慎思録 / 巻之六
今觀聖經賢傳。雖其立言之本意既得之。亦更須反復玩味。令其理浹洽於中。此可爲讀書爲學之法。凡用功如此。則與鹵莽速看過者。其所得亦自別。
新字:今観聖経賢伝。雖其立言之本意既得之。亦更須反復玩味。令其理浹洽於中。此可為読書為学之法。凡用功如此。則与鹵莽速看過者。其所得亦自別。
書き下し
今聖経賢伝を観るに、其の立言の本意既に之を得と雖も、亦更に須らく反復玩味して、其の理をして中に浹洽せしむべし。此れ読書為学の法と為すべし。凡そ功を用ゐること此くの如くなれば、則ち鹵莽にして速やかに看過する者と、其の得る所も亦自ら別なり。
現代語訳
聖人の経書や賢人の伝を読むとき、その言葉を立てた本来の意味がすでに分かったとしても、さらに繰り返し味わって、その道理を心の中に行き渡らせなければなりません。これを読書と学問の方法とすべきです。およそこのように努めれば、粗雑に速く読み流す者とは、得るところがおのずと違ってきます。
解説
意味が分かった後も繰り返し味わい、道理を心に染み込ませることこそ読書の法だと説く短い条です。「浹洽」は水が行き渡るように染み通ること、「玩味」は朱子が『読書法』で繰り返し強調した語です。益軒は『大和俗訓』などでも熟読を勧め、一冊を何度も読むことを重んじました。速読や要約で大意をつかむだけでは、言葉は自分の血肉になりません。大切な本は読み終えた後にもう一度開いてみると、最初には見えなかった深みに気づきます。
この章句が説くこと
読書玩味学問熟読理
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