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新書 / 銅布

銅布於下,爲天下災,何以言之?銅布於下,則民鑄錢者,大抵必雜以鉛鐵焉,黥罪日繁,此一禍也。銅布於下,僞錢無止,錢用不信,民愈相疑,此二禍也。銅布於下,采銅者棄其田疇,家鑄者損其農事,穀不爲則鄰於飢,此三禍也。故不禁鑄錢,則錢常亂,黥罪日積,是陷阱也。且農事不爲,有疑爲災,故民鑄錢不可不禁。上禁鑄錢,必以死罪。鑄錢者禁,則錢必還重;錢重則盜鑄錢者起,則死罪又複積矣,銅使之然也。故銅布於下,其禍博矣。

新字:銅布於下,為天下災,何以言之?銅布於下,則民鋳銭者,大抵必雑以鉛鉄焉,黥罪日繁,此一禍也。銅布於下,偽銭無止,銭用不信,民愈相疑,此二禍也。銅布於下,采銅者棄其田疇,家鋳者損其農事,穀不為則鄰於飢,此三禍也。故不禁鋳銭,則銭常乱,黥罪日積,是陥阱也。且農事不為,有疑為災,故民鋳銭不可不禁。上禁鋳銭,必以死罪。鋳銭者禁,則銭必還重;銭重則盗鋳銭者起,則死罪又複積矣,銅使之然也。故銅布於下,其禍博矣。

書き下し

銅の下に布かるるは、天下の災いと為る。何を以て之を言う。銅の下に布かるれば、則ち民の銭を鋳る者、大抵必ず鉛鉄を雑う。黥罪日びに繁し。此れ一禍なり。銅の下に布かるれば、偽銭止む無く、銭用信ならず、民愈いよ相疑う。此れ二禍なり。銅の下に布かるれば、銅を采る者は其の田疇を棄て、家に鋳る者は其の農事を損い、穀為さざれば則ち飢に鄰る。此れ三禍なり。故に銭を鋳るを禁ぜざれば、則ち銭常に乱れ、黥罪日びに積む。是れ陥穽なり。且つ農事為さざれば、疑い有り災いと為る。故に民の銭を鋳るは禁ぜざる可からず。上、銭を鋳るを禁ずるに、必ず死罪を以てす。銭を鋳る者禁ぜらるれば、則ち銭必ず還りて重し。銭重ければ則ち盗みて銭を鋳る者起こり、則ち死罪又た複た積む。銅之をして然らしむるなり。故に銅の下に布かるれば、其の禍い博し。

現代語訳

銅が民間にばらまかれると、天下の災いになります。なぜそう言えるのか。銅が民間にあれば、銭を鋳る民は大抵きまって鉛や鉄を混ぜます。そのため入れ墨の刑にあたる罪が日々増えます。これが第一の禍いです。銅が民間にあれば、偽の銭が絶えず、銭の信用が落ち、民はますます互いを疑います。これが第二の禍いです。銅が民間にあれば、銅を採る者は田畑を捨て、家で鋳る者は農事を損ない、穀物が作られなければ飢えに近づきます。これが第三の禍いです。ですから銭を鋳るのを禁じなければ、銭は常に乱れ、刑罰の罪が日々積もります。これは落とし穴です。また農事がおろそかになれば、疑いが生じて災いとなります。ゆえに民が銭を鋳るのは禁じなければなりません。ところが上が銭を鋳るのを禁じるのに、必ず死罪をもってすると、鋳る者が禁じられて銭はかえって重くなります。銭が重くなれば、盗んで銭を鋳る者が出て、死罪の者がまた積み重なります。銅がそうさせるのです。だから銅が民間に広がると、その禍いは広く及ぶのです。

解説

この段は、貨幣の材料である銅を民間に開放した場合の弊害を、三つの禍いに数えて示します。偽銭の横行、貨幣への不信、農業の衰えという順に話が進み、一つの制度の穴が経済、治安、食糧に連鎖していく様子が見えてきます。賈誼は、民が悪いのではなく、銅を野放しにしたことが人を罪に追いやっていると論じています。文帝の時代には民間の鋳銭が認められていたと伝えられ、その背景を踏まえた提言です。現代の組織に引き寄せると、評価や報酬の仕組みの抜け穴が、現場に不正や不信を生み、本業まで傷める構図に似ています。不正をした人を罰する前に、不正が起きやすい設計になっていないかを点検するのが、管理職の仕事と言えるでしょう。

この章句が説くこと

貨幣鋳銭偽銭制度設計連鎖新書

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