新書 / 銅布
今博禍可除,七福可致。何謂七福?上收銅勿令布下,則民不鑄錢,黥罪不積,一。銅不布下,則僞錢不繁,民不相疑,二。銅不布下,不得采銅,不得鑄錢,則民反耕田矣,三。銅不布下,畢歸於上,上挾銅積以御輕重,錢輕則以術斂之,錢重則以術散之,則錢必治矣,四。挾銅之積,以鑄兵器,以假貴臣,小大多少,各有制度,以別貴賤,以差上下,則等級明矣,五。挾銅之積,以臨萬貨,以調盈虛,以收畸羨,則官必富,而末民困矣,六。挾銅之積,制吾棄財,以與匈奴逐爭其民,則敵必懷矣。此謂之七福。故善爲天下者,因禍而爲福,轉敗而爲功。今顧退七福而行博禍,可爲長太息者,此其一也。
新字:今博禍可除,七福可致。何謂七福?上収銅勿令布下,則民不鋳銭,黥罪不積,一。銅不布下,則偽銭不繁,民不相疑,二。銅不布下,不得采銅,不得鋳銭,則民反耕田矣,三。銅不布下,畢帰於上,上挟銅積以御軽重,銭軽則以術斂之,銭重則以術散之,則銭必治矣,四。挟銅之積,以鋳兵器,以仮貴臣,小大多少,各有制度,以別貴賤,以差上下,則等級明矣,五。挟銅之積,以臨万貨,以調盈虚,以収畸羨,則官必富,而末民困矣,六。挟銅之積,制吾棄財,以与匈奴逐争其民,則敵必懐矣。此謂之七福。故善為天下者,因禍而為福,転敗而為功。今顧退七福而行博禍,可為長太息者,此其一也。
書き下し
今、博き禍いは除く可く、七福は致す可し。何をか七福と謂う。上、銅を収めて下に布かしむる勿ければ、則ち民銭を鋳ず、黥罪積まず、一なり。銅下に布かざれば、則ち偽銭繁からず、民相疑わず、二なり。銅下に布かざれば、銅を采るを得ず、銭を鋳るを得ず、則ち民反って田を耕す、三なり。銅下に布かず、畢く上に帰すれば、上、銅の積を挟みて以て軽重を御し、銭軽ければ則ち術を以て之を斂め、銭重ければ則ち術を以て之を散ず、則ち銭必ず治まる、四なり。銅の積を挟み、以て兵器を鋳、以て貴臣に仮し、小大多少、各おの制度有り、以て貴賤を別ち、以て上下を差とすれば、則ち等級明らかなり、五なり。銅の積を挟み、以て万貨に臨み、以て盈虚を調え、以て畸羨を収むれば、則ち官必ず富みて、末民困しむ、六なり。銅の積を挟み、吾が棄財を制し、以て匈奴と其の民を逐争せば、則ち敵必ず懐く。此れを七福と謂う。故に善く天下を為むる者は、禍いに因りて福と為し、敗を転じて功と為す。今顧って七福を退けて博禍を行う。長太息す可き者、此れ其の一なり。
現代語訳
今ならば、この広い禍いを除き、七つの福をもたらすことができます。七福とは何か。上が銅を収めて民間に出さなければ、民は銭を鋳ず、刑罰の罪も積もらない。これが一つ目です。銅が民間に出なければ、偽の銭も増えず、民が互いを疑わない。二つ目です。銅が民間に出なければ、銅を採ることも銭を鋳ることもできず、民はむしろ田を耕すようになる。三つ目です。銅が民間に出ず、すべて上に集まれば、上は銅の蓄えを握って物価の軽重を操れ、銭が軽ければ術をもって集め、銭が重ければ術をもって放出し、銭は必ず安定する。四つ目です。銅の蓄えで兵器を鋳たり、貴臣に貸し与えたりして、大小多少に応じて制度を設け、貴賤を分け上下に差をつければ、等級が明らかになる。五つ目です。銅の蓄えで万物の価格に臨み、余りと不足を調整し、偏った余剰を収めれば、官は必ず富み、末業の民は苦しむ。六つ目です。銅の蓄えで私たちが捨て置いた財を押さえ、匈奴と民を取り合えば、敵も必ずこちらに心を寄せる。これを七福と言います。ですから天下をよく治める者は、禍いを福に変え、敗れを功に変えます。ところが今は七福を退けて広い禍いを行っています。私が長くため息をつく理由の、その一つがこれです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『新書』銅布銅の下に布かるるは、天下の災いと為る。何を以て之を言う。銅の下に布かるれば、則ち民の銭を鋳る者、大抵必ず鉛鉄を雑う。黥罪日びに繁し。此れ一禍なり。銅の下に布かるれば、偽銭止む無く、銭用信ならず、民愈いよ相疑う。此れ二禍なり。銅の下に布かるれば、銅を采る者は其の田疇を棄て、家に鋳る者は其の農事を損い、穀為さざれば則ち飢に鄰る。此れ三禍なり。故に銭を鋳るを禁ぜざれば、則ち銭常に乱れ、黥罪日びに積む。是れ陥穽なり。且つ農事為さざれば、疑い有り災いと為る。故に民の銭を鋳るは禁ぜざる可からず。上、銭を鋳るを禁ずるに、必ず死罪を以てす。銭を鋳る者禁ぜらるれば、則ち銭必ず還りて重し。銭重ければ則ち盗みて銭を鋳る者起こり、則ち死罪又た複た積む。銅之をして然らしむるなり。故に銅の下に布かるれば、其の禍い博し。
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『新書』鑄錢夫れ農事を為さずして、採銅日に煩わし、其の耒耨を釈てて、冶鎔・鑪炭す。奸銭日に繁く、正銭日に亡ぶ。善人は怵れて奸邪を為し、愿民は陥りて刑戮に之く。黥罪繁く積もり、吏民且に日に闘わんとす。少しく今に益さば、将に甚だ不祥ならん、奈何ぞ忽せにせん。国此の患を知らば、吏議して必ず曰わん︰「之を禁ぜよ」と。之を禁ずるに其の術を得ざれば、其の傷必ず大なり、何を以て之を圉がん。令して鋳銭を禁ぜば、銭必ず還た重くならん、四銭の粟は、必ず還た二銭のみ。重ければ則ち盗鋳銭は雲の如く起こり、則ち棄市の罪も又以て禁ずるに足らず。奸勝えずして法禁数しば潰ゆ、言い難きのみ、大事なり。久しく乱れて蚤く振わざれば、恐らくは陛下の明に称わず。凡そ治の得られざるとき、天地星辰に応じて動く有り、小故に非ざるなり。或いは王徳を累わさん、陛下以て怠る可からず、方今始めて伏す、望むらくは善く図る可きなり。
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『新書』鑄錢法は天下をして公に租を顧みて銭を鋳しめ、敢えて銅・鉛・鉄を雑えて它の巧を為す者は、其の罪は黥なり。然れども鋳銭の情、鉛鉄を殽え及び以て銅を雑うるに非ざれば、贏を得べからず。而して之を殽うること甚だ微にして、又為し易く、鹽羹の易きに異なること無く、其の利甚だ厚し。法を張ること公に銅錫を鋳ると雖も、鋳る者の情は必ず奸偽なり。名は顧租公鋳と曰うは、法なり、而して実は皆黥罪なり。法有ること此くの若し、上将に何をか頼まんや。夫れ事に禍を召く有り、法に奸を起こす有り、今細民をして造弊の勢を操らしめ、各おの其の家を隠親して公に鋳作せしめ、因りて其の大利微姦を禁ぜんと欲せば、黥罪日に報ぜらるると雖も、其の勢い止まず、民の理は然り。夫れ白着して以て之を請えば、則ち吏随いて之を揜う、民の為に阱を設くること、孰か是より積めるや。上早く之を図れ、民の勢い且に尽きんとす。曩に鋳銭を禁じて、死罪下に積む。今公に銭を鋳しめて、黥罪下に積む。少しく異なると雖も、未だ甚だしからず。民方に陥溺す、上且に救わざらんや。
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『新書』鑄錢迺者竊かに聞く、吏の復た銭を鋳る者あり、民人罪に抵たる、多き者は一県に百数、少なき者は十数なりと。家属・知識及び吏の疑う所、擊囚・榜笞及び犇走する者、類甚だ少なからず。僕は未だ之を験することを得ざれども、然れども其の刑は必ず然らん。禍罪に抵たる者は、固より乃ち始まるのみ。此れ息む時無く、事甚だ少なからず、上に於いて大いに便ならず、原わくは陛下幸いに忽せにすること勿れ。
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『新書』鑄錢且つ世民の銭を用うること、県に異なりて郡に同じからず。或いは軽銭を用い、百に加うること若干、軽小異行す。或いは重銭を用い、平称受けず。法銭立たざれば、将に天下をして権族を操らしめんとす、而して吏急にして之を壱にせんとすれば、則ち吏は煩苛にして民は任えず、且つ力能わずして勢い施す可からず。縦にして苛せざれば、則ち郡県異なりて市肆同じからず、小大用を異にし、銭文大いに乱る。夫れ苟くも其の術に非ざれば、則ち何れに嚮うて可ならんや。
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『新書』無蓄故に時を失いて雨ふらざれば、民且に狼顧せんとす。歳悪しく入らざれば、爵を売り子を鬻がんことを請う、既に或いは聞くのみ、安くんぞ天下の阽危此くの若くにして上驚かざる者有らんや。世の饑荒有るは、天下の矣常なり、禹湯も之を被れり。即し不幸にして方二三千里の旱有らば、国何を以てか相恤まん。卒然として辺境に急有らば、数十百万の衆、国何を以てか之を餽らんや。兵旱相乗じ、天下大いに屈せば、勇力ある者は徒を聚めて横撃し、罷夫羸老は子孫を易えて其の骨を齩む。故に法未だ必ずしも通ぜざるなり、遠方の疑う者は幷せ挙げて争い起こらん。人の上たる者乃ち試みて之を図らば、豈に将に及ぶ有らんや。以て富ましめ天下を安んず可くして、直だ以て此れ廩廩なりと為すは、竊かに陛下の為に之を惜しむ。王制に曰く、「国に九年の蓄え無きを、之を不足と謂い、六年の蓄え無きを、之を急と謂い、三年の蓄え無ければ、国は国に非ざるなり」と。其の王制の此くの若く迫れるに、陛下奈何ぞ吏をして此を為す所以を計らしめざる。以て涕を流す可き者は又是れなり。
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