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慎思録 / 巻之六

程子易傳曰。夫敎必就人之所長。所長者。心之所明也。從其心之所明而入。然後推及其餘。程子之言。是納約自牖之意。大率諫君說人之道。當如此。

新字:程子易伝曰。夫教必就人之所長。所長者。心之所明也。従其心之所明而入。然後推及其余。程子之言。是納約自牖之意。大率諫君説人之道。当如此。

書き下し

程子の易伝に曰く、夫れ教へは必ず人の長ずる所に就く。長ずる所とは、心の明らかなる所なり。其の心の明らかなる所に従ひて入り、然る後に推して其の余に及ぼすと。程子の言は、是れ約を納るるに牖よりするの意なり。大率君を諫め人に説くの道は、当に此くの如くなるべし。

現代語訳

程子の『易伝』に「教えは必ず人の長じているところに即して行う。長じているところとは、心の明らかなところである。その心の明らかなところから入って、その後に推し広げて他に及ぼす」とあります。程子の言葉は、『易経』にいう「約を納るるに牖よりす(明かり窓から差し入れる)」の意味です。おおよそ君主を諫め、人に説く道は、このようであるべきです。

解説

人を教え諫めるには、相手がすでに分かっている長所の部分から入り、そこから他へ広げるべきだと説く条です。引用は程頤『易伝』坎卦六四の注で、「約を納るるに牖よりす」は同じ爻辞の語です。暗い部屋に明かり窓から光を入れるように、相手の心の開いているところから働きかけるという意味です。益軒はこれを諫言や説得の法としました。部下に助言するときも、欠点を正面から突くより、相手が得意なところから話を始める方が、ずっと伝わります。

この章句が説くこと

教え諫言長所易経説得

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