慎思録 / 巻之四
動靜不失其時。其道光明。須時措而宜。不可偏靜偏動。葢好靜而惡動者。爲異學。好動而惡靜者。爲俗流。兩失之矣。天運人事。成其功者。皆在動時。然則人生萬事。須以動爲主。故偏于主靜。則恐有爲異學之弊。然而夜間人身不止息。則無明日動作之力。冬間陽氣不伏藏。則無來春發生之力。然則靜養之功。亦不可闕也。唯不欲專一于靜而已。若動靜不失其時。可靜而靜。則何害之有。夫動以靜爲根。須於靜處含蓄。而後發動也。
新字:動静不失其時。其道光明。須時措而宜。不可偏静偏動。葢好静而悪動者。為異学。好動而悪静者。為俗流。両失之矣。天運人事。成其功者。皆在動時。然則人生万事。須以動為主。故偏于主静。則恐有為異学之弊。然而夜間人身不止息。則無明日動作之力。冬間陽気不伏蔵。則無来春発生之力。然則静養之功。亦不可闕也。唯不欲専一于静而已。若動静不失其時。可静而静。則何害之有。夫動以静為根。須於静処含蓄。而後発動也。
書き下し
動静其の時を失はざれば、其の道光明なり。須らく時に措きて宜しかるべし。偏へに静に偏へに動にすべからず。蓋し静を好みて動を悪む者は、異学為り。動を好みて静を悪む者は、俗流為り。両つながら之を失ふ。天運人事、其の功を成す者は、皆動く時に在り。然らば則ち人生の万事は、須らく動を以て主と為すべし。故に主静に偏れば、則ち恐らくは異学の弊有らん。然り而して夜間に人身止息せざれば、則ち明日動作の力無し。冬間に陽気伏蔵せざれば、則ち来春発生の力無し。然らば則ち静養の功も、亦た闕くべからざるなり。唯だ専ら静に一ならんと欲せざるのみ。若し動静其の時を失はず、静なるべくして静ならば、則ち何の害か之有らん。夫れ動は静を以て根と為す。須らく静なる処に於て含蓄して、而る後に発動すべきなり。
現代語訳
動と静がその時を失わなければ、その道は光り輝きます。時に応じてふさわしくすべきで、静にばかり、動にばかり偏ってはなりません。静を好んで動を嫌う者は異学であり、動を好んで静を嫌う者は俗流で、どちらも道を失っています。天の運行も人の事業も、その成果を上げるのはみな動くときです。そうであれば、人生の万事は動を主とすべきです。ですから静を主とすることに偏れば、おそらく異学の弊害があるでしょう。しかし夜に人の身体が休まなければ、翌日動く力がありません。冬に陽気が潜み蓄えられなければ、来春芽生える力がありません。そうであれば、静かに養う努力もまた欠かせません。ただもっぱら静だけにしようとしないだけです。もし動と静がその時を失わず、静であるべきときに静であれば、何の害がありましょう。動は静を根とします。静かなところで蓄えてから、動き出すべきなのです。
解説
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