新書 / 解縣
天下之勢方倒縣,竊願陛下省之也。凡天子者,天下之首也。何也?上也。蠻夷者,天下之足也。何也?下也。蠻夷徵令,是主上之操也;天子共貢,是臣下之禮也。足反居上,首顧居下,是倒縣之勢也。天下倒縣,莫之能解,猶爲國有人乎?非特倒縣而已也,又慮躄,且病痱。夫躄者一面病,痱者一方痛。今西爲上流,東爲下流,故隴西爲上,東海爲下,則北境一倒也,西郡、北郡,雖有長爵不輕得復,五尺以上不輕得息,苦甚矣!中地左戍,延行數千里,糧食饋饟難也。斥候者望烽燧而不敢臥,將吏戍者或介胄而睡,而匈奴欺侮侵掠,未知息時。於焉信威廣德難。臣故曰:「一方病矣。」醫能治之,而上弗肯使也。天下倒縣甚苦矣,竊爲陛下惜之。
新字:天下之勢方倒県,窃願陛下省之也。凡天子者,天下之首也。何也?上也。蠻夷者,天下之足也。何也?下也。蠻夷徴令,是主上之操也;天子共貢,是臣下之礼也。足反居上,首顧居下,是倒県之勢也。天下倒県,莫之能解,猶為国有人乎?非特倒県而已也,又慮躄,且病痱。夫躄者一面病,痱者一方痛。今西為上流,東為下流,故隴西為上,東海為下,則北境一倒也,西郡、北郡,雖有長爵不軽得復,五尺以上不軽得息,苦甚矣!中地左戍,延行数千里,糧食饋饟難也。斥候者望烽燧而不敢臥,将吏戍者或介胄而睡,而匈奴欺侮侵掠,未知息時。於焉信威広徳難。臣故曰:「一方病矣。」医能治之,而上弗肯使也。天下倒県甚苦矣,窃為陛下惜之。
書き下し
天下の勢い方に倒県す、竊かに願わくは陛下之を省みられんことを。凡そ天子とは、天下の首なり。何となれば、上なればなり。蛮夷とは、天下の足なり。何となれば、下なればなり。蛮夷の徴令は、是れ主上の操なり。天子の共貢は、是れ臣下の礼なり。足反って上に居り、首顧って下に居る、是れ倒県の勢いなり。天下倒県し、之を解く能う莫し、猶お国に人有りと為さんや。特に倒県するのみに非ず、又た慮るに躄し、且つ痱を病まん。夫れ躄とは一面病み、痱とは一方痛む。今西は上流と為り、東は下流と為る、故に隴西を上と為し、東海を下と為せば、則ち北境一倒するなり。西郡、北郡、長爵有りと雖も軽がるしくは復を得ず、五尺以上軽がるしくは息を得ず、苦しみ甚し。中地は左戍し、延行すること数千里、糧食の饋饟難し。斥候する者は烽燧を望みて敢えて臥せず、将吏の戍る者は或いは介冑して睡る、而るに匈奴は欺侮侵掠して未だ息む時を知らず。焉に於いて威を信べ徳を広むること難し。臣故に曰く、「一方病めり」と。医能く之を治せども、上肯えて使わざるなり。天下の倒県すること甚だ苦しく、竊かに陛下の為に惜しむ。
現代語訳
天下の形勢は今、さかさまに吊り下げられています。どうか陛下にはこれをお考えいただきたい。そもそも天子は天下の頭です。なぜか。上にいるからです。蛮夷は天下の足です。なぜか。下にいるからです。蛮夷が命令を出して徴発するのは主君の振る舞いで、天子が貢ぎ物を共に納めるのは臣下の礼です。足がかえって上にあり、頭がかえって下にある。これが倒懸(さかさ吊り)の形勢です。天下がさかさまに吊られ、これを解く者がいないのに、国に人がいると言えるでしょうか。さかさまなだけでなく、おそらく足が萎え、しびれの病にもなるでしょう。足が萎えるとは一方が病むことで、しびれとは一方が痛むことです。今、西が上流で東が下流となっていて、隴西を上とし東海を下とすれば、北の境が一方にひっくり返っているのです。西郡、北郡では、長く爵位のある者でも軽々しく免除を受けられず、五尺以上の者は軽々しく休むことができず、苦しみは甚大です。内地は左遷された守備を置き、数千里にわたって道が続き、兵糧の輸送は困難です。見張りの者は烽火を見て横になることもできず、守りに就く将吏は鎧兜を着けたまま眠る。それなのに匈奴は侮り、侵略して、休む時を知りません。これでは威を示し徳を広めることが難しい。だから私は「一方が病んでいる」と言うのです。医者は治せますが、上がそれを用いようとしないのです。天下のさかさ吊りは本当に苦しく、陛下のために私はひそかに惜しんでいます。
解説
この章句が説くこと
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戦国策・謂公叔曰乘舟公叔に謂いて曰く、「舟に乘るに、舟漏れて塞がざれば、則ち舟沈まん。漏舟を塞ぎて、陽侯の波を輕んずれば、則ち舟覆らん。今公自ら薛公に辯ずるを以て秦を輕んずるは、是れ漏舟を塞ぎて陽侯の波を輕んずるなり、願わくは公之を察せよ。」
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史記 田敬仲完世家淳于髡曰く、「弓膠昔干は、合を為す所以なり。然れども疎罅を傅合すること能はず」と。騶忌子曰く、「謹んで令を受く。請ふ謹んで自ら万民に附かん」と。淳于髡曰く、「狐裘は敝ると雖も、補ふに黄狗の皮を以てすべからず」と。騶忌子曰く、「謹んで令を受く。請ふ謹んで君子を択び、小人を其の閒に雑ふる毋からん」と。淳于髡曰く、「大車も較せずんば、其の常任を載すること能はず。琴瑟も較せずんば、其の五音を成すこと能はず」と。騶忌子曰く、「謹んで令を受く。請ふ謹んで法律を修めて姦吏を督さん」と。淳于髡説き畢はり、趨りて出で、門に至りて、其の仆に面して曰く、「是の人は、吾之に微言五を語る。其の我に応ずること響の声に応ずるが若し。是の人必ず封ぜらるること久しからざらん」と。朞に居りて、封ずるに下邳を以てし、号して成侯と曰ふ。威王二十三年、趙王と平陸に会す。二十四年、魏王と郊に会して田す。
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史記 楚世家対へて曰く、「小臣の好んで鶀鴈・羅鸗を射るは、小矢の発なり。何ぞ大王の為に道ふに足らん。且つ楚の大を称し、大王の賢に因らば、弋する所は直だ此のみに非ざるなり。昔者三王は弋を以て道徳し、五覇は弋を以て戦国す。故に秦・魏・燕・趙は、鶀鴈なり。斉・魯・韓・衛は、青首なり。騶・費・郯・邳は、羅鸗なり。外の其の余は則ち射るに足らざる者なり。鳥の六双を見る。王を以て何をか取らん。王何ぞ聖人を以て弓と為し、勇士を以て繳と為し、時に張りて之を射ざる。此の六双の者は、得て囊載すべきなり。其の楽しみは特だ朝昔の楽しみのみに非ず。其の獲は特だ鳧鴈の実のみに非ざるなり。王朝に弓を張りて魏の大梁の南を射、其の右臂に加へて径ちに之を韓に属せば、則ち中国の路絶えて上蔡の郡壊れん。還りて圉の東を射、魏の左肘を解きて外に定陶を撃たば、則ち魏の東外棄てられて大宋・方与の二郡挙がらん。且つ魏二臂を断たば、顛越せん。膺に郯国を撃たば、大梁得て有つべきなり。王繳を蘭台に綪(まと)ひ、馬に西河に飲ましめ、魏の大梁を定む。此れ一発の楽しみなり。若し王の弋に於けるや誠に好みて厭かずんば、則ち宝弓を出だし、新繳を碆(はさ)み、噣鳥を東海に射、還りて長城を蓋ひて以て防と為し、朝に東莒を射、夕に浿丘を発し、夜即墨に加へ、顧みて午道に拠らば、則ち長城の東収まりて太山の北挙がらん。西のかた境を趙に結びて北のかた燕に達し、三国鶴を布かば、則ち従は約を待たずして成るべきなり。北のかた目を燕の遼東に遊ばしめて南のかた登りて越の会稽を望む。此れ再発の楽しみなり。若し夫れ泗上の十二諸侯は、左に縈ひ右に払ひて、一旦にして尽くすべきなり。
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説苑・善說客梁王に謂いて曰く、「惠子の事を言うや譬を善くす。王をして譬うる無からしめば、則ち言うこと能わじ。」王曰く、「諾。」明日見えて惠子に謂いて曰く、「願わくは先生の事を言うは則ち直言せよ、譬うる無かれ。」惠子曰く、「今此こに人有りて彈を知らざるに、『彈の狀は何の若きか』と曰わば、應えて『彈の狀は彈の如し』と曰わば、諭らんか。」王曰く、「未だ諭らざるなり。」「是に於て更に應えて『彈の狀は弓の如くにして竹を以て弦と爲す』と曰わば、則ち知らんか。」王曰く、「知るべし。」惠子曰く、「夫れ說く者は固より其の知る所を以て、其の知らざる所を諭し、人をして之を知らしむ。今王『譬うる無かれ』と曰わば、則ち不可なり。」王曰く、「善し。」
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人物志・九徵猶ほ火日の外を照らして、內を見る能はず、金水の內に映じて、外に光る能はざるがごとし。
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史記 田敬仲完世家諸侯之を聞き、敢へて兵を斉に致すもの莫きこと二十余年。騶忌子琴を鼓するを以て威王に見ゆ。威王説びて之を右室に舎らしむ。須臾にして、王琴を鼓す。騶忌子戸を推して入りて曰く、「善いかな琴を鼓すること」と。王勃然として説ばず、琴を去りて剣を按じて曰く、「夫子容を見て未だ察せず。何を以てか其の善きを知る」と。騶忌子曰く、「夫れ大絃の濁りて以て春のごとく温かなるは、君なり。小絃の廉折にして以て清きは、相なり。之を攫むこと深く、之を醳つこと愉なるは、政令なり。鈞諧して以て鳴り、大小相益し、回邪して相害せざるは、四時なり。吾是を以て其の善きを知る」と。王曰く、「善く音を語る」と。騶忌子曰く、「何ぞ独り音を語るのみならん。夫れ国家を治めて人民を弭むること皆其の中に在り」と。王又勃然として説ばずして曰く、「夫の五音の紀を語るが若きは、信に未だ夫子の如き者有らざるなり。夫の国家を治めて人民を弭むるが若きは、又何為れぞ糸桐の閒に乎てせん」と。騶忌子曰く、「夫れ大絃の濁りて以て春のごとく温かなるは、君なり。小絃の廉折にして以て清きは、相なり。之を攫むこと深くして之を捨つること愉なるは、政令なり。鈞諧して以て鳴り、大小相益し、回邪して相害せざるは、四時なり。夫れ復して乱れざる者は、治昌なる所以なり。連なりて径なる者は、亡を存する所以なり。故に曰く琴音調ひて天下治まると。夫れ国家を治めて人民を弭むる者は、五音に若くは無し」と。王曰く、「善し」と。騶忌子見えて三月にして相印を受く。淳于髡之に見えて曰く、「善く説くかな。髡に愚志有り、願はくは諸を前に陳べん」と。騶忌子曰く、「謹んで教へを受けん」と。淳于髡曰く、「全きを得れば全く昌え、全きを失へば全く亡ぶ」と。騶忌子曰く、「謹んで令を受く。請ふ謹んで前を離るる毋からん」と。淳于髡曰く、「狶膏棘軸は、滑らかと為す所以なり。然れども方穿を運らすこと能はず」と。騶忌子曰く、「謹んで令を受く。請ふ謹んで左右に事へん」と。
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