慎思録 / 巻之四
讀書者。當明道義。通往事。識物理。作文辭。凡此四事。皆是有益之事。學問之道。當用何須作爲浮靡之文與拙陋之詩。而費時日之功。作無益之事乎。大凡學者。須作有益。勿害有益。
新字:読書者。当明道義。通往事。識物理。作文辞。凡此四事。皆是有益之事。学問之道。当用何須作為浮靡之文与拙陋之詩。而費時日之功。作無益之事乎。大凡学者。須作有益。勿害有益。
書き下し
書を読む者は、当に道義を明らかにし、往事に通じ、物理を識り、文辞を作るべし。凡そ此の四事は、皆是れ有益の事なり。学問の道は、当に力を此に用ふべし。何ぞ須ひて浮靡の文と拙陋の詩とを作為して、時日の功を費やし、無益の事を作さんや。大凡学者は、須らく有益を作して、有益を害すること勿かるべし。
現代語訳
書を読む者は、道義を明らかにし、昔の出来事に通じ、物の理を知り、文章を作るべきです。この四つはみな有益なことです。学問の道はこれに力を用いるべきです。どうして浮ついて華美なだけの文章や、つたない詩を作って時日の努力を費やし、無益なことをする必要がありましょうか。およそ学ぶ者は、有益なことをして、有益なことを害してはなりません。
解説
読書の目的を、道義を明らかにすること、歴史に通じること、物の理を知ること、文章を作ることの四つにまとめ、それ以外の華美な詩文作りに時間を費やすのは無益だと戒めた条です。本文の「当用何須作爲」の箇所は底本の字が読みにくく、「当に力を此に用ふべし」と補って読んでいます。物理を知ることを読書の目的に数えるのは、本草学や地誌の著作がある益軒らしい点です。限られた時間を何に使うかを意識し、役に立つ学びに集中せよという教えは、時間の使い方を見直すきっかけになります。
この章句が説くこと
読書有益道義物理学問
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