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新書 / 制不定

屠牛坦一朝解十二牛,而芒刃不頓者,所排擊,所剝割,皆象理也。然至髖髀之所,非斤則斧矣。仁義恩厚者,此人主之芒刃也;權勢法制,此人主之斤斧也。勢已定,權已足矣,乃以仁義恩厚因而澤之,故德布而天下有慕志。今諸侯王皆衆髖髀也,釋斤斧之制,而欲嬰以芒刃,臣以爲刃不折則缺耳。胡不用之淮南、濟北?勢不可也。

新字:屠牛坦一朝解十二牛,而芒刃不頓者,所排撃,所剥割,皆象理也。然至髖髀之所,非斤則斧矣。仁義恩厚者,此人主之芒刃也;権勢法制,此人主之斤斧也。勢已定,権已足矣,乃以仁義恩厚因而沢之,故徳布而天下有慕志。今諸侯王皆衆髖髀也,釈斤斧之制,而欲嬰以芒刃,臣以為刃不折則欠耳。胡不用之淮南、済北?勢不可也。

書き下し

屠牛坦 一朝に十二牛を解きて芒刃 頓れざるは、排撃する所、剥割する所、皆 理に象ればなり。然れども髖髀の所に至りては、斤に非ざれば則ち斧なり。仁義恩厚なる者は、此れ人主の芒刃なり。権勢法制は、此れ人主の斤斧なり。勢い已に定まり、権 已に足れば、乃ち仁義恩厚を以て因りて之を沢す。故に徳 布かれて天下に慕う志有り。今 諸侯王は皆 衆髖髀なり。斤斧の制を釈てて、芒刃を以て嬰れんと欲す。臣 以為えらく、刃 折れざれば則ち缺くるのみ。胡ぞ之を淮南・済北に用いざる。勢い不可なればなり。

現代語訳

牛を屠る坦は、朝のうちに十二頭の牛をさばいても、刃先が鈍りませんでした。切り開き、削ぎ取る所が、みな筋目に沿っていたからです。ところが腰や腿の太い骨のところに来ると、鉈か斧でなければ切れません。仁義や恩厚は、君主にとっての刃先です。権勢や法制は、君主にとっての鉈と斧です。勢いがすでに定まり、権力が十分になって、はじめて仁義や恩厚でこれを潤します。そうすれば徳が行き渡り、天下には慕う気持ちが生まれます。いま諸侯王は、みな大きな腰骨や腿骨のようなものです。それなのに鉈や斧による制を捨てて、刃先で当たろうとしています。私が思うに、刃は折れなくても欠けるだけでしょう。どうしてこれを淮南や済北に用いないのでしょうか。勢いが不可能だからです。

解説

屠牛の比喩を使って、仁義と権勢法制の使い分けを説いた短い段です。筋目に沿って切るうちは薄い刃で足りるが、太い骨には斧が要る、という具体的なたとえで論が進みます。賈誼は、仁義や恩厚を君主の刃先、権勢や法制を斧に当て、まず力で勢いを定めてから徳で潤すと順序づけます。仁を軽んじているのではなく、順序の問題として語る点が重要です。経営でも、手強い局面に温情だけで当たると、刃が欠けるだけで何も切れません。逆に、先に枠組みを固めていれば、あとから人間味のある対応が活きてきます。場面ごとの道具の使い分けを促す一節として読めます。

この章句が説くこと

制不定屠牛坦仁義権勢法制新書

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