墨子 / 親士
是故天地不昭昭,大水不潦潦,大火不燎燎,王徳不堯堯。者乃千人之長也。其直如矢,其平如砥,不足以覆萬物。是故谿狹者速涸,逝淺者速竭,墝埆者其地不育。王者淳澤,不出宫中,則不能流國矣。
新字:是故天地不昭昭,大水不潦潦,大火不燎燎,王徳不堯堯。者乃千人之長也。其直如矢,其平如砥,不足以覆万物。是故谿狭者速涸,逝浅者速竭,墝埆者其地不育。王者淳沢,不出宫中,則不能流国矣。
書き下し
是の故に天地は昭昭たらず、大水は潦潦たらず、大火は燎燎たらず、王徳は堯堯たらず。者は乃ち千人の長なり。其の直きこと矢の如く、其の平らかなること砥の如きは、萬物を覆うに足らず。是の故に谿の狹き者は速やかに涸れ、逝の淺き者は速やかに竭き、墝埆なる者は其の地育まず。王者の淳き澤も、宫中を出でざれば、則ち國に流るる能わず。
現代語訳
天地はぎらぎらと輝いてはいない。大水はざわざわと騒がない。大火はめらめらと燃え立ちはしない。王者の徳もそびえ立ってはいない。そうした者こそが千人の長である。矢のようにまっすぐで砥石のように平らなだけでは、万物を覆うには足りない。谷が狭ければ早く涸れ、流れが浅ければ早く尽き、痩せた土地では作物が育たない。王者の厚い恵みも、宮中から出なければ国に流れていかない。
解説
前の章が「盛んすぎるものは守りにくい」と説いたのを受けて、上に立つ者の姿を描きます。天地も大水も大火も、実際に大きいものは目立つ振る舞いをしない。そのうえで「其直如矢、其平如砥、不足以覆萬物」——まっすぐで平らなだけでは足りない、と続けます。正しさは必要条件であって十分条件ではない、という含みです。最後の一行が実務的で、どれほど厚い恵みも届かなければ無いのと同じだと言い切ります。
この章句が説くこと
徳器量伝わる上に立つ影響力
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