新書 / 宗首
今或親弟謀爲東帝,親兄之子西向而擊,今吳又見告矣。天子春秋鼎盛,行義未過,德澤有加焉,猶尚若此,況莫大諸侯權勢十此者乎?然而天下少安者,何也?大國之王幼在懷袵,漢所置傅相方握其事。數年之後,諸侯王大抵皆冠,血氣方剛,漢之所置傅歸休而不肯住,漢所置相稱病而賜罷,彼自丞尉以上徧置其私人,如此有異淮南、濟北之爲耶!此時而乃欲爲治安,雖堯舜不能。臣故曰:時且過矣,上弗蚤圖,疑且歲聞所不欲焉。
新字:今或親弟謀為東帝,親兄之子西向而撃,今呉又見告矣。天子春秋鼎盛,行義未過,徳沢有加焉,猶尚若此,況莫大諸侯権勢十此者乎?然而天下少安者,何也?大国之王幼在懐袵,漢所置傅相方握其事。数年之後,諸侯王大抵皆冠,血気方剛,漢之所置傅帰休而不肯住,漢所置相称病而賜罷,彼自丞尉以上遍置其私人,如此有異淮南、済北之為耶!此時而乃欲為治安,雖堯舜不能。臣故曰:時且過矣,上弗蚤図,疑且歳聞所不欲焉。
書き下し
今、或いは親弟東帝たらんことを謀り、親兄の子西に向かいて撃ち、今呉又告げらる。天子春秋鼎盛にして、義を行うこと未だ過たず、徳沢加うる有り。猶お尚お此くの若し、況んや莫大の諸侯の権勢此に十なる者をや。然り而して天下少しく安んずるは、何ぞや。大国の王幼くして懐衽に在り、漢の置く所の傅相方に其の事を握ればなり。数年の後、諸侯王大抵皆冠し、血気方に剛く、漢の置く所の傅は帰休して住まるを肯んぜず、漢の置く所の相は病と称して罷めを賜い、彼は丞尉より以上徧く其の私人を置く。此くの如くんば淮南・済北の為せしに異なる有らんや。此の時にして乃ち治安を為さんと欲するは、堯舜と雖も能わず。臣故に曰く、時且に過ぎんとす。上蚤く図らずんば、疑うらくは且に歳ごとに欲せざる所を聞かん、と。
現代語訳
いま、実の弟が東帝になろうと謀り、実の兄の子が西に向かって攻め、今度は呉もまた告げられました。天子は年が働き盛りで、行いにも義にも過ちがなく、徳沢も加えています。それでもなおこの有様なのですから、まして最も大きな諸侯でその権勢がこれの十倍にもなる者はどうでしょうか。それでも天下が少し安らかなのは、なぜでしょうか。大国の王が幼くて懐に抱かれており、漢が置いた傅や相がちょうどその事を握っているからです。数年後には、諸侯王の多くは冠をかぶる年になり、血気はちょうど盛んで、漢が置いた傅は引退して留まろうとせず、漢が置いた相は病と称して辞職を賜わり、彼らは丞や尉から上に至るまで、自分の側近を広く置くでしょう。そうなれば淮南や済北のしたことと何が違うでしょうか。この時になって治安を図ろうとしても、堯や舜でもできません。臣はだから申します。時はまさに過ぎようとしています。上が早く図らなければ、おそらく毎年望まぬことを聞くことになるでしょう。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『春秋左氏伝』昭公二十一年 先んずれば人の心を奪う冬、十月、華登吳の師を以って華氏を救ふ。齊の烏枝鳴宋を戍る。廚人濮曰く、「軍志に之れ有り、『人に先んずれば人の心を奪ふ有り、人に後るれば其の衰へを待つ有り』と。盍ぞ其の勞して且つ未だ定まらざるに及びて、諸を伐たざる。若し入りて固くせば、則ち華氏衆からん。悔ゆとも及ぶ無からん」と。之に從ふ。丙寅、齊の師・宋の師、吳の師を鴻口に敗り、其の二帥、公子苦雂・偃州員を獲たり。華登、其の餘を帥ゐて以って宋の師を敗る。公出でんと欲す。廚人濮曰く、「吾は小人なり、死を藉(か)す可くして亡を送る能はず。君請ふ之を待て」と。乃ち徇へて曰く、「徽を楊ぐる者は、公の徒なり」と。衆之に從ふ。公楊門より之を見、下りて之を巡りて曰く、「國亡び君死するは、二三子の恥なり。豈に專ら孤の罪ならんや」と。齊の烏枝鳴曰く、「少を用ゐるは齊しく死を致すに如くは莫く、齊しく死を致すは備へを去るに如くは莫し。彼は兵多し。
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『春秋左氏伝』宣公十二年 人に先んずる趙嬰齊其の徒をして先づ舟を河に具へしむ、故に敗れて先づ濟る。潘黨既に魏錡を逐ふ。趙旃夜楚の軍に至り、軍門の外に席して、其の徒をして之に入らしむ。楚子乘廣三十乘を為り、分ちて左右と為す。右廣は、雞鳴にして駕し、日中にして說く。左則ち之を受け、日入にして說く。許偃右廣に御し、養由基右と為る。彭名左廣に御し、屈蕩右と為る。乙卯、王左廣に乘りて、以て趙旃を逐ふ。趙旃車を棄てて林に走る、屈蕩之に搏ちて、其の甲裳を得たり。晉人二子の楚の師を怒らせんことを懼るるや、軘車をして之を逆へしむ。潘黨其の塵を望み、騁せて告げしめて曰く、「晉の師至れり」と。楚人も亦た王の晉の軍に入らんことを懼るるや、遂に出でて陳す。孫叔曰く、「之を進めよ。寧ろ我人に薄るとも、人の我に薄ること無かれ。詩に云ふ、『元戎十乘、以て先づ行を啟く』と、人に先んずるなり。軍志に曰く、『人に先んずれば人の心を奪ふこと有り』と、之に薄るなり」と。遂に疾く師を進め、車馳せ卒奔りて、晉の軍に乘ず。桓子為す所を知らず、軍中に鼓して、曰く、「先づ濟る者には賞有り」と。
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孫子・虚実篇孫子曰く、凡そ先に戦地に処して敵を待つ者は佚く、後に戦地に処して戦いに趨く者は労す。
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『呻吟語』内篇・修身・四つの與其暴戾の氣を抑ふるは、和平の心を養ふに若かず。既に溢るるの恩を裁つは、分外の望を絕つに若かず。後事の厚きを為すは、先事の簿きを施すに若かず。延年の藥を服するは、保身の方を守るに若かず。
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尉繚子・戰威善く兵を用うる者は、能く人を奪いて人に奪われず。
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葉隠・聞書第一鉄山(てつざん)、老後に申し候は、「取手は相撲には違い、一旦(いったん)下になりても、後に勝ちさえすれば済む事と心得罷(まか)り在り。近年存じ当たり候は、一旦下になりて居る時、若(も)し誰(だれ)ぞ取りさかえ候わば負けになるべし。始めに勝つが始終の勝ちなり。」と申され候由。
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