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慎思録 / 巻之六

强暴則人畏其怒厲。非有威而可畏。是爲不德也。溫恭則人愛其和厚而有禮。是有德而可親也。忿怒之發也。徃徃於對妻孥奴僕。是因易驕恣也。須於此忍容。雖卑賤不可侮辱。

新字:強暴則人畏其怒厲。非有威而可畏。是為不徳也。温恭則人愛其和厚而有礼。是有徳而可親也。忿怒之発也。往往於対妻孥奴僕。是因易驕恣也。須於此忍容。雖卑賤不可侮辱。

書き下し

強暴なれば則ち人其の怒厲を畏る。威有りて畏るべきに非ず。是れ不徳為り。温恭なれば則ち人其の和厚にして礼有るを愛す。是れ徳有りて親しむべきなり。忿怒の発するや、往往妻孥奴僕に対す。是れ驕恣し易きに因るなり。須らく此に於いて忍容すべし。卑賤と雖も侮辱すべからず。

現代語訳

荒々しく乱暴であれば、人はその激しい怒りを恐れます。しかしそれは威厳があって畏れられているのではなく、不徳なのです。温和で恭しければ、人はその和やかで厚く礼のあるさまを愛します。これは徳があって親しまれるのです。怒りが起こるのは、しばしば妻子や召使いに対してです。これは驕り気ままになりやすい相手だからです。ここでこそ堪えて受け入れるべきです。身分の低い者であっても侮辱してはなりません。

解説

怒りで人を怖がらせるのは威厳ではなく不徳であり、温和で恭しい人こそ親しまれる徳を持つと説く条です。「温恭」は『論語』学而篇に孔子の人柄を「温良恭倹譲」と記すのに通じます。怒りが家族や使用人など立場の弱い身近な人に向かいやすいという観察は鋭く、益軒は『家道訓』でも家内での忍耐を説きました。部下や家族に強く当たってしまうのは、相手が反撃しないと知っているからです。そこでこそ堪えることが本当の徳です。

この章句が説くこと

怒り温恭忍耐家族

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