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慎思録 / 巻之四

世有僞學僞行。自衒自矜。能欺人者。衆人往往被彼欺而不知。然而世有識者。必能辨之。如蘇老泉之知王安石。是也。故雖當世復難欺。有當世人不知而後世知之者焉。如程子之知楊子雲。是也。學術文章之得失邪正。亦然。終不能欺也。

新字:世有偽学偽行。自衒自矜。能欺人者。衆人往往被彼欺而不知。然而世有識者。必能弁之。如蘇老泉之知王安石。是也。故雖当世復難欺。有当世人不知而後世知之者焉。如程子之知楊子雲。是也。学術文章之得失邪正。亦然。終不能欺也。

書き下し

世に偽学偽行有り、自ら衒ひ自ら矜りて、能く人を欺く者あり。衆人往往にして彼に欺かれて知らず。然り而して世に識者有り、必ず能く之を弁ず。蘇老泉の王安石を知るが如き、是れなり。故に当世と雖も復た欺き難し。当世の人知らずして後世之を知る者有り。程子の楊子雲を知るが如き、是れなり。学術文章の得失邪正も、亦た然り。終に欺くこと能はざるなり。

現代語訳

世には偽りの学問や偽りの行いがあり、自分をひけらかし誇って、人を欺くことのできる者がいます。普通の人はしばしば彼に欺かれて気づきません。しかし世には見識ある人がいて、必ずそれを見分けます。蘇洵(老泉)が王安石の本性を見抜いたのがそれです。ですから同時代でもやはり欺きにくいのです。同時代の人が知らなくても、後世の人がそれを知ることもあります。程子が揚雄(子雲)の本質を見抜いたのがそれです。学術や文章の得失・正邪も同じです。最後まで欺き通すことはできません。

解説

見せかけの学問や行いは一時は人を欺けても、必ず見抜く人がいると説く条です。蘇洵が王安石の偽りを見抜いたとされる「弁姦論」の話と、程子が揚雄の学を評した例を挙げ、同時代でも後世でも、偽りは結局明らかになると言います。「自ら衒ひ自ら矜る」は前の名を貪る条とも響き合います。実力以上に自分を大きく見せても、見る人は見ており、時がたてば必ず露見するという指摘は、誠実に実質を積み上げることこそ長い目で見て最も確かな道だと教えてくれます。

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