還りて止まる。公慶鄭を號ぶ。慶鄭曰く、「諫に愎り卜に違ふ、固より敗を是れ求む、又何ぞ逃れん」と。遂に之を去る。梁由靡韓簡を御し、虢射右と為り、秦伯を輅へ、將に之を止めんとす。鄭公を救ふを以て之を誤らしめ、遂に秦伯を失ふ。秦晉侯を獲て以て歸る。晉の大夫首を反し舍を拔きて、之に從ふ。秦伯使ひして辭せしめて曰く、「二三子何ぞ其れ慼へるや。寡人の君に從ひて西するや、亦た晉の妖夢を是れ踐むのみ、豈に敢へて以て至らんや」と。晉の大夫三拜稽首して曰く、「君は后土を履みて皇天を戴く。皇天后土、實に君の言を聞く、群臣敢へて下風に在らん」と。穆姬晉侯の將に至らんとするを聞き、大子罃・弘と女簡・璧とを以て、臺に登りて薪を履む。免服衰絰を以て逆へしめ、且つ告げしめて曰く、「上天災を降し、我が兩君をして玉帛を以て相見えずして、戎を興すを以てせしむ。若し晉君朝に以て入らば、則ち婢子夕べに以て死せん。夕べに以て入らば、則ち朝に以て死せん。唯だ君之を裁け」と。乃ち諸を靈臺に舍らしむ。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る