呂氏春秋 / 精通③
德也者,萬民之宰也。月也者,群陰之本也。月望則蚌蛤實,群陰盈;月晦則蚌蛤虛,群陰虧。夫月形乎天,而群陰化乎淵;聖人形德乎己,而四方咸飭乎仁。
新字:徳也者,万民之宰也。月也者,群陰之本也。月望則蚌蛤実,群陰盈;月晦則蚌蛤虚,群陰虧。夫月形乎天,而群陰化乎淵;聖人形徳乎己,而四方咸飭乎仁。
書き下し
德なる者は、萬民の宰なり。月なる者は、群陰の本なり。月望なれば則ち蚌蛤實ち、群陰盈つ。月晦なれば則ち蚌蛤虚しく、群陰虧く。夫れ月、天に形われて、群陰、淵に化す。聖人、德を己に行いて、四方咸仁に飭し。
現代語訳
徳というものは、万民を主宰するものである。月というものは、あらゆる陰の気の本(もと)である。月が満ちれば蚌(どぶがい)や蛤(はまぐり)の身も満ち、あらゆる陰の気も満ちる。月が欠ければ蚌や蛤の身も虚しくなり、あらゆる陰の気も欠ける。そもそも月が天に形(あらわ)れると、あらゆる陰の気が淵で変化する。聖人が徳を自らに形せば、四方の民はみな仁へと整えられる。
解説
月の満ち欠けと貝の身の消長を例に、天と地・徳と民の感応を説く段です。要点は、月が陰の気の本として貝や万物を感応させるように、聖人が身に徳を体現すれば四方の民が自然に仁へと感化されるという対応です。背景として、月と潮汐・貝の関係は古代人が観察した自然の感応現象であり、これを君主の徳が民を教化する働きになぞらえました。徳は号令ではなく感化によって民を動かすとされます。現代でも、リーダーが自ら価値を体現することで、指示によらず周囲を感化するという発想は、率先垂範のリーダーシップに通じます。
この章句が説くこと
徳月群陰蚌蛤感応仁
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